カルチャーと健康

レッツ健康!!    (Dr.コラム)

認知能力を低下させないために

 将来高齢になっても認知症になりたくないとは誰もが願うものです。
最近は認知症になりにくい食事、日常の行動などがよく議論されています。

 さて最近の調査では(A.Fiocooら.Newnologg 2009:72)
今自分のもっている認知能力を落とさないようにするためには、
① ある程度の識字レベルがある。
② 社会的に活発な活動をつづける。
③ ある程度の強さをもった身体活動(運動)をする。
④ そしてタバコを喫わない事が大切だそうです。

具体的には、識字レベルでは、中学校卒業以上の教育を受けている人は、そうでない人に比べて認知能力が何と「5倍」高かったそうです。
 これは多分日本に当てはめると、きちんとした国語教育や文章を読む習慣が大切である事を意味するのではないでしょうか。ただこの事は、外国語教育を否定するものではありません。むしろ日本は、今後一層世界で飛躍しなければならないからです。

 さて次に日常の活動の必要性が強調されています。
高齢者でも働いている人、ボランティア活動をしている人、ひとり暮らしでない人は、認知機能が正常に働いている率が24%も高かったそうです。
 
 そしてある程度の強さをもった身体活動-運動が大切だそうです。
少なくとも週1回の活発な活動、運動の必要性が強調されています。

 最後にやっぱりタバコが出てきました。
タバコを喫わない人は、タバコを喫う人に比べて約2倍認知能力が維持されるそうです。

帝王切開の利点と問題点

 帝王切開は英語でcesarean sectionと言います。
このcesareanとはジェリアス・シーザー(シーザの英語読み)が語源で、シーザーが
帝王切開で生まれたとお言い伝えから来ています。紀元前のお話ですから、本当とは思えませんが(実際違うようです)、それらしいお話です。

 さて帝王切開では、普通のお産-陣痛のストレスを受けながら下から生まれるお産-と違い赤ちゃんがお母さんのお腹を切って生まれてきます。
 分娩の方法が異なる事から、昔から帝王切開で生まれた子供と、普通分娩で生まれた子供に将来何か違いが出る事はないかとの議論が行われてきました。
 少し前のお話ですが、こんな研究があります。
陣痛というストレスを経験して生まれた赤ちゃんは、出生後もストレスに強いだろうと言う考えです。
 例えば、赤ちゃんが成人した後、何か危機に陥るような状態になった時に、陣痛を経験し普通に生まれた人は、この危機をのり越える能力が高いと言うものです。
 この説によれば、イギリスの諜報機関員のジェームス・ボンド、007は普通のお産だったに違いありません。

 さて最近、次の様な注目すべき調査結果が出されました(小児科の専門誌 Pediatrics 2015)。デンマークの医師達のデータです。
帝王切開で生まれた赤ちゃんは、喘息を始めとするアレルギー性の病気、膠原病、若年性の関節炎、潰瘍性大腸炎、免疫不全の病気、白血病などの病気が発生する確率が高いだろうと言うものです。
 日本を含め先進国では帝王切開が増えていますが、一方でこれらの国では喘息やアレルギー性の病気も増加しています。このため帝王切開とこれらの病気の関係を調べてみようと思って、この研究が始まったようです。
もしこれが事実なら、将来対策を考えるべき問題になると思います。
 帝王切開が増えたのは難産を防ぐためです。
この手術のお陰でたくさんの赤ちゃんの命が助かり、分娩後の後遺症から逃れる事が出来ました。
帝王切開はそれ程重要な役目を果たしています。
 しかしこの研究が本当なら、生まれてくる赤ちゃんに少し陣痛のストレスを経験してもらおうという考えも出てくる可能性があるでしょう。
今後さらに研究が進む事が望まれます。

漢方薬の最近の話題- 葛根湯は治り難い肩こりに効く時も。

 肩こりはつらいものです。
しかし意外と他人には理解されない時もあります。
また肩こりが原因と考えられる、頭痛や他の症状が起こる時があります。

 最近この肩こりに葛根湯が効くという研究が幾つかの医学的研究機関から出ています。
葛根湯を単独に使用する方法もありますが、例えば整形外科的な治療(局所麻酔薬の週1回位の注射との併用療法等)と組み合わせた治療などです。

 これからも漢方を使用した数多くの治療法が提案されると思われますが、さらなる進歩が期待できるでしょう。

漢方薬の最近の話題- 当帰芍薬散(漢方)は脳に良いらしい。

 当帰芍薬散は漢方の中でも最もよく処方される薬剤の1つです。
婦人科では不妊症、冷え症、更年期障害などの人が対象になっています。これはその効果の1つに女性ホルモン様の作用があるからだと考えられています。
実際に普通のホルモン剤では効かなかった不妊症の人が、この漢方のお蔭で妊娠した人も大勢います。

 ところで女性ホルモンのうち、卵胞ホルモン(エストロゲンといいます)は、脳の記憶力や認知能力と関係している事が分かっています。
例えば皮下脂肪の厚い女性は、皮下脂肪でエストロゲンが作られるために記憶力の低下が少ないという研究があります。
しかもこの働きは、どうやら脳の海馬という所に効くらしい事も分かってきました。

 さて当帰芍薬散には、この女性ホルモン様の作用があるため、記憶力の低下の予防(物忘れの予防-これは更年期障害の隠れた症状と言われています)や、認知能力の低下を予防するそうです。しかもそれ以外にこの当帰芍薬散は脳の海馬に直接働く作用もあるらしいとの事です。
海馬の能力を高める結果、認知能力の低下や記憶力の低下の予防が出来る可能性が考えられるとの事。
 副作用も少ないため、これから利用される薬剤になるかも知れません。

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