婦人科の病気.

尿失禁

尿失禁にはいろいろなタイプがあります。

尿失禁はなかなか人に言えないものですが実は多くの女性が悩まれている問題です。 この状態は若い方にも起こります。また妊娠すると約80%位の方が経験するという研究もあります(Viktmp L,ら Obstet Gynecol 79:945、1992)さらに更年期になると悩まれる方が増えてきます。


尿失禁にはいろいろなタイプがあります。

腹圧性尿失禁

お腹に力が加わった時に尿失禁がおこる時があります。 例えば、咳・くしゃみ・重い物を持った時など ⇒これを腹圧性尿失禁といいます。

切迫性尿失禁

尿意を催すと同時に尿失禁がおきてしまうタイプがあります。

こうした時は尿意が急に出て、トイレに行く前に尿失禁が起きる方もおられます。 このタイプの尿失禁では、家事をしていて水が流れる音を聞くだけで失禁が起きてしまう時もあります。 ⇒これを切迫性尿失禁といいます。

その他

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型と考えられる方がいます。

  1. 利尿剤をのんでいる、多量のお酒を飲んだ、認知症があるなどで尿失禁が起る事があります。 ⇒これを機能性尿失禁といいます。

尿失禁をこのようなタイプに分けるのは、治療法が微妙に異なるという事があるからです。

尿失禁と妊娠

妊娠中の尿失禁の特徴

妊娠中の尿失禁には幾つかの特徴があります。

  1. 妊娠前から尿失禁のある方がいる。
  2. 妊娠中に約半数の方が尿失禁を経験する。(80%の方という研究もあります)
  3. 妊娠が進む程尿失禁の程度が進む事が多い。
  4. お産の時、時間がかかったり、赤ちゃんが大きいと、分娩後の尿失禁の程度が強くなる。
  5. お産後しばらくすると尿失禁は良くなる方が多い。
  6. 前回のお産で尿失禁が起こった方は次のお産でも尿失禁が起る事が多い。

妊娠中尿失禁がおきた方はどうしたら良いでしょうか。

  1. 妊娠中は尿失禁が起る方が多いのですから、起きてもあまり神経質にならない事が大切です。
  2. 尿意があまりなくても、トイレに行く回数を少し多目にしましょう。
  3. もしそれでも失禁量が多ければ、少し多目に出ても良いパッド等を利用しましょう。→薬局にいろいろなタイプが揃っています。
  4. 尿失禁と便秘が関係する事があります。妊娠中の便秘にも気をつけましょう。
  5. お産が終わってから、尿失禁予防の体操などを行いましょう。医師や助産師、保健師が指導する時があります。
  6. 失禁の程度が強いと感じられた方は医師と相談しましょう。

    いろいろな治療法・予防法が考えられています。 ⇒腹圧性尿失禁の項目をごらん下さい。

病院では尿失禁の治療の前にどんな事を聞かれどんな検査をうけるのでしょうか。

まずいろいろお話を聞かれます。

いつ頃から尿失禁があるか、だんだんひどくなっていないか、どんな情況で症状が出るか、分娩歴、仕事の内容など。 検査については医師の方からいろいろ説明があるのが普通です。

  1. 例えばパッドをあてて、1時間さまざまな行動をし、漏れた尿を測定する事があります。
  2. 検査用の鎖を用いて膀胱や尿道のレントゲン検査を行う時があります。
  3. また子宮筋腫や子宮内膜症、子宮が下がっていないか(子宮脱や子宮下垂といいます)、あるいは膀胱が下がっていないか検診をすすめられる時があります。
  4. 膀胱内圧テストなどのテストをすすめられる時があります。
  5. 一般の検尿が必要です。
  6. その他X線検査などいろいろな検査をすすめられる時があります。

尿失禁の治療

尿失禁の治療はその原因や、程度などによりいろいろな種類があります。医師から治療法の説明があり、その長所や欠点についてもお話があるでしょう。1つの治療法でうまく行かなかった時は別の方法がすすめられるのが普通です。

【腹圧性尿失禁の治療】

お薬がいろいろあります。

  1. 塩酸クレンブテロール(商品名 スピロペント)
  2. αアドレナリン作動薬などがあります。
  3. 女性ホルモン剤が使用される時があります。 (経口剤、膣剤、貼布剤)
  4. 抗うつ剤が役に立つ時があります。(三環系抗うつ剤というお薬が使われます) 症状に応じて医師からお話があります。
  5. 漢方薬がよく効く時があります。体質や症状に合わせて処方されるのが普通です。例、補中益気湯・猪苓湯・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・葛根湯・八味地黄丸などいろいろあります。

生活指導や体操を試みるようすすめられる時があります。

骨盤の筋肉やそれを支える組織を強化する事が有効です。 ケーゲル体操といって50年以上も前から行われている運動療法があり有効であると考えられています。

  • 専門の医師から指導してもらう方法
  • パンフレットを含めていろいろな説明書がありますので活用する方法があります。
  • ホームページもいろいろあります。
  • ケーゲル体操を基本にいろいろな運動や訓練方法がすすめられています。
    1. 自分で実際、尿失禁予防のための筋肉が働いているかを確かめる事が大切です。
      • 入浴中膣の中に手を入れて、膣の上の方をさわりながら、膣をキューっと引きしめる。膣の上の方が引き上げられるような感じであれば正しい訓練といえます。
      • 入浴中会陰部(膣と肛門の間)を自分でさわって、ここの筋肉をキューっと引きしめるようにする。
      • 排尿の終わり頃に、おしっこを止める動作をしてみる。
    2. 1日3回〜4回位行いましょう。 1回は入浴中自分で正しい運動が出来ているか確かめながら、あとの2回は例えば朝歯をみがいた後、午後お昼の後片づけの時という様に習慣づけると良いと言われております。
    3. 1回のトレーニングにそれ程時間はかかりません。
    4. 会陰部や膣をキューっと引きしめるだけです。何回かはそのまま7〜8秒つづけると良いとされています。それでも1回10分位あれば十分トレーニングになります。
    5. 途中で止めずに継続する事が大事です。
      この体操をすすめたケーゲルによれば1日3回、20分づつ行うと約8割の方が改善したと述べています。
      Kegel AH:AmJ Obstet Gynecol 56:238、1948
    6. 但し尿失禁の程度によっては体操だけでは十分に改善しない時があります。そんな時は医師と相談しましょう。

電気的な刺激法

専門の病院では尿失禁予防に役立つ筋肉を電気的に刺激して治療する事をすすめられる時があります。

手術による治療

いろいろな手術方法があります。 手術方法も研究が進み、より有効で副作用の少ない方法が次々と考えられています。 主治医とよく相談しましょう。

  1. 尿道の傍にコラーゲンを注入する方法があります。泌尿器科で行いますが、普通は日帰りでも可能な手術です。ただ再発する可能性もありますので、医師とよくお話しましょう。
  2. TVT法(Tension-free Vaginal Tapeの略です) 膣を通して尿道をつり上げる手術です。皮膚は恥骨の上を少し切開するだけです。手術のやり方としては身体の負担の少ない方法ですが、少数ですが膀胱が傷ついたり、出血がある時があります。 手術に関しては医師から詳しくお話があるでしょう。
  3. TOT法(Trans Obturator Tapeの略です) TVTの改良法と考えられていますが、歴史が浅いので効果と副作用について詳しくお話をする事が大切でしょう。手術をすすめられる時は医師からお話があるでしょう。
  4. 子宮脱や子宮下垂、膀胱脱のある方は、これらの治療を行うと良くなる方もおられます。子宮の手術は主に婦人科で行われます。
切迫性尿失禁の治療】

お薬がいろいろあります。

  1. 抗コリン剤というお薬が主に使われますが、緑内障のある方は控えましょう。
    • 塩酸オキシブチニン(商品名 ポラキス)
    • 塩酸プロピベリン(商品名 バップフォー)
  2. 直接膀胱の筋肉に作用するお薬があります。 塩酸フラボキセート(商品名 ブラダロン)などがよく使用されています。
  3. 抗うつ剤がすすめられる時があります。(腹圧性尿失禁の時も使用される時があります)
  4. 女性ホルモンの不足があると考えられる時は、これをすすめられる時があります。
  5. 漢方薬がすすめられる時があります。(腹圧性尿失禁の項目をごらん下さい)

トレーニングがすすめられる時があります。

お薬の他に切迫性尿失禁が出そうになる前にトイレに行くなど排尿のトレーニングの指導が役に立つと考えられています。トレーニングは専門家からお話があるのが普通です。

電気刺激がすすめられる時があります。

外陰部の幾つかのポイントを電気的に刺激する事で尿失禁の予防を行う事が出来る時もあります。これは専門医と相談しましょう。

手術方法もあります。

専門の医師と相談しましょう。

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合したタイプと考えられる方

まずお薬による治療を行い、症状が残った部分(例えば腹圧性尿失禁の部分)を手術で治療するなどの方法があります。

ログイン ID・パスワードを忘れた方