婦人科の病気.

胞状奇胎と絨毛性疾患

1.絨毛性疾患とは

胞状奇胎という病気があります。 この胞状奇胎は日本人を含む東南アジアの人々に多い病気と言われており、200〜500回妊娠すると、1回の割合でおこります。赤ちゃんをつつむ膜のうち絨毛膜という膜が腫瘍化するものですが、ちょうどぶどうの房の様に増殖する事から別名ブドー子とも言われております。 また数は少ないのですが絨毛がんという病気もあります。胞状奇胎や絨毛がんなどを合わせて絨毛性の病気(絨毛性疾患)といいます。絨毛性の病気は大きく3つに分かれます。


  1. 胞状奇胎(ブドー子)
    1. 全胞状奇胎 これは a)非侵入奇胎 b)侵入奇胎に分かれます。
    2. 部分胞状奇胎 これも a)非侵入奇胎 b)侵入奇胎に分かれます。
  2. 絨毛がん
  3. 存続絨毛症
絨毛性の病気の特徴この病気の特徴として、腫瘍になった絨毛がホルモンを出すことです。 血液や尿中のこのホルモンを測定する事で、この病気が良くなっているか、まだまだ治療が必要か分かります。

2.胞状奇胎

a)胞状奇胎の種類

全胞状奇胎
赤ちゃんを包む膜のうち絨毛膜が、水ぶくれのように大きくなり丁度ぶどう房のように腫れる病気をいいます。本来赤ちゃんが入るべきお部屋全体がこの胞状奇胎で占められてしまうのを全胞状奇胎といいます。
部分性胞状奇胎
お部屋の中に赤ちゃんがいるにも拘らず、一部の絨毛がぶどうの房のように腫れるのを部分性胞状奇胎といいます。
侵入奇胎
胞状奇胎の一部が子宮の筋肉の中に入っていくのが侵入奇胎です。 早目の治療が必要です。
b)胞状奇胎の時に出てくる症状
  1. 出血を始め流産のような症状が出る時があります。
  2. つわりが強く出る時があります。
  3. 妊娠の検診で通院中超音波検査で赤ちゃんがなかなか確認できない事があります。
c)胞状奇胎の診断
  1. 超音波検査で胞状奇胎独特の像が出てきます
  2. 血液中、尿中のHCGというホルモン量が高くなります。
  3. MRI検査をすすめられる時があります。
d)治療とその後の経過観察
  1. 子宮内の胞状奇胎を除去する手術が必要です。
    この手術は通常1週間位間をおいて二回行われるのが普通です。
  2. 手術後は血液中や尿中のホルモン量の測定が行われます。手術後20週間をこえて血液中のHCGが陽性の時は注意が必要とされております。
    侵入奇胎や絨毛がんに進むおそれがあるからです。
  3. 基礎体温をつけておくと有効です。HCGホルモンが出つづけると体温が高温のままになります。
  4. 侵入奇胎や絨毛がんが疑われるようになると、胸部レントゲン検査、CT、MRI、血管造影などの精密検査をすすめられる事があります。
  5. 胞状奇胎の経過について
    胞状奇胎の方の約10%の方が侵入奇胎に、約5%の方が絨毛がんに進む可能性があると考えられています。
  6. 治療後の妊娠許可について 血液中のHCGホルモンが完全に(−)になり、侵入奇胎の恐れがないと判断される事が第一条件です。主治医とよく相談しましょう。

侵入奇胎というのは胞状奇胎の組織が子宮の筋肉の中に侵入する病気です。治療しないでそのままにしていると、この胞状奇胎の組織が子宮の筋肉を貫通してしまい、お腹の中に多量の出血をおこす可能性もあります。たまに肺や膣の方に侵入する事もあります。

3.侵入奇胎

a)侵入奇胎の診断

  1. 殆どが胞状奇胎の後におこる病気ですから(稀に流産後におこる事もあります)胞状奇胎の後の通院、管理が大切です。 血液中のHCG検査、内診、超音波検査、MRI、CT、胸部X‐腺、血管造影などの検査が必要に応じてすすめられます。
  2. 侵入奇胎になる方は、年令が関係すると考えられます。40才以上で胞状奇胎になった方は約20%の確率で侵入奇胎になると言われ、40才以下の約2倍の確率になります。
b)治療とその後の経過観察
  1. お薬が大変よく効きます。最初はメソトレキセートというお薬が用いられるのが普通です。またアクチノマイシンDというお薬が使われる事もあります。
  2. 手術がすすめられることもあります。赤ちゃんを希望されていない方で、お薬の効き方に時間がかかる時は、手術をうけるという選択肢もでてくることもあります。 主治医からの提案がある時もありますので、その時はよく相談しましょう。
  3. 侵入奇胎はきちんと管理をうけさえすれば命にかかわる事は無いと考えられています。しかし、診断後の管理が不十分な時は稀に絨毛癌になることがあり得ますから気をつけましょう。
  4. 次回の妊娠は、血液中のHCGホルモンの値をみながら許可になります。血液中のHCGホルモンが完全に(−)になる事が絶対的な条件になります。

4.絨毛がん

絨毛がんは赤ちゃんをつつむ絨毛の膜ががん化するものです。胞状奇胎につづいてがん化する方が多いのですが、通常の流産の後やお産の後におこる時や、妊娠とは無関係におこる事もあります。発生する場所も子宮が殆どですが、身体のいろいろな所に出る事もあります。


a)絨毛がんの治療法
  1. 抗がん剤を用いる治療法が主体です。
  • メソトレキセート
  • アラチノマイシンD
  • エトポサイド 等が主体ですがいろいろなお薬が使われる時もあります。
  1. 手術療法 手術を行い、子宮や卵巣をとるようにすすめられる事もあります。
  2. 放射線療法 転移した際、例えば脳などの時など放射線療法がすすめられる事もあります。
b)絨毛がんの将来

絨毛がんは、「がん」と言っても殆どが治る病気と考えられています。例えば転移があっても、抗がん剤や放射線がよく効いてくれます。病気だと言われても、きちんと治療をうければ良いのですから、民間療法に走らず病院で管理をうける事が大切です。

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