婦人科の病気.

子宮癌 −2.子宮体癌

1.子宮体がんの最近の特徴

  • 最近子宮がんのうち子宮体がんの方が増えてきています。
    子宮がん全体の約60%の方が頚がん、約40%の方が体がんというデーターがあります。
  • 子宮体がんの検査をうけた方が良い方がいます。
    1. 生理以外の不正出血のある方、また何らかの検診で子宮が大きいと言われた方。
    2. 閉経後に出血のあった方、黄色いおりものが気になる方。
    3. いつも子宮頚がんの検診をうけているが、年齢的に体がん検診をうけられた方が良い方(だいたい40才位がメドでしょう)
      但し最近子宮頚がんと同様、子宮体がんの低年齢化も問題となっています。
    4. 子宮体がんになり易い条件をもっている方がいるらしいという考えがあります。
      1. 肥満の方、糖尿病、高血圧のある方
      2. 赤ちゃんを産んだ事のない方
      3. 月経不順が長くある方
      4. 閉経が遅い方

2.子宮体がんの検診方法

子宮体がんの検査方法にはa)細胞診検査、b)子宮鏡検査、c)組織検査があります。


a)細胞診検査

  1. 子宮の中に検査の器具を入れて、子宮の内面の細胞をとり顕微鏡で検査を行うものです。
    子宮の中にブラシのついた検査器具などを入れ、表面の細胞の検査をします。
    • 検査の時少し痛みがある時があります。
    • 検査の後で出血する時があったり、この出血が少し長くつづく事があります。
      細胞診の結果は次のように出ます。
    • 医学的には子宮体がんの検査結果は子宮頚がんと異なり、クラス分類では出ないのが普通ですが、説明するには便利ですので、この分類が使われる事が多いようです。

  2. クラス分類

異常ありません全く異常な細胞が出ていません。
基本的には異常がないのですが、ホルモンバランスのくずれがあったり、避妊リングが入っていたりすると、時にやや活発な活動を示す細胞が出る時があります。将来癌細胞にかわる訳ではありませんが、念のため6ヶ月後の再検査をすすめられる事が多いようです。
Ⅲa気をつけて現在がんが疑われる細胞ではありませんが、良性細胞と言い切れないもの。ホルモンバランスのくずれがやや強く、放置しておくと不正出血の原因になり得るような細胞が出ているような状態を言います。定期的な検診や、この時点で子宮内膜の組織検査をすすめられる時があります。組織検査でいう子宮内膜増殖症が出るような状態が考えられます。
ⅢbⅢaに比べやや細胞の形に異型性が出るものを言います。がん細胞とは考えられませんが、子宮内の組織検査をうける事が望ましいと考えられます。また定期的なチェックが必要となります。組織的には子宮内膜異型増殖症が疑われるような細胞です。
がんの疑いあるいはがんと考えられる初期のがんが疑われます。
進行したがんが疑われる状態です。

b)子宮鏡検査


子宮の中に子宮鏡という細い管を入れて子宮の中を観察するものです。
胃の中をみる胃内視鏡、膀胱の中を観察する
膀胱鏡と同じ意味で、内視鏡検査の一種です。
細胞診で異常が出たり、超音波検査で異常な影がうつると検査をすすめられる時があります。
しかしこの子宮鏡検査は必ず行われる訳ではありません。


c)組織検査
  1. 方法

    子宮の中の組織をキュレットという器具で削り取って検査する方法です。この検査で、がんかどうかの最終診断になるのが普通です。

  2. 検査結果は次の通りでます。
    1. 異常なし
    2. 子宮内膜増殖症
      • 単純型
      • 複雑型

        子宮内膜増殖症そのものは、がんではありませんが将来僅かですが、がんに進行するものがあると考えられております。
        定期的な検査が必要です

    3. 子宮内膜異型増殖症
      • 単純型
      • 複雑型

        子宮内膜異型増殖症はがんの0期という考えもあり、将来8〜29%の方ががんに進行するという研究があります。この時点で手術をすすめられる方もおられます。赤ちゃんが欲しい方は医師とよく相談しましょう。

    4. 子宮体がん
      • 0期……子宮内膜異型増殖症
      • Ⅰ期……がんが子宮体部のみに出来ているもの
        (a.b.cに分かれます)
      • Ⅱ期……がんが子宮体部から頚部に及ぶもの
        (a.b.cに分かれます)
      • Ⅲ期……がんが子宮の外に広がっているもの、あるいはリンパ腺にがんが進んでいるもの。
        (a.b.cに分かれます)
      • Ⅳ期……がんが膀胱や腸粘膜まで達しているもの
        (a.bに分かれます)
  3. 組織型と組織分化度
    子宮体がんの場合、手術を含めた治療前に、がんがどんな顔つきをしているのか(組織型といいます・・・多くが本来の子宮内膜組織ががん化したと考えられる 類内膜癌というタイプです)、がんではあるものの正常に似た形をしているか(組織分化度といいます)を確認する事が大切です。治療方法の決定に役立つ他、 治療効果の予測にもなります。
    分化度は3つに分けられます
    • G1 正常の子宮内膜に似た腺がん細胞の部分が95%以上のもの。
      反対にがん細胞が子宮内膜に似ていない充実性腫瘍の部分(・・・進行度が早い可能性があります)が5%以下のもの。
    • G2 充実性増殖を示す場所が6〜50%のもの。
    • G3 充実性増殖を示す所が50%以上あるもの。

3.子宮体がんの治療

a)がんではないが、要注意といわれた方


1.子宮内膜増殖症

定期的な検査が必要です。

2.子宮内膜異型増殖症(0期のがんとの考えがあります)

注意点 子宮内膜異型増殖症の時は、次の2つの事に注意しましょう。

  • 現在はがんではないとは言え将来がんになる可能性がある事
  • 詳しく検査すると異型増殖症のすぐ近くにがんが潜んでいる事があります。

どう対処するのが普通でしょうか

  • がんはないという事を確認する事が大切です。
    1. 子宮の内側を徹底的に検査する。子宮内膜全面ソウハといいます。
      • 痛みがある時が多いので、麻酔をかけて行うのが普通です。
      • 麻酔方法はいろいろありますので、医師と相談しましょう。
    2. 子宮鏡という内視鏡での検査をすすめられる時があります。
    3. MRIやCT等で検査する
  • 手術をすすめられる時があります。
    赤ちゃんを希望されない方、何回検査しても異常が出る方、顕微鏡の検査で形の異常が少しづつ進行する方などは手術をすすめられる事があります。
  • ホルモン療法
    ホルモン剤の力で子宮内膜を正常に戻す方法です。
    • しかしこの方法は子宮内膜異型増殖症が既にホルモン剤が効かなくなっている時は無効です。
    • お薬には副作用が出る時もあります。
      この治療をうける時は予測される治療効果、考えられる副作用とその予防方法などを医師とよく相談しましょう。
b)子宮体がんの治療
治療については癌の進行度、組織分化度、年令、合併症の有無などをみて、いろいろな治療計画が立てられるのが普通です。医師とよくお話をし、現在の状態を理解された上で、治療をうけられる事をおすすめ致します。
ここに書かれている事は、あくまで「一般的に」という意味です。それを御理解の上でお読みいただきたいと思っております。

手術療法

  • Ⅰ期 普通は子宮を全部とり(単純子宮全摘術といいます)、両方の卵巣・卵管の摘出がすすめられます。しかし顕微鏡でみた形(分化度といいます…組織検査のページをごらん下さい)や、がんの進入の程度によってはもっと広い手術がすすめられる時があります。
    最近若い方のがんが増えてきている事から卵巣を残す努力がなされる時があります。 Ⅰ期でもがんの状態により異なりますので主治医とよくお話をされる事が大切です。
  • Ⅱ期 広汎子宮全摘術と言って子宮そのものと、その周囲を広く切除する事をすすめられるのが普通です。
    しかしそこまで広く取らない準広汎手術やⅠ期の時と同じ手術をすすめられる時、放射線療法や抗がん剤の治療をすすめられる時があります。
    またリンパ腺の切除をすすめられる事が多くなります。
    リンパ腺を切除する意味、その後の考えられる副作用などは医師とよく御相談下さい。
  • Ⅲ期 広汎子宮全摘術とリンパ腺切除がすすめられます。
    また放射線療法を優先するようすすめられる事がある他、単純子宮全摘術にいろいろな治療法の組み合わせをすすめられる時があります。
    それぞれの治療法については、主治医からの詳しい説明があるのが普通です。
  • Ⅳ期 放射線や抗がん剤の治療が優先されるのが普通ですが、手術をすすめられる時があります。
子宮体がんの治療については、がんの進行の程度と手術方法に幅広い選択があります。放射線療法、抗がん剤療法、ホルモン療法も十分な効果が期待されます。しかし治療には病状に応じた適切な選択が大切です。治療開始前の医師との緻密な治療計画の相談が大切です。
また、手術後の治療が大切になる事があります。これを後療法といい最近がんの再発率の低下に効果を上げています。
  • 放射線療法
    手術を行った後で、残っている可能性があるかも知れない癌細胞をたたくという意味で治療をすすめられる事があります。
    放射線の治療法は大変進行していますから、治療が有効と考えられる時は放射線の専門医を含めて詳しいお話があるでしょう。
  • 抗がん剤による治療法
    子宮体がんに対して抗がん剤が用いられる事があります。
    現在主に用いられているのは、ドキソルビシン(商品名 アドリアマイシン)+プラチナ製剤(商品名 シスプラチン)を用いたAP療法です。
    この他卵巣がんの時に用いられるCAP療法、TJ療法も有効ですし、さらにいろいろな治療法が試みられようとしています。(卵巣がんのページをごらん下さい。)
現在のところ子宮体がんの比率が高くなってきているのは、食生活に原因があると考えられています。
欧米風の食事になると子宮体がんが増えると考えられていますが、同じ乳がん、卵巣がん、大腸がんでも言われております。
これらの考えに否定的な意見もありますが、バランスの良い食事をとる事は大切ですね。

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