婦人科の病気.

婦人科感染症

1.風邪

妊娠中は体力が落ちたり、免疫力(病気に対する抵抗力をいいます)が落ちたりしていますから風邪にかかり易い事があります。

ただ一言で「風邪」と言っても、あまり大変ではないウイルスによる軽い症状の時も、何らかの重要なウイルス感染の一つの症状の時もあります。抗生物 質が効く扁桃腺炎の時もあります。2〜3日安静にしていたら自然に良くなる時もありますし、逆に慎重に様子をみた方が良い時もあります。

■妊娠中はついいろいろ気になる事が多いものですが幾つかの注意点をあげておきましょう。


注意点

  1. 他の病気の前ぶれの時がありますから、熱、発疹等が出ないか経過を慎重に観察しましょう。
  2. 他に原因がない時は、身体を休めるのが1番です。 うがい(喉の中にウイルスがいる時は、うがい薬でウイルスを殺し外に出すのが一番効率の良い方法です)、外出後の手洗いは大切。 家族の方にもすすめましょう。
  3. 胃が重い、軟便、下痢などがある時はウイルス性の胃腸炎の時があります。脱水症状が強い時は点滴等で早目の治療が効果的な時があります。
  4. 早期の治療が大切な時があります。 例えば扁桃腺炎の時は早目の抗生物質が必要な時があります。
  5. 但し風邪の主な原因であるウイルスは抗生物質が有効でない事が殆どです。またお薬の中には妊娠中注意が必要な時もあります。
  6. いわゆる風邪薬の中には妊娠中注意が必要な成分が入っている時もあります。病院でお薬をもらう時は病院で、薬局で市販のお薬を買った時は薬剤師に妊娠の時安全かを確かめましょう。 妊娠前にもらっていた風邪薬等を使用する時も必ず問い合わせをしておきましょう。
  7. 全身に発疹が出る、水疱が出てきた時などは予め医師に連絡して受診方法を確かめた方が良いでしょう。 他の妊婦さんに感染する可能性がある病気の場合、予め感染症の可能性がある方の待合室に案内される時があります。
  8. 熱があってつらい時は受付け、看護師、医師らに早目にお話をしましょう。
  9. 赤ちゃんが大きくなってからの風邪は、その原因や、症状、体調の状態によっては流・早産の症状が出る時もあります。全ての風邪がそうという訳ではありませんが、お腹のはり感、腹痛、生理痛様の痛みがある時は医師にその旨告げておきましょう。
  10. 妊娠中にインフルエンザを始めいろいろなウイルスに対する予防注射は可能かという質問がよくあります。 妊娠中の予防注射のうち生ワクチンを使う場合は殆どの場合止めた方が良いでしょう。 インフルエンザの場合は医師とよく相談しましょう。 (インフルエンザの項目をごらん下さい)(生ワクチンは後の生ワクチンの項目をごらん下さい) また妊娠していない時の予防注射でも、予防注射後の妊娠を控えるように言われる時があります。 これらの時は必ず、医師、保健師あるいは看護師からのお話がありますので御注意下さい。

2.腸炎

下痢をおこす腸炎を経験される事があります。

 何らかのウイルス感染の最初の症状の1つとして感冒様症状、そして下痢症状が出る時があります。

これらの症状のあと発熱、発疹等の症状があれば病院を受診すべきでしょう。 明らかに発疹があり、麻疹(はしか)、風疹、水ぼうそうなどの症状が疑われたら皮膚科あるいは内科で検診をうけましょう。血液検査などで診断が確定するでしょう。 赤ちゃんに対するウイルスの影響については産婦人科医が相談にのってくれるでしょう。(内科、皮膚科でも相談にのってくれると考えられます)

 何らかの感染症が疑われる時は予め電話でその旨お話するか、受付けですぐに伝えるようにしましょう。

■ 下痢が強い時は、血液検査をして原因の検索をする他、脱水になっていないか、肝臓や腎臓の機能はどうかの検査がある時もあります。

その時の結果によっては適切な治療がすすめられます。 例えば

  • 脱水がある時 → 水分補給のための点滴をうける
  • 肝臓機能が落ちている時 → 肝臓の保護剤の投与をうける 肝機能を詳しく調べる 専門医への紹介 など

 病院受診の時点で症状に応じて下痢を止めるお薬が出る時もあります。

これらのお薬は赤ちゃんに影響がないというお薬が処方されます。

 お食事にも気をつけましょう。

消化の良い食べ物をとりましょう。但しこの時検査の上で本当に足りないと判断される成分があれば病院から指摘されますし点滴の成分の中に追加されます。自宅で注意と言われた時はよく自分で判断されて食事に気をつけましょう。

 感染(特にウイルス感染)の結果が出たら、また医師からお話があります。このホームページを参考にしていただいて結構です。

3.インフルエンザ

インフルエンザには幾つかのタイプがあり(A型、B型、C型など)、年毎に流行するタイプが異なる事があります。今はヒトからヒトへの感染は確認されていませんが鳥インフルエンザが話題になっています。このウイルスについてわ現在ワクチンが精力的に研究中です。
インフルエンザイはお年寄りを中心に重症化する時もあり、妊婦さんへの感染も気をつけなければならない病気です。


最近インフルエンザかどうか、またインフルエンザだとするとどのタイプか判定する検査が簡単に出来るようになりました。
抗インフルエンザ薬があり、発病して早期(大たい48時間以内)に使用すると有効なお薬もあります。(一般名 オセルミタミビル 商品名 タミフル)しかしこれらのお薬は、妊娠中は症状が重くお薬を使う事が止むを得ないと判断された場合にのみ使用が可能とされています。医師とよく相談しま しょう。
インフルエンザは潜伏期間は約1〜3日。周囲に感染させる可能性は約7日間と考えられています。
インフルエンザは予防が大切です。
1. もし周囲にインフルエンザの形が出た場合は、潜伏期を含めて接触した事がないか考えておきましょう。もちろん感染可能な時期はその分注意が必要です。
2. うがいや手洗いなどは忘れずに
イソジン液はどんなウイルスも殺す作用があります。妊娠中うがい液としての使用は有効でしょう。(但しヨード財のアレルギーのある方、甲状腺の病気のある方は医師と相談しましょう。)
3. 感染した人にはなるべく近寄らない(咳、つば等の飛沫感染があります)ようにしましょう
4. マスクをしましょう。
インフルエンザイに感染したかなと思ったら。
1. 早めに受診し、インフルエンザかどうか診断してもらいましょう。
2. インフルエンザ以外の病気でも、風邪症状、発熱などの症状が出たら早い段階で治療をうけると早く回復するでしょう。
3. インフルエンザの時は早めの治療が大切です。(タミフルの治療も含めて)
4. 妊娠されている方は、体力が落ち重症化する時もあります。必要に応じて入院、いろいろな治療をすすめられる時があります。
5. なおタミフルの使用は医師と相談が必要です。
予め予防注射を受ける事について
1. 妊娠の可能性がある方は、妊娠前にワクチン注射を受けるようにしましょう。
2. 夫や家族の方も、周囲に妊娠の可能性のある方がおられたら予防的なワクチン接種をおすすめ致します。
3. 妊娠中のワクチン投与は赤ちゃんへの利点がないということで積極的には進められてはおりません。ただ生ワクチンではないので、妊娠と気づかずに注射しても赤ちゃんには影響がないと考えられています。
お母さんへの影響
1. 重症になる方もおられます。
2. 入院加療が進められる時があります。
3. 必要な時はオセルタミビル(商品名—タミフル)等が処方される時があります。
赤ちゃんに対する影響
1. インフルエンザウイルス自体は赤ちゃんの奇形の原因になることはないと考えられています。
2. 但しお母さんがインフルエンザに感染し、高熱が続いたり、脳症のような症状が出ると、赤ちゃんを含めた総合的な管理が必要になる時があります。このような時は医師から適切なアドバイスをもらうことが大切です。
妊娠中のインフルエンザワクチンの使用について
妊娠中や授乳中のワクチン投与については、日本と欧米で見解が分かれているようです。日本では原則的に投与がすすめられてはいません。但し用いたほうがメリットが大きいと考えられた時は別という考えのようです。
欧米では妊娠の一定期間(大たい14週をメドにしているようですが)を過ぎた時は、用いても良いあるいは流行がありそうなときは用いた方が良いと解釈される使い方をしているようです。
いずれにしてもワクチン投与については医師とよく相談される事が大切です。

4.水痘(水ぼうそう)

 水痘(水ぼうそう)は水痘・帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルスの仲間)によって起ります。このウイルスに最初に感染して出てくる症状が水痘です。じっと潜伏していて後から帯状疱疹の形で出てきます。

水痘の場合は上気道からの飛沫感染や、接触の感染がありますから、咳等で周囲の人に感染する可能性があります。

  • 潜伏期間は約2〜3週間と考えられています。
  • 発疹が出る2日位前から、1週間位は感染力のある時期です。

 妊娠中の水痘はお母さんの肺炎の原因になる事があり、その時は重症になる事があります。もし咳がひどくなったり、胸が痛くなったり、呼吸が苦しくなったり、発熱があったりしたら重症化が疑われます。十分な注意が必要になります。

また肝臓が悪くなる事がありますので肝機能の検査をすすめられる時があります。

 赤ちゃんに対する影響

赤ちゃんについては3つの時期についての注意があります。

  1. 出生時に出てくる症状(先天性水痘症候群といいます)
    • 妊娠20週より以前に水痘にかかると先天的な異常が出る可能性があります。~低体重、手足の形成が十分でない、小頭症、白内障(目の障害)、知能障害 など
    • 妊娠20週までに水痘にかかると1〜2%の頻度で起こると考えられていますが(Enders Gら:Lancet 343:1547,1994)、幸い日本ではまだ先天異常が見つかった子がいないという研究もあります。
  2. 周産期水痘 赤ちゃんが生まれて5〜10日頃に水痘が発生する事があると言われております。お母さんが分娩前後に水痘にかかると起こり得ると言われております。抗ウイルス剤などが用いられます。
  3. 乳児期帯状疱疹 お母さんが水痘にかかった後、出生した赤ちゃんが、水痘を発生しないで、いきなり帯状疱疹の症状が出る時もあると考えられています。

 水痘にかかった時お母さんはどうすれば良いのでしょうか。

  1. 妊娠している時は抗ウイルス剤を使用して重症化しないようにする時があります。(お薬については医師から説明があります。)
  2. 赤ちゃんが先天的な異常が出る確率は低いのですが、万全を期したい時は、羊水検査を行う事も出来ます。この時は医師と相談しましょう。 また出生後の水痘が心配な時は臍帯血の検査をして早目の診断をうける時もあります。
  3. 出産期にお母さんの水痘が発生して診断がついた場合は、お母さんの感染力がなくなるまで赤ちゃんとは会わないようにするよう指導をうける時があります。

 水痘にかかった時赤ちゃんはどうするのでしょうか。

これは小児科の医師にまかせましょう。多くはガンマ・グロブリンというお注射や抗ウイルス剤の投与をうけるのが普通です。

 水痘(水ぼうそう)にかかった事のない方、記憶にない方は妊娠前に検査をうけておいた方が良いでしょう。

 感染予防のワクチンはありますが、生ワクチンですので、妊娠中に使用する事は出来ません。

5.麻疹(はしか)

よく知られている通り、麻疹(はしか)については以前小児期にワクチン投与がなされていた為、日本での大人の麻疹(特に妊娠された方の麻疹)は少数でした。しかし1994年から希望者だけの接種になったため、大人の麻疹が急速に増えております。大たい年間20万人の方が罹っていると考えられ、しかも15〜39才の妊娠可能な年令の方に多いという厚生労働省のデーターがあります(厚生労働省:国立感染症研究所感染情報センター感染症発生動向調査)。


  • 幸い麻疹ウイルスによる先天異常は考えられていません。
  • 妊娠したお母さんが感染すると、麻疹が重症化する可能性があります。
  • またお産前後に感染すると、出生後の赤ちゃんに麻疹の症状が発生する事があると考えられています。
  • さらに稀な事ですが、お腹の中で赤ちゃんがなくなる事もあると言われていますので重症化しない努力が必要でしょう。

 お母さんに対する影響

  1. 麻疹はお母さんの症状が重症化する事があるので注意が必要です。 周囲に麻疹の方が出たら気をつけなければいけません。 出来れば妊娠前に麻疹にかかった事があるか確かめておくと良いですね(血液検査—どこの病院でも検査可能です)。
  2. 潜伏期と感染する可能性のある時期潜伏期は8〜14日と考えられています。 感染可能な時期は、症状の出る2日位前から発疹が出て約5日目位と考えられています。 感染経路は飛沫感染(つば、咳など)など空気中を通しておこります。 接触感染もあります。
  3. 症状 症状は特徴的な発疹が出ますからすぐ分かるのが普通です(最終的には医師の診断が必要です)。 但し初期の時、全身の倦怠感、発熱、咳、鼻水等軽い風邪の時のような時もあります。麻疹の方が周囲にいる時は注意しましょう。 このような時は早目の血液検査をおすすめ致します。早期の感染の時は麻疹IgMというのを検査する時があります。最初の熱が下がった頃発疹が出て、再度熱が上昇するのが普通です。
  4. 麻疹の方が周囲に出たら、麻疹の方に接触しないようにするのが大切です。 接触したら症状が出る前にガンマ・グロブリンという注射をすると効果がある可能性もあるとの考えがあります。しかしこのガンマ・グロブリンは血液製剤ですから、使用した方が良いかは医師との相談が大切です。

 麻疹の症状が出たら

  1. すぐ治療をうける事が大切です。 肺炎を起こすと大変ですから、安静や脱水予防がすすめられるのが普通です。入院をすすめられる時もあります。
  2. 高い熱がつづくと赤ちゃんの脈が早くなる事もあり、胎児の管理が厳重になる事があります。医師から注意があるでしょう。
  3. 流・早産予防の治療が行われる時があります。
  4. 出産前後に発症したら赤ちゃんと隔離される事があります。医師から赤ちゃんの感染の可能性などについてお話があります。
  5. 出生後の赤ちゃんの麻疹感染が疑われる時は、お母さんの発疹が出現して7日目以降には感染力がなくなるため、可能ならばこの時期まで出産をのばすようにすすめられる事もあります。

赤ちゃんに対する治療

赤ちゃんに出生直後の感染が疑われる時は小児科医から治療の手順が説明されます。ガンマ・グロブリンというお薬が有効に作用するという研究もあります。必要な時はお母さんと隔離される時があります。

妊娠中のワクチン

麻疹のワクチンは生ワクチンですから妊娠中は使用できません。

6.ヘルペス感染症

ヘルペス感染症には幾つかの種類がありますが、妊娠中は外陰ヘルペスが問題になります。

  1. ヘルペス感染によって先天的に赤ちゃんに異常が出る事もありますが、これは極めて稀な事と考えられています。
  2. しかし、妊娠初期にかかったヘルペスがお母さんの膣から上行性に進行して、流・早産の原因になったり胎児の発育不良などを起す可能性もなくはない と考えられています。妊娠の早い時期でも重い感染の症状が出た場合は、きちんとした治療が必要な時もあると言えます。医師とよくお話をしましょう。
  3. 但しだからと言ってヘルペスにかかった事がある、あるいはかかってしまったからと言って心配しすぎたり悲観的になり過ぎないようにしましょう。 医師が適切に治療してくれます。

 ヘルペス感染の時は初めての時と再発の時では症状に差があるのが普通です。

  1. 初めての感染の時
    • 初めての感染の時は症状が出ない時もあると言われておりますが、大ていは痛み、痒み、発熱、排尿痛、鼠径部 のリンパ腺が腫れる等の症状が出ます。症状はとても強く感じる時があります。また発熱は39°台の事もあります。なおこの時外陰部は多数の潰瘍が出来てい ます。感染はセックスによる接触感染が殆どで、潜伏期は2〜14日間と考えられています。
    • 排尿時の痛みが強いため排尿が出来なくなり、尿道から管を入れる時もあります。
    • また稀な事ですが脳症といって意識障害が出てくる時もあります。
    • 妊娠している時に初めてヘルペス感染が起こると重症になる時があると考えられていますので、早目に病院を受診する事が大切です。
  2. 再発の時は初発の時と違って外陰部の軽い痒み、痛痒いという症状だけの時があります。但しやはり妊娠中は悪くなる時がありますので注意しましょう。

 赤ちゃんの感染

  1. 産道での感染に注意が必要です。 平均すると妊娠した時に初めて感染した時は50%の確率で、再発の時は1〜3%の確率で赤ちゃんに感染する可能性があると考えられています。 産道よりの感染予防のために川名先生のヘルペス合併妊娠の方の管理があります。(川名尚:産婦の実際 50:1141,2001) 性器ヘルペス合併妊娠の管理(川名 尚,2001)

    分娩様式の選択

    1. 分娩時に外陰病変あり………帝王切開
    2. 分娩時に外陰病変なし………経膣分娩
      1. 初感染 発症より1カ月以内————帝王切開 発症より1カ月以上————経膣分娩
      2. 再発型または誘発型(非初感染初発) 発症より1週間以内————帝王切開 発症より1週間以上————経膣分娩

        このようにきちんと管理の方法が確立されていますから、もしヘルペスに感染しても過度に心配しすぎないようにしましょう。しかしあくまで医師との相談は大切です。

  2. もし赤ちゃんにヘルペス感染症があったら。
    • 小児科医や産科担当医から治療についてのお話があります。抗ウイルス薬であるアクロシビル(商品名 ゾビラックス)などが用いられます。 また出生後入院期間を延ばして慎重に赤ちゃんを観察する時があります。

 妊娠中に使用される抗ウイルス剤はどう使われるのでしょうか。また赤ちゃんに安全なのでしょうか。

妊娠中に発生するヘルペスが増えてきているため、大勢の方に抗ウイルス剤が用いられてきています。 今の所、赤ちゃんに重大な影響は出ていないと考えられています。抗ウイルス剤を用いる方が、ウイルスによる害に優ると考えられています。 これらのお薬は感染された方の症状や赤ちゃんへの影響の程度などを慎重に考慮された上で、点滴、経口、軟膏の形で用いられます。 治療については医師から詳しくお話を聞く事が大切です。よく理解された上で治療をうけられる事が大切です。

7.流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

妊娠中におたふく風邪にかかる事はめったにないと考えられています。しかし逆に妊娠中に感染した時の情報が少ないため、感染した場合、どうしたら良いか迷われる方がおられるようです。


 おたふく風邪の潜伏期間は約14〜21日間です。感染可能な時期は、耳下腺が腫れる(おたふく風邪の典型的な症状です)数日前から腫れが引くまでは感染性があるとされています。

 症状は当初風邪のような症状から耳下腺や顎下線(あごの下にある唾液腺)の腫れが出ます。但し耳下腺などが腫れる病気全てがおたふく風邪ではありません。専門の医師(内科など)の検診をうけ、必要なら血液検査をうけましょう。

いろいろな検査法がありますが、症状が出ているとIgM抗体というのを調べると、最近の感染か分かる事があります。医師に話を伺いましょう。 なお感染は飛沫感染です。

 胎児に対する影響

お腹の赤ちゃんに先天性の奇形をおこす事は無いと考えられています。但し妊娠初期に感染すると流産率が高くなる可能性もあると考えられています。

 お産の時期にお母さんが感染すると赤ちゃんに感染する可能性もあると考えられています。

  • 現在のところ稀な事とされていますが、赤ちゃんが肺炎になったり髄膜炎になる事がある可能性もあるとされています。
  • お母さんがおたふく風邪にかかり、赤ちゃんが感冒様の症状が出たり、耳下腺が腫れたりしたら、担当の医師が注意してくれます。

 ワクチン投与

おたふく風邪のワクチンは生ワクチンですから妊娠中に使用するものではありません。

8.りんご病

ヒトパルボウイルスというウイルスによって感染する病気で「りんご病」としてよく知られています。


 りんご病の症状

  • 小児がよく感染しますが、小児がかかると頬に伝染性紅斑という赤い発疹が出て、リンゴのほっぺのようになる事から「りんご病」という別名がついています。
  • しかし大人が感染すると手や膝などの関節痛や、手足のレース状の紅い発疹が出る事があります。
  • 発疹が出る前の初期には風邪のような症状が出る事が多いのは他のウイルスによる病気と似ています。症状が進んで発疹が出ると、「りんご病」の診断がはっきりする事が多いのですが、最初の風邪の様な症状が出ている時が最も感染し易い時期です。周囲にりんご病の方が出て、風邪のような症状があったら早目の診察をうけましょう。

 発疹の出る10日位前から発疹が消える頃までが感染力のある時期です。

この病気は主に飛沫感染です。 また感染力は比較的強いと考えた方が良いでしょう。

 ウイルスの検査はパルボウイルスのIg-M抗体とIgG抗体を測定するのが普通です。 IgM抗体は感染してから比較的早い時期に検出されますか ら、これが陽性の時は妊娠している方は注意しましょう。(感染して10日目位から検出されますので発疹が出た時はだいたい判定が可能です。)

但しIgMもIgGも病気が潜伏期の早い時期には反応が出ませんので、反応(−)だからと言って速断してはいけない時もあります。

 胎児への影響は気をつけなければいけない事があります。

  1. 出生後の赤ちゃんの奇形発生率は低いと考えられています。
  2. ウイルスが胎盤を経由して赤ちゃんに移行し、流・早産の原因になる事もあると考えられています。勿論感染したすべての方がそうなる訳ではありません。
  3. 妊娠中の赤ちゃんに影響するもう1つは胎児水腫といい、胎児の皮膚の下、胸部(胸水といいます)、腹水等が出て赤ちゃん全体にむくみが出る病気が起る事が稀にあります。 胎児水腫は自然に良くなる事もあると考えられていますが、もし「りんご病」に感染し、お母さんのIgM抗体が陽性で、パルボウイルスに感染した事が分かった時は、医師とよくお話をしましょう。普通は超音波検査を定期的に行って胎児水腫の経過を見ます。またこうした赤ちゃんを検診する専門医のいる病院を紹介される時もあります。

 お腹の中にいる赤ちゃんに感染があるかどうかを検査する時もあります。

羊水のウイルスのDNAの測定(羊水検査で分かります)、お腹の中の赤ちゃんから採血してDNAを測定する時もあります。

 胎児治療がすすめられる時もあります。

赤ちゃんを、お母さんのお腹の中にいる時から治療をする方法もあります。胎児治療といいます。医師から詳しくお話があるのが普通です。

9.手足口病

手足口病はエンテロウイルスというウイルスが原因でおこります。主に乳幼児の小さい子におこる病気です。

このウイルスの仲間には小児マヒの原因となるポリホウイルスもありますが、幸い日本ではこの所小児マヒの発生はありません。 またこのウイルスは喉の中にウイルスがついて発赤、痛みがおこるヘルパンギーナという病気やウイルスでおこる髄膜炎の原因になる事があります。しかし手足口病になると髄膜炎になる可能性が高くなるという事ではありませんから御心配なく。主に小児科の医師が診察し、きちんと管理してくれます。


 消化器を通じての感染が主な感染経路ですが、手足口病は飛沫感染が主です。

 便の中にウイルスが出ている期間は長いと4週間位に及ぶ事があります。お子さんがかかった時は、この事を考えて少しの期間注意しましょう。

 妊娠している時胎児には影響しないと考えられています。今のところ赤ちゃんの奇形の心配もありません。ただ流産する可能性はあるとも考えられています。

 予防と治療

主に周りにいるお子さん達に症状が出る事が多いため、これらの診断がついた時は、自分のお子さん以外の時は、なるべく近寄らないようにしましょう。 またこの時は手洗いを十分にしましょう。

 生まれた赤ちゃんに気をつけた方が良い時があります。

もしお母さんにウイルス感染が起ると、出産の前後に赤ちゃんに感染がおこる事があります(主に髄膜炎をおこすエンテロウイルスの時)。この時は新生児に症状が出る事があります。普通は担当医、小児科医が慎重に経過をみます。

10.水いぼ(ポックスウイルス感染)

 水いぼは伝染性軟属腫と言われ、子供に多く起こるウイルス性の病気です。ただし大人にも起こりますが、この時は性感染によって起こる可能性があると考えられています。女性の場合、婦人科か皮膚科で治療します。

 水いぼの潜伏期間は長く2〜7週間という時があります。

 大人の場合セックスが原因の事がありますが、家族内での感染がある時もあります。入浴時のタオルは別々にしておいた方が無難です。

 お腹の中の赤ちゃんへの影響

現在の所胎児には影響がないと考えられています。ただお産の時、産道を通じての感染の可能性はあると考えられます。しかしそれでも赤ちゃんが生まれた後、何か重症化する病気になる事は今のところ考えられていません。

 治療は水いぼが出来ていれば、妊娠中は治療をうけて、お産までに治しておくようにしましょう。

婦人科や皮膚科で小切開でとったり、レーザーメスで切開する事もあります。治療後細菌感染を予防するための抗生物質入りの軟膏が処方される事があります。 しかし水いぼそのものを治すお薬やワクチンはありません。 なお夫やパートナーにも水いぼが出来ていないか確かめておきましょう。

11.クラミジア感染

 クラミジア感染の時は自分でおり物などの症状がある時。夫やパートナーがクラミジアと言われる時もありますが、実際の所自分で何も異常を感じられない方もいます。

 クラミジアはなぜ注意が必要なのでしょう。

  • 1つはクラミジアと不妊症の関係で、これはよく知られた通りです。(クラミジア感染症、不妊症 の項目をごらん下さい)
  • もう1つは妊娠とクラミジア感染です。 クラミジア感染にあまり気づかないでいると、感染が子宮の中に広がり、流・早産の原因になる事があります。このため妊娠中に「症状に現われないクラミジア感染がないか」調べる時があります。クラミジア感染症があると言われても医師とよくお話をし、あわてずきちんとした治療をうけましょう。そうすれば赤ちゃんに影響が出る事はまずありません。しかし治療を受けなかったり、不十分な時は赤ちゃんに影響が出る事もあります。

 クラミジア感染があると言われた時は、

  1. 抗生物質の内服が必要です。 抗生物質は妊娠中は内服薬の種類、内服期間、内服する時期が大切になります。 また症状の重さ(おり物が多いか、流産しそうだという症状が出ていないか)等にもよります。 医師とよく相談しましょう。
    • お薬によっては赤ちゃんに対する安全性が確認されていないものがあります。
    • 妊娠中に内服しても良いというお薬を内服する事が大切です。
    • もし流産しそうだとか、クラミジアの感染が重症だという事がなければ、胎盤が十分機能する時期から開始した方が良いかも知れません。これも医師と相談しましょう。
  2. 夫、パートナーは必ず検査をうけましょう。 夫やパートナーにクラミジアがいれば本人だけが治療しても再感染の可能性が高くなります。男性は泌尿器科が専門ですから検査をうけましょう。 身近に泌尿器科がなければ、最近男性は尿の検査だけで判定できる方法もありますので内科など身近な医師と相談しましょう。検査が可能と言われれば受診して、判断をうけましょう。
  3. クラミジア感染があった場合、念のため赤ちゃんが生まれる前にもう1度検査をうけておくよう勧められる時もあります。
  4. 夫、パートナーにクラミジア感染があると分かった時は、お互い検査が陰性になるまでセックスはしないようにしましょう。
  5. クラミジアはきちんと治る病気です。 妊娠中にかかっても治療さえ十分なら赤ちゃんに影響する事はまずないと考えて下さい。その意味であまり考えすぎる事のないようにしましょう。心の平静も大切ですね。

 赤ちゃんにはどんな影響がある可能性があるでしょうか。

  1. 治療が十分であれば心配ありません。
  2. 治療が十分でなければ出生後、結膜炎の症状が出る事があります。目やにや充血が出てきます。症状が重いと肺炎になる事があると言われております。鼻水、苦しそうな呼吸、咳など。この際赤ちゃんには抗生物質が使用されます。

12.淋病

  • 男性が淋病に感染するとほとんどの方は排尿時に耐え難い痛みに襲われます。
  • それに対し女性は注意深くみてみると、いつもより分泌物(黄色の帯下)が多いと感じるだけの事があります。感染後比較的早目、数日で症状が出ます。
  • 妊娠中自覚的な症状があって分かる時もありますが、検診中に分泌物の検査をうけて医師から初めて指摘をうける時もあります。

 お母さんに対しては、おり物が多くなるための不愉快な症状の治療として、また万が一の流・早産の予防のためとして治療が大切です。抗生物質が良 く効きますが、最近はお薬に対する抵抗性の強い菌がいます。また妊娠中は使用するお薬にも制限があるため医師と相談しましょう。

 赤ちゃんに対する影響の可能性については、妊娠中で治療が十分でない時は流・早産の可能性が出てくる事です。

生まれた赤ちゃんは結膜炎などの症状が出る時があり、出生後点眼薬や内服薬が必要になる時があります。

 治療

  • 治療としてペニシリンを始めとする抗生物質が効きます。これらのお薬の殆どは赤ちゃんに影響がありません。
  • 最近薬剤の効きにくい菌がありますので治療後は再検査をうけて感染がなくなった事を確かめましょう。
  • 夫、パートナーは必ず病院で感染があるか、感染があって治療したら治療後の菌の有無の確認が大切です。お互い治癒したと判断される迄はセックスは控えましょう。

13.梅毒

■ 梅毒とは

性行為で感染する病気ですが、最近少ない病気です。しかし産婦人科で時々見つかる病気である事は確かです。この頃急激に増えているクラミジアや若い女性に増え出した淋病に注目が行っていますが、依然として注意しなければいけない病気です。その理由は、もし梅毒感染があり治療が十分行われていなければ、赤ちゃんに対する影響がクラミジア等より強いからです。 現在でも妊娠したら必ず検査をうけた方が良いという項目に入っています。

  • 梅毒は検査に異常が出ても必ずしも感染ではない事があります。 梅毒の検査は普通妊娠の際に血液型の検査などと同じように行われる大事な検査の1つになっています。 しかし検査で梅毒の反応が陽性でも、実は梅毒ではないと言う事があります。また実際そういう方は多くおられます。 その理由は、梅毒の検査は抗体と言って梅毒に対する抵抗力を測定するのですが、自分は患っていなくても、親からその抗体だけを受け継ぐ事があります(これを先天性といいます)。また妊娠した時、膠原病がある時またどこかに腫瘍があった時に梅毒ではないのに、検査が陽性になる事もあります。これを生物学的疑陽性といいます。

 梅毒検査はどんな検査が行われるのでしょうか。 このため妊娠中に梅毒検査(スクリーニング検査といいます)が陽性に出た時は、本当の梅毒がどうかを詳しく調べる事が大切です。これは血液検査で調べます。

  1. まずスクリーニング検査はSTS法とTPHA法で行います。病院によってはTPHA法だけという所もあります。 STS法とTPHA法をくみ合わせると次のように判断される事が普通です。

STS検査(+)(+)(−)(−)
TPHA検査(+)(−)(+)(−)
梅毒が考えられる。精密検査、治療生物学的疑陽性が考えられる。稀な事ですが早期の梅毒が考えられる事もあります。一応医師と相談先天性の可能性があります。梅毒の治療後の時があります。古い梅毒の時があります。一応医師と相談梅毒の可能性はほとんどありません。稀ですが検査が早過ぎる時があります。(潜伏期の時)

1.これらの検査で梅毒の疑いが出た時はさらに詳しい検査がすすめられます。

  1. FTA-ABS検査……これが陽性なら梅毒と考えられます。
  2. STS定量検査、TPHA定量検査、FTA-ABS定量検査……これらの検査で値が高く出ると梅毒の確定的な診断に役立ちますが、治療により梅毒が良くなったかの判断の材料にもなります。

梅毒になるとお母さんや赤ちゃんにはどんな影響が出るでしょうか。

  1. 先程述べた通り梅毒検査で陽性と出ても実際は違う事が多くあります。
  2. もし梅毒と診断されても妊娠早期に診断される事が多いため、早期の治療をうける事が可能です。このためお母さんや赤ちゃんに影響が出る事は少ないと考えて良いでしょう。
  3. 発見が遅れた時、検査をうけていなかった時は
    • お母さん……流・早産の可能性があります。 お腹の中の赤ちゃんの成長が悪い(IUGRといいます)ことがあります。
    • 赤ちゃん……先天性の異常が出る事があります。
    • 赤ちゃんに関しては出生後早期に症状が出る場所と比較的遅くに出る場合があります。(7〜14才位)
    • 主な症状……鼻の変形、水頭症、脳障害、歯の異常 骨や軟骨の異常、難聴、皮膚の症状など

治療

  • ペニシリン系のお薬がよく効きます。妊娠中は診断がついた時に1ヶ月内服するのが普通ですが、血液中のSTSやTPHA、FTA−ABSの値をみながら治療します。
  • 念のため分娩前に内服をすすめられる時もありますが、医師が詳しく説明してくれるのが普通です。なおお母さんにペニシリンアレルギーがある時は別のお薬がすすめられます。
  • 赤ちゃんに影響が出ていないか、出生時臍帯血中のTPHA IgMを調べて、これが陰性であれば治療効果が高かったと判断されています。しかしこの事も主治医とお話をしておきましょう。

14.尖圭コンディローマ

■ 尖圭コンディローマは外陰部に出来る小さなイボのようなおできです。

主にセックスで感染する病気ですが、HPVウイルスというウイルスが原因です。殆どが良性ですが顕微鏡レベルの検査で(病理学的検査といいます)、悪性腫瘍と区別が困難な時もあります。このため切除された時はこの病理学的検査をうける事がよくあります。 普通は感染後数週間から数ヶ月後に症状が出ますが、以前感染したコンディローマが再発する可能性もあります。なお自然に消える事もありますが、放置しておくと数が増える事もあります。早目の治療をうけるに越した事はありません。また尖圭コンディローマがあると、他の感染症がある時もありますので、妊娠中は必要と言われたら他の感染症についても検査をうけた方が良い時があります。

 お母さんに対する影響 夫やパートナーに感染させる事があります。

 赤ちゃんに対する注意

  • 赤ちゃんに対しては、このコンディローマが膣内に出来ている時は要注意とされています。出生後赤ちゃんのの どや気管に「イボ」が出来る事があると言われています。お産近くにコンディローマが出た方は、膣内にも出来ていないか慎重に診察をうける事が大切です。ま た一応コンディローマが出来た事のある方は、分娩近くになったら、その旨お話をしておいた方が良いでしょう。
  • なお赤ちゃんの先天異常の可能性はありません。

 治療は電気メスやレーザーメスで「イボ」を切除します。また液体窒素などで冷凍治療する時もあります。ただ出ている「イボ」は治療可能ですが、 最初の治療の時は皮膚表面に出ていなかった「イボ」が次に受診した時に新しく出ている時があります。その時は小さくて数が少ないため、その場ですぐ切除されたりする事があります。

15.膣・外陰カンジダ症

赤ちゃんへの影響は 赤ちゃんへの影響は殆どありません。ただ稀ですが、分娩時に産道にカンジダがいると、赤ちゃんの皮膚にカンジダが感染し発疹が出る時があります。
また鵞口瘡といって口にカンジダが出る時があります。赤ちゃんの体重が小さい時(低体重出生児)の時は注意が必要な時があります。 妊娠中にカンジダ症と言われた事のある方は分娩前にチェックをうけておいた方が安心かも知れません。(検査は簡単です)

16.膣トリコモナス症

トリコモナスがいてそのまま妊娠を継続すると赤ちゃんの奇形の原因にはなりません。しかし細菌性膣症とって、流・早産の原因になったり、早い週数での破水の原因になる事があると考えられています。トリコモナスがいると言われた時はきちんと治療しましょう。殆ど7〜14日間の膣錠投与で治癒します。 夫やパートナーの治療も忘れずに。 (C)妊娠中のワクチン使用についての目やす 現在主に用いられている生ワクチン すべて使用禁止が原則


  • 麻疹×
  • 風疹×
  • ポリオ(小児マヒ)×
  • ムンプス(おたふくかぜ)×
  • 水痘×
  • 黄熱病×
  • BCG△
  • 妊娠中は生ワクチンというワクチンは使用禁止が原則です。
  • BCGは完全に使用禁止の中には入っていません。恐らく心配はないのではないかと考えられています。
  • 生ワクチンではない不活化ワクチンは赤ちゃんに影響がないと考えられ、必要と考えられる時は使用がすすめられます。
  • 妊娠中のワクチン使用については医師とのお話が大切です。

17.風疹

風疹は飛沫感染によりおこる病気です。 潜伏期間は14〜21日間位とされています。 周囲で風疹の感染があった場合、あるいは風疹の方と接触した方は注意が必要です。


 症状

感染すると発熱、発疹、リンパ腺の腫れが起こります。特に発疹は全身に小さな赤い点状で出してくる特徴的な症状が出ます。これらの症状は「3日はしか」と言われる程ですから、比較的、短期間に良くなる事が多いようです。ただ、たまに風のような症状で直ることもあると言われています。自覚的な症状が殆どない事もあると考えられる事から、妊娠中の検査をおすすめする病院もあるようです。

 お母さんに対する影響

妊娠中のお母さんに対する影響はないと考えられています。

 赤ちゃんに対する影響

赤ちゃん(胎児)に対する影響については注意が必要です。妊娠中に風疹が出る可能性があります(但し全ての赤ちゃんに出ると言う事ではないと考えられています)

  • 先天的風疹症候群
    1. 難聴
    2. 先天性白内障(目の病気です)
    3. 心臓の奇形 これらが主な症状ですが、これらの症状とともなった時、先天的風疹症候群といいます。
  • 風疹した時期が問題になります。

    妊娠中に風疹に感染すると約40%の確率で風疹症候群がおこると考えられています。 この異常は妊娠中の初期に感染するほど異常が出る確率が高く、20週を過ぎると胎児への影響は極めて少なくなると考えられています。

検査

  1. 最初に行われる検査 血液検査で風疹の抗体を調べます。(HI法) 結果は8倍以上→16→32→64→128→256→512→…という倍々になった値で出ます。

18.トキソプラズマ症

妊娠された方が実際に何らかの症状が出る事は殆どありません。妊娠中の血液検査で異常が指摘される方が殆どです。

 なぜ妊娠中に血液検査が行われるのでしょうか。

これは、もしトキソプラズマ症になったら赤ちゃんに異常が起る可能性があるからです。トキソプラズマに関しては長い事日本では赤ちゃんに異常が出る事は無いとされてきました。しかし最近は風疹程高い確率ではありませんが、赤ちゃんに異常が出来る可能性もあると考えられるようになってきました。検査で異常が出た時は、精密検査や念のための治療をうけるよう勧められる事があります。

 妊娠中の検査

トキソプラズマ抗体を調べます。抗体が(−)の時は問題ありません。 トキソプラズマ抗体が(+)の時は、どこかでトキソプラズマに感染した事があるという事になります。この時は妊娠中に感染したかどうかが問題になります。

 妊娠中にトキソプラズマ感染が起ったかどうか

妊娠中にトキソプラズマ感染が起ったかどうかはトキソプラズマ抗体のIgM、IgGを調べるのが普通です。
IgMが陽性の時は検査を受ける前、つまり妊娠中に感染した可能性があるため、念のためさらに詳しく調べる事をすすめられる事があります。

→ トキソプラズマ症に詳しい医師と相談しましょう。

 精密検査とは

  1. トキソプラズマIgG抗体のアビディティ検査という検査・・・この検査で感染時期が4ヶ月以内かどうかが分かると言われております。
  2. また羊水検査がすすめられる時があります。

 赤ちゃんに対する影響

  • 流産、早産
  • 水頭症(稀な事とされています)
  • 結膜炎
  • 予定週数に比べて赤ちゃんが小さい(IUGRといいます)

 原因

以前はペットから感染する可能性が高いと考えられていました。妊娠前から飼育しているペットなら問題ないという考えがあります。 最近はガーデニング等の土に触れる機会がある方、海外旅行(特にヨーロッパ)、生に近いお肉を食べる事にも注意した方が良いと考えられています。また妊娠中は新しいペットを飼うのは止めましょう。

 治療

妊娠中はアセチルスピラマイシン(商品名)というお薬を使う事で赤ちゃんの感染を高い確率で予防出来ると考えられています。またさらに強いお薬もありますが、いずれにせよお薬の使用には医師から説明があります。 また赤ちゃんに感染が疑われる時は出生後の臍帯の血液検査をすすめられるのが普通です。

※一度トキソプラズマに感染した際は2人目以降の赤ちゃんに異常が出る事は無いと考えられております。

19.B群溶血連鎖球菌(B群溶連菌といいます)

 B群溶連菌感染てなに?


あまり聞き慣れない言葉かも知れませんが「B群溶連菌が出ています」と言われる事があります。この細菌はもともと人間の身体にいるバイ菌ですが、外陰部や膣の中にもいます。身体が疲れたり、何らかの原因があると膣内でこの溶連菌が増える事があります。 溶連菌があまり増えると流産や早産の原因になる事もあり得ると考えられています。また感染があり破水した場合、時間が経つと赤ちゃんに影響がある可能性も否定は出来ないと考えられています。

 どんな時検査をするのでしょうか。

  1. 病院によっては自分で感じる症状(自覚症状といいます)がなくても妊娠の32週〜36週頃に検査をすすめる所があります。これはもしこの時期にB群溶連菌の感染があったら予め治療をしておいた方が早産の予防が出来るという事と、万が一の赤ちゃんへの感染を予防しようとする考えからです。検査の時や少なくとも何か異常なデーターが出たら医師から説明があるでしょう。
  2. またこの感染があると白色や、黄色のおり物— 帯下 —が増えてくる事があるため、妊娠中におり物が増えてきた時は検査をうけるようすすめられる時があります。
  3. またおり物が多い上に、お腹の張りや腹痛のある時は、さらに検査をうける必要性が増えるとも言えます。 但し妊娠中にお腹の張りが出てくる状態は、溶連菌の感染以外いろいろな原因で起こる事があります。お腹の張り=溶連菌感染ではありません。心配な事があったら医師と相談しましょう。
  4. 破水して時間が経っても赤ちゃんが生まれない時は、膣の中でB群溶連菌が増え、将来の赤ちゃんの感染のもとになる可能性がないか検査をうけたり、予め抗生物質の投与をうけるようすすめられる時があります。
  5. また通常妊娠37週以降に破水が起こるのは普通です。でも36週前に破水が起こった時は何も特別の異常のない時もありますが、B群溶連菌を含め何らかの異常がある時があります。 こうした時にも検査がすすめられる事があります。

 お母さんや赤ちゃんに対する影響

  1. お母さんには流産や早産の原因になる時があります。
  2. 赤ちゃんにはB群溶連菌による感染がおこる可能性があります。
    • こうした場合は、 赤ちゃんが生まれた直後から元気がなかったり、お乳を吸う力が弱かったり、呼吸が早かったりするなどの症状が出る事があり、その後急激に熱が出たり、体力が弱くなったり、肺炎の症状が出たりする事があります。また髄膜炎のような症状が出る時もあるため重症化しないようにしなければなりません。入院中に病院のスタッフが注意して観察してくれます。でも何か心配な事があったらすぐ相談しましょう。
    • 生まれた直後は哺乳力が強かったのに少しずつ体力が弱くなるような時もありますから、少しおかしいと思ったらやはり専門家にお話をして下さい。

 感染があった場合

  1. 妊婦さんにすでに感染があると判断された時は早目の抗生物質の内服が有効です。分娩の時に抗生物質が用いられる時もあります。
  2. 赤ちゃんの感染が疑われた時も早目の検査と治療が大切です。必要だと考えられた時は、出生直後から、感染がないか、いろいろ赤ちゃんの検査をすすめられる時があります。 また症状が疑われる時は検査の結果が出る前に、赤ちゃんに対する治療が始まる事があります。
  3. なお治療に使われるお薬はペニシリン系統が主体です。 お母さんにペニシリンアレルギーのある方は予めお話をしておきましょう。

20.B型肝炎

 妊娠中のお母さんにB型肝炎の症状が出る事はめったにありません。

ただ妊娠中の検査でB型肝炎の抗原が陽性と言われる方は時々おられます。B型肝炎は約130万人の感染者がいると考えられています。日本では肝臓癌の方が年々増えておりますが、(部位別にみてみると1位は肺癌、2位は胃癌、3位は肝臓癌です—2002年)、B型肝炎が原因と考えられる肝臓癌の方は増えておりません。B型肝炎の方は自然治癒の方が多いと考えられています。

 注意すべき点があります。

しかし3つの事で注意が必要になっています。

  1. 自然治癒される方が多いのですがそれでもB型肝炎→肝臓癌になると考えられる方がおられるだろうという事。そしてその大部分が母子感染であると考えられている事。
  2. 母子感染を予防するためにいろいろ治療が行われているのですが、何らかの理由で約3割もの赤ちゃんが治療を中断しているという事が分かっているという事(森島恒雄:ウイルス母子感染防止に関する調査研究,平成13年度厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)分担研究報告書,2004)
  3. 従来の母子感染のほか、海外での性交渉が原因と考えられるB型肝炎の方が増えており、しかも慢性化する可能性がある事です。 これらの点を考えると少なくとも①、②の2つの面からは、お母さんから赤ちゃんへの母子感染を起こらないようにしなければなりません。

 B型肝炎の治療

幸いB型肝炎は自然治癒も多いので仮に妊娠の検査中にB型肝炎の抗原が陽性と言われても心配せず、冷静に判断しましょう。現在肝機能が正常であれば、お母さんに急に肝機能障害が起こる可能性はまず無いと言って良いでしょう。しかし機会があれば内科で肝機能や、肝炎のDNAの検査をうける事は悪い事ではありません。

 母子感染を予防するために。

母子感染を予防するためには、HBs抗原陽性の方はHBe抗原とHBe抗体を検査する事が大切です。

  • これはHBs抗原陽性でもHBe抗原が陰性の時は赤ちゃんへの母子感染の危険性は少ないと考えられているからです。
  • 一方でHBs抗原陽性でHBe抗原陽性の方は特に注意、HBe抗原陰性でもHBe抗体陽性の方は、それなりの注意が必要です。医師から詳しくお話があるでしょう。
  • 現在母子感染を予防するために厚生労働省から次のような方法で母子感染予防のマニュアルが出されています。
    • まず出生後肝炎予防のグロブリン投与
    • 出生2ヵ月後より3回予防ワクチンを投与する方法です。

  • HBs抗原陽性でも、HBe抗原・抗体の状態で出生後の赤ちゃんの管理が異なると考えられます。
  • またInaba方式と言ってグロブリンとワクチンの投与の時期をかえ、お母さんの通院の負担を少なくしようという試みもあります。主治医とよくお話をしましょう。

21.C型肝炎

C型肝炎は、かかった直後の症状は軽い事が多いのですが慢性化する可能性がある病気です。自然に治癒する可能性は20%位と考えられます。 慢性肝炎 →肝硬変 →肝臓癌と進む事がありますから注意が必要です。 C型肝炎は妊娠中に検査する事が多いのですが、もし肝炎抗体(HCV抗体)が陽性の場合は夫、パートナーや御家族も一度調べられていた方が良いでしょう。 特別の事が無い限り一生のうち1回調べておくだけで良いと考えられています。


 妊娠中にC型肝炎検査(HCV抗体)が陽性と言われたらどう対処すれば良いのでしょうか。

  1. HCV抗体陽性をどう考えるか。 妊娠中HCV抗体といってC型肝炎にかかった事が無いか検査する事が多くなりました。 現在お母さんがHCV抗体陽性の時は約10%の確率で赤ちゃんの感染がおこる − 母子感染 −と考えられています。
  2. HCV抗体陽性の時はどうしたら良いでしょう。
    1. お母さんにとって何か赤ちゃんに良くない事が起ると困りますね。今のところ日常生活で赤ちゃんに感染する事は無いと考えられています。 母乳をあげる事も構わないと考えられてきていますが、一方であげない方が良いとの考えもあります。産科担当医や小児科担当医とお話をしておきましょう。
    2. C型肝炎の原因となるウイルスはRNAウイルスというウイルスのため、分娩近くになって、このHCV−RNAウイルスがいるかどうかで、母子感染の可能性を判断するようになってきました。今の所HCV−RNAウイルスが陰性だと母子感染は殆ど考えられないという研究が多いようです。(稲葉憲之ら:産と婦・72:980,2005)
    3. HCV抗体陽性と言われた方は、医師から詳しくお話を聞く事にしましょう。HCV−RNAウイルス検査についても心配な方は医師と相談される事をおすすめ致します。
  3. 生まれた後の赤ちゃんは定期的な検診をうけられた方が良いでしょう。
    • 厚生労働省の研究(白木和夫ら:日本小児科誌109:78,2005)では10%位の母子感染がある事が分かっていますから、出生後は小児科医とよく相談をしておく事が大切です。
    • 赤ちゃんの抗体検査だけだと、お産の後お母さんの抗体が赤ちゃんに行っているだけで、本当の感染では無い事があります。
      • 本当に感染があったかは出生後にHCV−RNAを測定すると良いという考えがあります。
      • 検査が必要か、検査をするとしたらどの時期が良いか、一緒に肝機能検査もうけた方が良いかは医師がお話してくれるでしょう。 またこの時HCV−RNAが陽性の時は小児科医から次の検診の時期や検査の項目についてお話があります。 HCV−RNA陰性の時も念のため数ヶ月に1回の検査をすすめられる事があります。またこれらの検査で反応が出なければ大丈夫ですと言われる時があります。
    • 母子感染が確認された方でも自然治癒の方がおられます。 また母子感染の約30%の方が生後3年以内に血中HCV−RNAが陰性になると言われています。しかし自然治癒をだまって待っていてはいけませんね。きちんとした検診をうけましょう。
    • 出生した直後はC型肝炎に感染していても特別強い症状が出る事は少ないと考えられています。
    • 小児期にC型肝炎の症状が出る時はありますが、その際にはいろいろな治療が試みられます。その際は専門医から詳しくお話を聞きましょう。

22.HTLV−1(成人T細胞白血病ウイルスという意味です。)

 妊娠初期に検査をすすめられる事があります。

聞き慣れない言葉でしょうがウイルスで起こる事が分かっている白血病の一種です。このウイルスに感染すると必ず白血病になるという訳ではありません。今の所将来症状の出る方はむしろ少数であると考えられています。またセックスで感染する場合があると言われますが、仮に感染しても発症まで40〜50年かかると言われています。しかし検査で陽性と言われたら、専門医と詳しくお話をし、安心しておいた方が良いでしょう。

 お母さんの側については良く専門医のお話を聞きましょう。

赤ちゃんについては、母乳によるウイルスの感染の可能性があります。このウイルス感染があると言われた方は①母乳をあげないか②1度母乳を冷凍あるいは加熱してあげる方法が考えられています。しかし授乳については小児科医とお話をしてから投与方法を考えられる事が大切です。

23.サイトメガロウイルス

 サイトメガロウイルスという名前は殆どの方が聞いた事がないと思います。

このウイルスにかかっても風邪の様な症状が出るだけで、他の多くのウイルスの病気のように、発疹など赤ちゃんに影響するかも知れない症状が出る事はないと考えられています。 しかし以前はお母さん方の殆どがこのウイルスに対する抵抗力(抗体)をもっていて、赤ちゃんに影響が出る事はありませんでした。ところが最近はお母さん方にこのウイルスに対する抵抗力がない方が増えてきているのが分かってきました。

■ 最近サイトメガロウイルスによる感染に注意しようという動きがあります。

サイトメガロウイルスに対する抵抗力がないお母さんが少しずつ増えています。またこのウイルスが原因と考えられる赤ちゃんの異常が見つかるようになってきたという事もあります。

 考えられる赤ちゃんの異常

  1. 精神的な発育障害(脳の異常)
  2. 聴力障害
  3. 視力障害 など

 どこから感染する可能性があるのでしょうか。

妊娠している場合は、妊娠中初感染した場合と、セックスが原因の時が考えられます。

 どうやって調べるのでしょうか。

  1. 発熱や発疹等の症状が出る病気であれば、何か症状が出た時に検査します。またB、C型肝炎や梅毒、風疹のように症状の有無に拘らず妊娠中に検査をした方が良い項目にも入っていません。
    実は妊娠中に検査をして、この値が出たら異常というのも明確な基準も定まっていません。その分むずかしい所があります。
  2. 検査をうけておきたいと考えられる方は、通院している病院で血液検査をうける事が出来ます。
  3. 病院によっては予め検査をうけるようすすめる所もあります。
    1. この際ウイルスの検査が陰性の方は、妊娠中感染する事があるため夫とのセックスを控えるか、コンドームの使用がすすめられる時があります。
    2. ウイルス抗体が高い時は、最近感染した可能性もあるという事で再検査や精密検査(羊水検査や血中のIgM検査など)、慎重な妊娠検査をすすめられ る時があります。しかし実際の所このウイルス抗体がどの値以上になれば異常値なのか、まだはっきり基準が出来ていないと考えられています。ある程度抗体が 高いと言われた時は医師とよくお話をしましょう。

 治療

もし妊娠中サイトメガロウイルスの感染が明らかだと分かった時は、抗ウイルス剤などによって治療をうけるようすすめられます。この時は担当医からお薬の効果、考えられる副作用について詳しくお話があります。

24.細菌性膣症

細菌性膣症という言葉はあまり聞き慣れないかも知れません。


普通は女性の膣内は全く細菌がいないという訳ではありません。いつもはデーデルライン槹菌などの常在菌(いつでも膣内にいるという意味です)がおり、膣内の状態が一定の状態に保たれています。これが何らかの条件で感染力のある細菌が入り込むといろいろな事が起こる時があります。トリコモナス膣炎もその1つに入ります。

 細菌性膣症は主に妊娠の時に問題になります。

  • 流産の原因になる時があります。 細菌が膣から赤ちゃんのいる子宮の中に入り込み、羊膜絨毛膜炎(CAMといいます)を起こし早産の原因になる時があります。
  • ただし今の所赤ちゃんの奇形の原因になる事はないと考えられています。

■ いろいろな方法で診断されます。

膣の中のpHの測定、分泌物の顕微鏡の検査(グラム染色というのをします)、細菌がいるかの培養検査、臭い等で最終的に判断されます。 妊娠中自分でいつもより、おり物が多い、お腹のはりがある等の症状があったら主治医にお話下さい。

 治療は主に膣の中に入れるお薬 −膣錠が用いられます。

治りにくい時は内服のお薬がすすめられる時があります。 妊娠からお産の間まで何回か治療をした方が良いと言われる時もあります。

25.エイズ(HIV感染症)

みなさんよく御承知のようにエイズ感染は日本では年々増えております。

医療の側の問題から起こった薬害エイズと異なり、最近のエイズはセックスで感染する性感染症の大事なテーマとなっております。 妊娠を機会に検査をうける事がすすめられるようになってきました。

 最近のエイズの動向について少しみてみましょう。

  1. エイズが非常に増えている国や地域があります。これは対策が十分にとられていない国と、対策はとられ始めたのですが、まだ効果が出ていない所があるためです。
    • アフリカ サハラ以南
    • 東南アジア
    • 中国

日本もエイズが増えている(少しずつですが)国に入ります。

  1. 平成17年 現在
    • HIV感染者数 5,008人 うち女性感染者数 519人
    • エイズ患者数 2,625人 うち女性患者数 191人

      (エイズ動向委員会 報告 2005年7月現在)

  2. エイズは若い方では女性に増えていると考えられています。 特に20才以下では女性の方が多いのではないかと推測されています。
  3. エイズは他の性感染と一緒に感染する事があります。 例えばクラミジア感染の方は現在日本人の約100人に1人の割でいると考えられていますが、このクラミジア感染の方の100人に1人はエイズ感染が見つかると考えられています。 (熊本悦明 JOMF海外医療50:2676,2003.)

    このため、もしクラミジア等他の性感染症があったら、念のためエイズ検査をうける事も大切でしょう。

 妊娠された方のエイズ検査

現在多くの都道府県で妊娠された時に、一緒にエイズ検査をうける事がすすめられています。その理由は

  1. 自分で何も症状がないのに感染が分かる人がいる。
  2. 早くに感染が分かれば、早期に治療が出来て、ウイルスの活動を抑える事が出来る。
  3. 早くから抗エイズ剤を内服する事で赤ちゃんへのウイルス感染を予防する事が出来る
    などがあげられています。

 エイズウイルス検査が陽性だから全てエイズ感染ではない時があります。 妊娠中のエイズウイルス検査では、スクリーニング検査といって、広く疑わしい異常を見つけようというものです。このためこの検査で反応が陽性に出ても精密 検査では異常がないという事もあります。(偽陽性といいます)少なくとも90%に偽陽性が出る可能性があるとされています(厚生労働省研究) しかし、はなから偽陽性かも知れないからと言って精密検査をうけないでいるという事はしないようにしましょう。

 エイズ感染がはっきりしたらどういう治療をうけるのが一般的でしょうか。また赤ちゃんは感染する可能性はあるのでしょうか。

一般的には次の治療の組み合わせが用いられています。

  1. 妊娠中から抗ウイルス剤を内服する事がすすめられます。 有効な抗ウイルス剤を妊娠中から用いる事で、明らかに赤ちゃんへの感染率が減少します。 しかしこの抗ウイルス剤が将来赤ちゃんにどういう影響が出るかについては、長期間の観察の結果が出ていませんので、まだはっきりしない事もあります。担当医、専門医、小児科医から詳しくお話があります。
  2. お産は陣痛が来る前に帝王切開をすすめられるのが普通です。
  3. ミルクによる人工栄養がすすめられています。
  4. 出生後に赤ちゃんに感染していないか、ウイルスの検査を行います。大ていはまず出生後48時間以内、その後も定期的なチェックをすすめられます。なお予防的に抗ウイルス剤のシロップをすすめられます。
    しかしこの時も医師から治療に関する詳しいお話があります。 最近日本ではコンドームの販売量が減っています。少子高齢の問題もあるかも知れませんが、若い方のコンドームの使用が減ってきている可能性があります。 若い方こそきちんと使用しましょう。
  5. セックスパートナーは特定の方が望ましい事 他の性感染症、特に将来子宮がんの原因になると考えられているヒトパピローマウイルスの予防にもなります。

    ※妊娠とエイズ感染に関しては「HIV感染予防対策マニュアル(エイズ予防財団ホームページよりダウンロードが可能です  http://api-net.jfap.or.jp/

  6. 夫がエイズ感染で妻が感染していない時は、夫の精子中のエイズウイルスをなくして人工受精→妊娠にもっていこうという治療もなされています。

 エイズを防ぐために

  1. エイズがセックスで感染する病気であるという意識をしっかりもつ事が大切です。 まだ全国で一律に行われている訳ではありませんが、休日・夜間の検査を行っている自治体もあります。最寄りの保健所等にお問い合わせ下さい。
    またブライダルチェックの時など一緒に検査をうけられる事をおすすめ致します。
  2. 他の性感染症にかかった時には一緒にエイズ検査もうけるようにしましょう。
  3. コンドームの使用を忘れずに。 赤ちゃんを希望されていない時、性感染症の予防にはコンドームの使用が有効です。

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