貧血症
1.貧血症の種類
■貧血症といってもいろいろなタイプがあります。
1. 鉄欠乏性貧血 2. 再生不良性貧血 3. 溶血性貧血 4. 発作的夜間血色素尿症 5. 赤芽球癆 6. 悪性貧血 7. その他 貧血の種類によっては内科の治療、それも早期の治療が大切な時もありますから、おかしいと思ったら早目に内科を受診しましょう。2.女性に多い貧血症−鉄欠乏性貧血症−
女性では鉄欠乏性貧血の人が多い。
- 女性では鉄分のとり方が足りない、子宮筋腫や子宮内膜症があり月経時の出血が多い(血液中の鉄分が足りなくなる)、ホルモンバランスのくずれ、さらに悪性腫瘍や、その前段階の異常があって鉄欠乏性貧血になることがあります。
- 内科を受診し検査を受けて鉄欠乏性貧血と診断され、婦人科を紹介されることがよくあります。
- 鉄欠乏性貧血の原因となる病気はいろいろ考えられます。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- ホルモンバランスのくずれ
- 食事の偏り
- 子宮内膜ポリープ
- 筋腫分娩
- 悪性腫瘍あるいはその前段階
- その他
3.貧血症の症状
1. 顔色が青白い、手足の爪の部分が白い 2. 頭がふらふらする感じがある。目まいがある。 3. 息切れ、動機、階段を上がりにくなった。 4. 疲労感 5. 月経時の出血量が多くなった。あるいは長くつづく。月経後の体調が悪い。 6. 他人から貧血があるのではと指摘される等さまざまな症状がおこります。
4.貧血症の検査
また正常値はどのくらいなのでししょうか。
- 血液中の血色素量(ヘモグロビンともいいます)で判断します。
- WHOの基準にでは男性では13.0g/dl以上、女性では12.0g/dl以上、妊婦さんでは11.0g/dl以上が正常値とされています。但し外来で医師からお話しがあるときは、この値に幅があるのが普通です。
- 血液中の鉄分(血清鉄)も判断の材料になります。
血清鉄はいわば血色素(ヘモグロビン)の原料です。50mg/dl以上が正常値ですが、この値が低いと血色素の値が上昇しません(原料が少ないため)。 - その他いろいろな検査がありますが、医師からお話しがあるでしょう。
5.貧血症の原因−年代により原因が異なります。
女性は年令により貧血の方の数に大きな差が出ます。下のグラフをごらん下さい。ある婦人科クリニックの年代毎の貧血の方の人数です。

このグラフから分かること
- 女性は40才代での貧血の人が最も多い。
グラフのように10才ごとに区切ると20才以下で3人、20代で14人30代で27人、40代で67人と年代が増すにつれて貧血の方が増えています。しかし50代では11人、60才以上で2人と50代以上になると貧血の人が減ってきました。
- 最大の原因は月経です。
- もうひとつの原因は40代によくおこる出血を伴う病気のためと考えられます。
- 年代によって貧血の原因が変わっていきます。
- 20才以前では…ホルモンバランスのくずれが原因と考えられる出血が多い。
- 20才〜40才では…子宮内膜症、ホルモンバランスの崩れ子宮筋腫の方が、ほぼ同じくらいの割合で見つかります。
- 40才〜49才の更年期前期から更年期の方は…子宮筋腫が多くなります。
- 50才以上になると…今までの病気に悪性の病気の方が加わってくる。
永井荘一郎、治療:77、1585、1995
6.貧血症の治療
- 貧血がひどい時は鉄剤のお薬で治療するのが最も効率的な治療法です。
- 治療については医師から詳しくお話しがあるでしょう。
- 鉄剤には内服薬と注射薬があります。
- 内服薬をすすめられた時は注意しておいた方が良い事があります。
- 内服薬で胃に負担がかかる時がありますので、胃薬と一緒に処方が出る時があります。
- これらのお薬は初め内服しくにくくても、しばらく飲んでいるうちに訓てきて苦にならなくなる事が多いようです。
- ビタミンCは薬剤の効果を上げると考えられています。
- コーヒー、紅茶、抹茶はお薬内服前後はしばらく控えましょう。
- 抗生物質のうちテトラサイフリンという成分は、お互いの作用を押さえ合いますので注意しましょう。
- これらのお薬は比較的早期に効果を表すでしょう。
- 食事 貧血の改善には食事も大切なポイントになります。
- 肉や魚に含まれるヘム鉄という成分が有効です。なお特に赤みのところがおすすめです。
- 海藻類、魚貝類など
- 良質の蛋白質は鉄の吸収をよくします。
- 胃液の分泌を高めると鉄分の吸収がよくなるとの事から、香辛料がアルコールの摂取はよいこととされています。
- アルコールの中では赤ワインだけには鉄分が入っています。
- 原因の病気があったらしっかり治す事が大切です。子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科悪性腫瘍などのページをごらん下さい。
チーズをつまみながら、赤ワインを飲むと貧血に良いかも! |