婦人科の病気.

流産しないために

流産しないためには

一般的には妊娠された方の流産の率は5〜20%と言われ、研究者により差があります。 女性が一生の間に仮に3回妊娠されると計算すると、流産率5%(20回妊娠すると1回の割合で流産するという事になります)では、6〜7人に1人の割で流産を経験するという事になります。 このように流産される方は実は意外と多いのです。

妊娠の早期に流産される方(妊娠4週〜10週位まで)

妊娠の早期に流産される方(妊娠4週〜10週位まで)

  1. たまたま妊娠された赤ちゃんが偶然弱かったという時があります。(例えば心臓病など)
  2. 遺伝する病気ではありませんが、運悪く染色体に異常がおこってしまったという時があります。
  3. お母さんが無理をしたり、精神的なストレスが多くて流産される時もあります。
  4. 子宮筋腫や子宮内膜症、子宮奇形などが原因の時があります。
  5. お腹の中の赤ちゃんを排除しようとする働きがおこる事もあるとされています。
  6. 原因不明の時があります。
  • 流産の方はこの①や②のタイプの方が多いとされています。(70%位という研究が多いようです)
  • こうしたタイプの流産の方は診察をうけた時に、超音波の検査で赤ちゃんが見えなかったり、見えていても心臓が動いていなかったり、あるいは赤ちゃ んが入るお部屋(胎のうといいます)が極端に小さかったりする事が多いものです。また胎のうが映っていても赤ちゃんに栄養を与える袋である卵黄のうが異常 に大きくなる時もあります。
  • 流産の症状の出血や腹痛などの症状は、この時点でははっきりせず後から出てくる時があります。
    • このような方は何か予防処置をとっていたり、お薬をのむ事で流産が予防されるという訳ではありません。残念ですが流産の診断が確定したら必要に応じて流産手術をうけ、次の妊娠に備える事が大切です。
  • 考えられる流産の原因がありそうな時は医師から詳しくお話があるでしょう。

妊娠の早期から中期にかけて流産される方

妊娠の早期から中期にかけて流産される方

  1. 子宮の異常がある時
    子宮筋腫・子宮内膜症・子宮の奇形など
  2. 子宮頚管無力症
  3. お母さんが無理をした時(肉体的・精神的)
  4. 赤ちゃん側に問題がある時もあります。(心臓の奇形など)
  5. お母さん側に流産し易い体質をもっておられる時もあります。(不育症や習慣性流産など)
  6. 原因が不明の事も多いのです。
  • 始めに出血や腹痛などの「気をつけてください」というサインがある時があります。その際安静にしたり、仕事を休んだりお薬をのむと良くなる時もあります。
  • しかし一方で、安静や治療に無関係に流産に至る方もおられます。
  • 医師からいろいろな指導をうける場合があります。指導があってもどうしても守られないような時は遠慮せずその旨を医師に伝えましょう。出来る範囲で医師が対策を考えてくれるのが普通です。(安静の程度とその意味については流産・早産の治療のページをごらん下さい)

妊娠中期頃(20週を中心にした時期です)

1.お母さんの仕事が忙しかったり、精神的がストレスが強かったりした時におこる時があります。 2.子宮筋腫や子宮内膜症が原因になる時があります。 3.臍帯が首に過重にまきついた時があります。 4.子宮頚管無力症の時があります。

外子宮口と内子宮口の間、何らかの原因で子宮口が開いてきてこの頚管が短くなる事を子宮頚管無力症といいます。
こういう状態の時は手術が必要になる時もあります。
治療
* 安静
* 入院 点滴治療
* 手術 などの治療法があります。
治療については症状に合わせて医師が適切な方法をサジュッションしてくれます。
5.膣の中や子宮頚管、子宮の中への感染症が問題になる時があります。 膣の中の細菌が子宮の中に入り込んだりします。気をつけなければいけない時がありますが要注意の時は医師が検査をして警告が出る時があります。
また、おり物が多い(水様、黄色、出血を含む)時は早目に病院を診察しましょう。

  1. 赤ちゃんの心臓や内臓の奇形がこの時期悪い影響を与える時があります。
  2. 胎盤の位置の異常、胎盤についている臍帯の位置の異常の時があります。
  3. 抗リン脂質抗体症候群などの免疫学的な異常のある方(自己免疫に関する流産のページをごらん下さい)
  4. その他
  5. 原因不明の時があります。

  • この時期の流産・早産の状態の時はお母さんの身体から何らかの警報が出ている時があります。おかしいなと思ったら早目に病院を受診しましょう。
    • おり物(出血、黄色、水様) いつもより多い いつもと違うおり物がある お腹のはりや腹痛を伴う。
    • お腹の張り感、腹痛 よくお腹の張り感というのは実際どんな症状になるのですかと聞かれます。 → 自分でいつもと違うという事がなければ大たい大丈夫です。 しかしあえて言えば月経痛の軽いもの月経前のお腹の感じと言えます。なお自分で何も感じなくても妊娠の検診の時に医師からお腹が張っていますねと言われる事があります。
    • 本当にお腹が痛いと感じたら医師と相談しましょう
  • 胎動が少なくなった、一日中感じない日がある、逆に赤ちゃんがお腹の中で大あばれをしている様な気がする等の事があれば早目に診察をうけましょう。

妊娠後半期の異常

  1. 臍帯の異常の時があります。

    臍の緒(臍帯)が赤ちゃんの首に巻きついている。
    臍帯が出てくる胎盤の方の付着部の異常

  2. 予定の週数に比べ赤ちゃんが小さすぎる時があります。また大きすぎる時もあります。

    小さすぎる時はSFD(Small For Date)といいます。
    日数に比べ小さいという意味です。
    これにはいろいろな原因があると考えられています。
    SFDの時は妊娠中から小さ目と言われる事があります。医師から注意がある事があります。またお腹の赤ちゃんの状態によっては、赤ちゃんを出した方が後々 の条件が良くなると考えられる時があり、早目に出産させた方が良いとアドバイスがある時があります。こうした時は陣痛のストレスを与えない為、帝王切開が すすめられる時があります。

  3. 原因が不明の時があります。

    残念乍ら医学が進んでいても突然の赤ちゃんの異常がおこる時もあります。

    • この時期は何か異常があると警報が出る事が多いようです。
      また赤ちゃんが大きくなっている分、早産の症状が強く出る時があり治療が必要な時は、安静期間が長くなったり、強いお薬が必要になる時もあります。
    • この時期、診察に行く回数が増える時です。何か心配な事があったら医師とお話をし、心配な事は除いておきましょう。
      とは言っても医師も忙しいでしょうから却って気をつかってしたいお話も出来にくい時もあります。
    • お話をし易い医師のいる所を調べておく。近所の評判、前にかかった事のある医師など。
    • 予約制の病院に行く
      1人あたり何分位の時間がとってもらえるのか聞いておくと良いかも知れません。
    • 予め聞きたい事をメモなどにしてまとめておいた方が良い時もあります。

流産の原因=①ホルモン的な異常

黄体ホルモンの異常
卵巣から出る黄体ホルモンというホルモンが足りないと流産しやすくなるという研究があります。しかし妊娠出来るような方では、黄体ホルモンの関係は薄いという研究もあります。
プロラクチンホルモンの異常
血液中のプロラクチンホルモン(催乳ホルモンともいい、主に出産後母乳を出す時に働くホルモン)の値が高くなると流産しやすくなるというものです。
甲状腺ホルモン 20〜30代は甲状腺の病気が多く出てくる年代でもあります。この甲状腺ホルモンが高過ぎたり、低過ぎたりすると流産と関係するという研究もあります。 このホルモンは流・早産の他、不妊症や出産後の赤ちゃんへの影響があったりする事があります。妊娠前に甲状腺の働きの異常を指摘された方は早目に医師と相談しておきましょう。但し妊娠中にきちんと治療する事が可能な病気でもあります。異常があると言われても心配せずに病院を受診しましょう。
その他のホルモン 血糖をコントロールするホルモンなど妊娠にはいろいろなホルモンが関係する事があります。

流産の原因=②身体的な疲労

身体的な疲労が流産の原因になる時があります。
最近は女性も男性と同じ仕事量をこなす事が多くなりました。でも妊娠中はやはり気をつける事が大切です。自分が「疲れたな」と感じたら赤ちゃんも「疲れた」と感じていると思いましょう。

  • 疲れたら身体を休める事が大切です。
    • 休憩時間はきちんと休みましょう。ゴロンと横になるのが一番です。
    • 残業は出来るだけ避けましょう。
    • 朝つらかったら、上司と相談して就業時間を遅らせる等対策を考えましょう。
    • 家庭では家族の協力が大切です。
    • もし医師から仕事を休んだり、安静が必要だと言われたらどう対処するか予め考えておくと、気持の余裕になる時があります。
  • 気をつけた方が良い事があります。
    1. 仕事・出張
      仕事上長時間の連続作業、遠い所の出張などのある方がおられます。身体が疲れている時、調子の悪い時などは控えるようにしましょう。
    2. 引越し
      引越し作業は最も流産症状が出やすい状態と言われています。自分では引越し作業にあまり関らないようにした方が良いでしょう。予め医師から注意するように言われている方はより気をつけて。
    3. 旅行
      楽しい気持ちになるのであれば結構です。しかしあまり遠い所、身体が疲れそうな所は控えた方が良い時があります。チケットの関係もあるでしょうから予め医師と相談しておく事が大切です。

      コラム −妊娠していて海外に行かれる時は−
      最近は海外の方で日本に旅行やハネムーンに来られる方がとても多くなってきました。
      折角日本での旅行を楽しみに来られても出血してしまい流産手術が必要になってしまう方がおられます。大ていの産婦人科医が経験している事です。言葉も十分に通じない異国での手術をうけるという事はとてもつらそうです。
      同じ事が海外に行かれる日本人にもおこり得る事です。旅行に行く前には十分に体調をととのえる事、医療保険に入っておくこと、予め医師と相談しておく事が大切です。

流産の原因=③精神的なストレス

精神的なストレスも身体的なストレスと同じ位流産の原因になり得ると考えられています。 例えば嫁、姑の問題で悩んでおられる方は悩みのない方に比べ、数倍流産率が高いというデーターが出た事があります。この他産婦人科医は、最近仕事上のストレスが原因で流産の症状が出てきた方が多くなってきた、という印象をもっているようです。 ストレスが多いと免疫学的に赤ちゃんを外に出してしまおうとする働き(医学的にナチュラルキラー細胞—NK細胞といいます)が強くなるという説もあります。

流産しないために=④婦人科の感染症

いろいろな感染症が流産の原因になる可能性が指摘されています。 クラミジア、溶連菌 など。 最近多いのがクラミジア感染です。お薬の種類、内服するタイミング、経過観察が大切です。医師からお話があります。

流産の原因=⑤嗜好品

タバコ 流・早産の可能性があると考えられています。また統計上タバコを吸う方の赤ちゃんの方が出生時の体重が少し小さいという研究もあります。 なおタバコの害はお母さん方も十分理解されているようで、妊娠と分かった時点で90%以上の方が喫煙を止めたという研究があります。 アルコール 少量なら良いのではというデーターもありますが最近は控えた方が良いという意見の方が多いようです。 赤ちゃんの脳の発育と関係しているという意見もあります。ただ妊娠まで知らないで飲んでいた、妊娠と分かっていたが、たまたま飲む機会があったという方もおられます。 これからは気をつけて下さい、と言われるのが普通です。 コーヒー等 コーヒー、紅茶、緑茶のカフェインは臍帯を通って赤ちゃんに行く事は分かっています。お母さんがコーヒーを飲むと赤ちゃんも飲んでいる事と同じですね。カフェインを薄くするという事でこれらの飲料は薄くにしておきましょう。コーヒーはアメリカンで!緑茶は何と言えば良いでしょうか?

流産の原因=⑥習慣性流産

もともと何か流産し易い身体の状態があって、注意していても流産される方がおられます。習慣性流産のページをごらん下さい。

流産・早産の治療=①安静をすすめられる時

  1. 仕事が終わったら、自宅では無理をしないようすすめられる
  2. 仕事の量を減らすようすすめられる

  3. 仕事を休む、また自宅で安静をすすめられる
  4. 自宅での安静なのですが、入院しているような気持ちで臨まれるようすすめられる
    • 夫、母親、姉妹などの協力を得る
    • 実家に帰って気持ちの入りでは入院している積もりでいるようにする
    • 家でベットで寝ている
    • 人が来ても出ない
    • 洗面、トイレ、食事位しかベットから起き上がらない など
  5. 入院がすすめられる
  6. 入院の上絶対安静

    尿のカテーテルを入れて、トイレにも行かない程度の安静

  • ①→⑥に行く程安静度が上がります。
    しかし入院した方が良いと言われたがお子さんがいて入院出来ない。仕事があってどうしても入院出来ないという時もあります。
    そうした時は
    • 止むを得ず出来る範囲で身体を休める
    • お薬を内服する などで流産を予防する事になりますが、安静度が低い分流産率が高くなる可能性があります。
  • でも一方で安静度が⑥でも流産される事もありますし、安静度が①でも赤ちゃんがもつ事もあります。入院した方が良いと言われたが、どうしても入院 出来ない。それだけでも大きなストレスになる事があります。お薬をのんであとは自分で出来る事をするという事で道が拓かれる時もあるようです。 これらについては医師とよくお話をしましょう。
  • ①〜⑥に安静度が上がるというのは、それだけ危険度が高くなるという意味もあります。
    治療をうける事で早くに危険度が低くなり → 退院 → 自宅療養 → 仕事復帰が可能になる時があります。

流産・早産の治療=②お薬の使用をすすめられる時

子宮の中の環境を良くする為のホルモン剤

内服薬主に黄体ホルモン剤が用いられます
注射薬黄体ホルモン剤
卵巣を刺激して自然の黄体ホルモンが出るような注射剤
(例 HCG製剤)

お腹の張りをとるあるいは予防するお薬

内服薬子宮の筋肉の緊張をとるダクチル(商品名)、ズファジラン(商品名)、ウテメリン(商品名)*ウテメリンには同じ成分ですが名前の違うお薬が多数あります。これをジェネリック薬剤といいます。
注射薬内服薬と同じ成分の注射薬があります。

漢方薬

幾つかの種類の漢方薬が用いられております。(例 当帰芍薬散など)


特殊なお薬が使用される時があります。

これらのお薬は主に習慣性流産など流産しやすい体質あるいは状態になっている方に用いられるお薬で、医師から使用前にお薬の使用目的、考えられる効果、使用方法、考えられる副作用などのお話があるのが普通です。

【例】

  • 副腎皮質ホルモン剤
  • 低用量アスピリン
  • ヘパリン
  • ガンマ・グロブリン
  • 抗生物質
  • 膣錠 など

習慣性流産とは

3回以上流産された方を習慣性流産と言います。聞き慣れない言葉だと思われますが、不育症という言葉もあります。 不育症とは文字通りある程度はお母さんの身体の中にいるのですが成長出来なくて流産になってしまう状態です。厳密に言うと習慣性流産と不育症は多少違うのですが、最近は婦人科でも「不育症外来」というのがあります。ここでは同じ意味で少し話をすすめましょう。

流産をくり返すとどうして危険なのでしょうか。

流産の項目の所でも記載しましたが、妊娠した時の流産率は概ね20回に1回(5%位)と考えられております。 流産が全くの偶然でしか起こらないとすると2回つづけて流産する確率は1/20×1/20ですから400回妊娠して1回の割合で流産がおこるという事になります。 3回つづけて流産する確率は1/20×1/20×1/20ですから8,000回妊娠して1回の割合になる計算になります。 しかし実際はもし2回つづけて流産されると、3回目の妊娠は約40%の確率で流産が起ると考えられています。 つまり2回つづけて流産されるという事は、何か流産しやすい原因がかくれている可能性があるという事になります。 このため一般的には2回つづけて流産された方は流産しやすい原因がないか検査をうけられる事があります。 また3回以上流産されたら検査をうけるようすすめられる時が多くなります。

習慣性流産の原因と治療

1.どんな異常があるでしょうか

  • 子宮筋腫が原因の時があります。

  • 子宮内膜症が原因の時があります。

  • 子宮の奇形が原因になる時があります。 例えば双角子宮といって子宮が2つに分かれている人や中隔子宮といって子宮の中に薄い辟がある人がいます。

  1. 治療

    子宮の異常の程度によって手術やお薬がすすめられるのが普通です。 また手術といってもお腹を切る開腹手術やお腹に穴をあけて行う腹腔鏡下手術、内視鏡をみながら経膣的に処置を行う内視鏡下手術など病気の種類や異常の程度などにより手術の方法が異なります。 例えば完全な双角子宮では開腹手術を行い、2つに分かれている子宮を1つにする手術(ストラスマン手術、テリンデ手術など)を行います。 中隔子宮の時は内視鏡でみながら中隔部を切除する事もあります。 子宮筋腫であれば大きさや数、出来ている場所によって開腹手術を行ったり、腹腔鏡下で筋腫だけをとり出したりします。(詳しくは子宮筋腫の項目をごらん下さい)。

ホルモンについても検査が必要な時があります。

  • 妊娠を維持する黄体ホルモンの働きが悪いと、赤ちゃん(胎児)が子宮内で気持良く発育出来ない事があります。このため妊娠された際に、早目に黄体ホルモンの投与をうける事があります。 但しこの黄体ホルモンの働きは習慣性流産の予防と関係ないという考えもあります。お薬を使う事に関しては医師とよく相談しておきましょう。
  • 血液中のプロラクチンホルモン(催乳ホルモン)の分泌が異常な時があります。 このホルモンが高い方がおられ(原因がはっきりしている時もありますが、不明の時もあります)、その時は流産し易いという考えもあります。治療にはこのホルモンを下げるお薬を使います。但しこのお薬をすすめられる時は医師から詳しいお話があるのが普通です。
  • 甲状腺ホルモンの異常が原因の時があります。 甲状腺機能亢進症の方でも甲状腺機能低下症の方でも習慣性流産の原因になり得るとの考えがあります。 まず甲状腺の病気については、治療が必要な方は、十分治療をうける事が大切です。その上で内科的に妊娠が可能と言われた時は、主に甲状腺をみてくれている主治医と連絡をとり合いながら妊娠→経過観察をうけるのが普通です。また本来の甲状腺ホルモンの異常の他に、甲状腺ホルモンを攻撃する可能性のある物質…自己抗体といいます…の異常な働きが関係している時があります。こうした時は、この自己抗体の働きを抑えるような治療をうける事が必要となる事があります。このような時は医師とよくお話をした上で治療をうけるようにしましょう。
  • 糖尿病の検査が必要な時があります。 糖尿病は血中の中のイショリンというホルモンの働きの異常によっておこる病気です。このイショリンの働きに異常があると流産がおこりやすくなる可能性もあると考えられています。

御夫婦2人での染色体検査をすすめられる時があります。

確率はあまり高くありませんが、御夫婦どちらかに染色体の異常があって習慣性流産になる事があります。 なお染色体異常にはいろいろなタイプがあります。また検査で異常が出たからと言って全ての方が今後流産しつづけるという事ではありません。その点については結果をみて医師から説明があるのが普通です。染色体の検査は殆どの医療機関でうける事が出来るはずですが、予め電話などで①検査が出来るか ②検査可能な曜日、時間はあるか等問い合わせしておいた方が良いでしょう。 もし染色体異常があると言われたら、その事に関して詳しく説明が可能な医師は限られています。その時は検査をうけた医師から専門医を紹介してもらいましょう。勿論検査をうけた医師が専門医ならそのまま説明をうける事が可能です

免疫が関係している可能性があります。

免疫とは、自分の身体に都合が悪い事がおこると(例えば感染症にかかるなど)これを排除しようという力が働く事をいいます。 妊娠される時には、いままで自分の身体の中にいなかった赤ちゃんができ成長します。また赤ちゃんに栄養を与える絨毛という組織が赤ちゃんのまわりで急激に成長します。この時にはお母さんの身体の中でいろいろな免疫反応が起り、赤ちゃんを成長させる様になっていると考えられています。しかしこの免疫反応のどこかに異常が起ると赤ちゃんを十分に保護できなくなり流産になってしまうという考えがあります。 ただ残念な事にこの免疫反応の研究は最近急速に進歩していますが、まだ完全に解明されたという所には至っておりません。今なお研究中の面の方が多いと言えます。現在までに分かっている成果を積極的に治療に応用し、高い治療効果を上げようとする努力がなされています。 免疫が関係する流産については主に自己免疫という免疫と同種移植免疫という主な2つの考え方があります。

  • 自己免疫に関する流産

    抗リン脂質抗体という抗体が出来てしまい、赤ちゃんの成育に異常が出来る事があります。不育症の中で原因の割合はかなり高いとも考えられています。

    • 検査

      抗リン脂質抗体の中には

      • 抗カルジオリピン抗体
      • ループスアンチコアグラント
      • 最近では抗PE抗体などが注目されています。
      • 抗核抗体
    • 治療

      抗リン脂質抗体陽性の方は

      • 副腎皮質ホルモン剤+低用量アスピリン
      • 低用量アスピリン+ヘパリン療法
      • ヘパリン療法
      • 漢方薬(主に柴苓湯+低用量アスピリン療法)

        などが用いられております。

        なおそれぞれのお薬については、その作用と副作用について主治医と詳しくお話をし、聞いた上で治療をうける事が大切だと考えられています。
        実際は副作用の出る可能性は殆どないのではないかと考えられているお薬でも、妊娠中の使用について、安全性が確認されていない範囲に入っているお薬もあります。よくお話を聞いて御自分の判断が必要な時があります。
        またアスピリンもヘパリンも血液中の血小板という成分を減らす作用があるため、もともと血小板の数の少ない方はこの治療は注意が必要と考えられています。


  • 同種免疫異常

    お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの遺伝子は、半分はお母さんの遺伝子から来ていますが、半分は夫の遺伝子から出来ています。このためよく考えると赤ちゃんがお母さんと全く同じ個体ではありません。
    人間は自分と異なった個体を自分の身体の中にとどめておかず排除しようという力が働くのが普通なのです。この排除しようという力を「免疫」と言います。
    以前は子宮は免疫学的に特殊な臓器で、免疫の働きにくい所なのではないかと考えられていた時もありました。現在は赤ちゃんとその周囲では活発な免疫活動が 行われており、微妙な免疫バランスが保たれていれば流産にならないと考えられています。しかしこの微妙なバランスがくずれると流産の原因になる可能性があ ると考えられています。

    • 検査

      これらの免疫(同種免疫といいます)の異常を調べる幾つかの方法がありますが、本当に流産の原因と関係があるのか今の所確定しているとは言えませ ん。しかしこれらの検査で異常が出ると流産率が高くなるという研究(Aoki Kら:Lancet 345:1340-1342,1995)や、治療を行ったら流産率が改善したという研究があるのも事実です(Hayakawa S. Am.J Reprod Immunol 43:107-115,2000)。
      またこれらの検査は現在の所保険が効きません。

      1. NK細胞(ナチュラルキラー細胞といいます)活性
        NK細胞の活動が高いと流産率が高くなるという考えがあります。
      2. Th1/Th2(Th1−Th2比といいます)
        Th1は細胞性免疫といいます。
        Th2は液性免疫といいます。
        正常な妊娠の時はTh2が優勢で、流産しそうな時はTh1が優勢になると考えられています。
    • 治療

      赤ちゃんを産んだ事がなく複数の流産の経験があり、抗リン脂質抗体やその他の明らかな異常のない時は夫リンパ球輸血をすすめられる時があります。
      夫リンパ球輸血は夫から採血をし、リンパ球だけをとり出し、妻に注射するものです。この際非常に稀ですが、強いアレルギー反応が出る時があります(GVH 反応といいます)。この為、このGVH反応を抑えるのを目的として予め放射線を照射してから使用するのが一般的です。またリンパ球輸血といっても輸血の一 種ですから、輸血の際の副作用の可能性についてもお話があるのが普通です。

血液凝固系の異常によって習慣性流産がおこる可能性があります。

人間はどこかにケガをして出血すると、出血した所で血液がかたまり出血を止めようとする力が働きます。この時血液の凝固因子という成分が活躍しま す。血液凝固因子は幾つかありますが、その12番目の因子に異常が起った時(凝固ⅩⅡ因子といいます)は流産する事があるとの考えがあります。
また先程の自己免疫疾患と考えられる抗リン脂質抗体陽性の方も凝固ⅩⅡ因子に異常がおこる事が多いとも言われております。

  • 検査
    • 血液中の凝固ⅩⅡ因子測定
    • APTT PTなどの血液検査
  • 治療

    自己免疫疾患と同様、低用量アスピリンやヘパリン療法がすすめられる事が多いようです。

感染症と習慣性流産の関係はどうでしょうか。

クラミジア感染や、膣内の感染症(細菌性膣症といいます)により流産がおこる可能性はありますが、習慣性流産になる可能性はなさそうです。
しかしクラミジア感染は不妊症などの原因になる事もあり、適切は治療をうける事は大切です。

原因不明

残念ながら原因不明の事がかなりの割合であると考えられています。 現在いろいろな面で研究がなされているところです。

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