婦人科の病気.

【7】月経時のトラブルについて

月経時の悩み

月経時あるいはその前後にはいろいろな症状が出て悩むことがあります。例えば月経痛、月経量の増加、イライラ感、気分の落ち込み、また月経の時より月経の後の方が痛みを強く感じる方もいます。また月経と月経の間の出血や痛みが気になる方もおられます。

これらの症状は原因がはっきりする時もすぐには分からない時もあります。原因によって治療法がかわります。月経に関してつらい事があれば医師との相談が大切になります。
婦人科にいったらあの婦人科の内診があるからと、ついおっくうになる方もおられます。考えられる病気の種類によっては、内診した方がより早く診断出来ると いう時もあります。しかし婦人科に行ったからといって必ず内診をうけなければいけないという訳ではありません。内科の検診のようにお腹の上から診察したり 他の検診を併用しても情報は十分得られます。内診を希望されない方ははじめからその旨をはっきり伝えておきましょう。

月経痛

月経痛


月経時の痛みはもともと痛みの原因となる病気がある時と、ない時があります。病気の時は子宮内膜症・子宮筋腫・月経困難症:子宮やその周辺に炎症がある時があります。 それぞれの項目を御参照下さい。原因になるような病気が見当たらない時は、痛みの程度によっていろいろな対策をとるようにすすめられます。例えば鎮痛剤など 月経痛対策 温めると痛みが良くなることがあります。 使い捨てカイロをあてる 温かい鎮痛剤入りの湿布(薬局・病院) 下着を少し多くする 腹巻 日頃の運動が月経痛の対策に良いという研究がたくさん出ています。時間的に余裕のある時は身体を動かすようにすると良いですね。 鎮痛剤は賢く使いましょう。 痛くなりそうな時は早い段階から用いると楽な事があります。 鎮痛剤はいろいろな種類があります。自分に合ったものを選びましょう。 あまり痛みが強い時は坐薬の助けをかりなければいけない時もあります。あらかじめ用意しておけば気持ちの上で安心出来る事があります。 あまり痛みが強い時は 明らかな子宮内膜症がなくても(子宮内膜症のページ参照)子宮内膜症のお薬を内服しておくと鎮痛剤が少なくて済むことがあります。医師と相談しましょう。 仕事が忙しい時、ストレスが溜まる時痛みを強く感じる事があります。 少しストレスを軽くする努力し(仕事量の調整)や、ストレスをにがす事(小旅行や美術館めぐり、緑の多い公園の散歩、ヨーガ・太極拳・ダンス)などがすすめられる時があります。 精神的な面や心理的な要因で痛みを強く感じる事があります。 こうした時は、お話をするだけで良くなる事もありますし、心療内科的なお薬を内服する事で症状が改善することもあります。 また症状に応じて心療内科・神経科専門医の受診をすすめられる時があります。 鎮痛剤だけでなく漢方が効く時があります。また東洋医学的な治療が効果を上げることがあります。東洋医学的な考えで、子宮やその周りの血液の流れが問題と考え幾つかの種類の漢方が用いられる事があります。 また針治療や整体治療で症状の改善が認められる事もあります。

月経痛に対するQ&A

月経痛に対する&A


Q:月経痛があり少しずつ強くなってきています。婦人科にはあまり行きたくないのですが。 A:何より痛みの原因になる病気があるかないかが最も大切です。病院で一度診察をうけておいた方が良いでしょう。子宮筋腫や子宮内膜症の病 気がある時はこちらの治療が大事です。こうした病気がないと言われても痛みがだんだん強くなる時は病院を再受診する事も必要な時があります。はじめは分か らなかった病気が何回か通っているうちに分かる時もあります。 セカンドオピニオンと言って、何人かの医師の意見を聞くのも有用です。
Q:痛みはがまんすればする程良いのでしょうか。 A:鎮痛剤にあまり頼るのは良くないのではと考えて、強い痛みを我慢しつづける方もおられます。しかし痛い時にむしろお薬を用いることで、その時の日常生活が楽になることが多いものです。無理にがまんをつづけられている方は医師と相談される方が良いでしょう。
Q:でも鎮痛剤をたくさん、しかも長期間にわたって使用するのはどうでしょうか? A:これはおすすめ出来ません。鎮痛剤にはいろいろな種類がありますが、それぞれ副作用の出現の可能性があります。例えば長く用いることで肝臓の機能が悪くなったり、血管の中の血液がかたまりやすくなったり、腎臓の腫瘍が出来やすくなるという研究もあります。
また鎮痛剤の中には、まだお薬としての歴史が浅いために将来どんな副作用が出るか分からないものもあります。
少ししか痛くないのに、安易にお薬を口の中に入れるのはやめましょう。 たくさんの鎮痛剤を使わざるを得ない人は何らかの病気がかくれている(子宮や卵巣の病気の他、神経的なものを含めて)事が圧倒的に多いのです。病院を受診される事が何より大切です。

月経量の増加、出血期間の延長

殆どが子宮内膜症や子宮筋腫がもとにあると考えて良いでしょう。稀に内科的な病気の時もあります。出血量が多かったり、あまり長くつづくと貧血になることもあります。
1.まず原因となる病気がないかみること。何か病気があるかも知れないと思った時は医師とその事について相談することが必要です。 2.出血があまりつづく時はお薬を使う時があります(止血剤、ホルモン剤など)。  ⅰ)出血量があまり多くない時は止血剤が効く時があります。  ⅱ)ホルモン剤には妊娠した時の環境に近い状態にする偽妊娠療法と閉経に近い状態にする偽閉経療法があります。 3.貧血がおこっている時は鉄分のお薬を服用することがあります。 (貧血の項目をごらん下さい)

月経の際の不安定な感情

月経の時期が近くなるとイライラ感、抑うつ感など気持ちの上で不快な感じが出てくる事があります。これにはホルモンが関係すると考えられている事から、排卵をおこさないように黄体ホルモン剤やピルなどのお薬を用いる事があります。
 また脳の中でいろいろな命令を伝える神経伝達物質がきちんと働かない事が原因の1つと考えられる時もあります。このため、これらの神経伝達物質の流れをよくするお薬がすすめられる時があります。これらの有効な成分は抗不安薬や抗うつ薬の中に入っています。 また、漢方薬がすすめられる事もあります。
 かなりの方が、日頃がんばる性格であったり(性格が関与する可能性)、仕事が忙しかったりする時があります。(環境が関与する可能性)そうした時はむしろ頑張りすぎないこと、出来る所までで、あとは体調が整ってからという開き直りが役に立つ事もあります。
しかし産婦人科の診察をうける前に心療内科や神経科の治療がすすめられる事があります。これは心療内科的な病気が月経前、あるいは月経時に強く出ることがあるからです。 月経時のトラブルについて
⇒月経前症候群のページをごらん下さい。

中間期の症状

月経時より、月経と月経の間の中間期(だいたい排卵の時期にあたります)に痛みや出血を認める事があります。 こうした症状は大抵長くつづかない時が多いのですが、もし長くつづく様でしたらホルモン剤が有効な時が多いものです。 つらい時は医師と相談しましょう。

月経前のイライラ感、不安感

月経前になるとイライラ感が強くなる人がいます。不安感やうつ状態を訴える時もあり、症状が強いと家庭や仕事にまで影響が出る方もおられます。 これらの症状は平均すると女性の半分以上の方は経験しているといわれています。 これらの症状の治療にはいろいろな方法が試みられていますが、治療をうけた方が同じようにすぐ良くなるとは限りません。これには2つの理由があると考えられます。 1つはこれらイライラ感、不安感は原因が1つではない事。 もう1つはお薬にしても治療効果に個人差がある事です。 医師と良く相談して自分に合った治療法を根気よく見つけ出す事が大切です。
治療法
1. 排卵がおこり、その後に出てくるホルモンが悪い影響を与える可能性があるとの考えから、排卵をおさえる方法があります。これにはピルのようなお薬を用いたり、子宮内膜症用のお薬を用いる事があります。
2. 不安神経症やうつ的な症状が前面に出てくる時は、向精神薬がよく効く時があります。
3. 漢方薬を用いることがあります。漢方の精神安定作用を利用した治療法があります。漢方は比較的長期間用いることで作用が出てくることがあります。
漢方は同じ効果があるお薬でも、体質によりお薬の種類がかわることがあります。お薬を内服する時は専門医、薬剤師さんと相談するようにしましょう。

4.
ビタミン剤のうちビタミンBが有効な事があります。
5. 仕事上の問題や周囲の環境が足を引っぱる事があります。 あまり忙しかったり、責任のある仕事が重なり緊張が強いられているという事で、症状が出る時があります。自分の身体をこわしてしまっては元も子もありませ ん。周囲の人とお話をするか家族の方と相談し、環境の改善をはかるようにしましょう。緑の多い所を散歩したり、少し時間をとって旅行に行くのも良いでしょ う。旅行から帰ったら、次の旅行の計画をたてるだけでも楽しくなる時もあります。
6. 睡眠時間をきちんととること。
睡眠が十分にとれなくて、慢性の睡眠不足になると、ついイライラするものです。とは言っても早く寝る習慣をつける事は意外と大変な事があります。 異常だと思ったら睡眠外来をもつ専門医と相談しましょう。
7. 時には内科の病気がある時があり、これが症状を悪化させる事があります。 例えば糖尿病、甲状腺の病気など。 医師と相談が必要です。
8.
うつ症状があるかなという時は医師の診察をうける事をおすすめ致します。 うつ症状のある時は本人の問題であるとともに、周囲の方の問題である時もあります。頑張りなさいという善意からでた激励が本人を苦しめたり、何気ない言葉で症状が悪化する事があります。「気分転換をしたら」というのも良くない時があります。 治る時間に個人差があるとしても必ず良くなる症状ですので、専門医とのお話の上適切なアドバイスと、必要ならお薬の処方をうけましょう。
 月経前症候群(PMS)
月経前症候群といって、月経の一週間位前から身体症状として頭痛や肩こり、お腹のはり感、腰痛などの痛み、乳房の緊満感や痛みが出てきたり、精神症状とし て イライラ感、抑うつ状態、怒りっぽくなるなどの症状が出ることがあります。この症状には個人差があり、時と場合によっては大きな家庭内のトラブルになった りすることがあります。お母さんがこうした症状に悩むと、娘さんも似た様な症状が出ることもあると言われています。これは遺伝的なものなのか、あるいはそ うした環境にあった場合、娘さんが似た様な反応を示すようになるのかは分かりません。しかしこうした症状に悩まない方が良い事にこした事はありません。比 較的症状の軽い時は婦人科で、重症の時は心療内科やメンタルクリニックでみてもらう方が良いでしょう。

※比較的に重症なタイプには月経前不快気分障害(PMDD)というそのものズバリの名前がついています。
治療の基本は前の項の月経前のイライラ感や不安感とほぼ同じです。
向精神薬、特に抑うつ作用のあるお薬が最近日本でもよく使われるようになってきました。うつ病と違って少しつづけてお薬を内服すると比較的早目に良くなるとも言われております。また症状が出たなと思ったらお薬を内服すると効く時もあると言われております。

月経不順

月経とは卵巣から排卵がおこった後、卵巣の中に出来た黄体の働きによっておこるものです。(5頁をごらん下さい)。
月経の始まった日から次の月経の始まった日までを月経周期といいます。
この月経周期が24日よりも早いものを頻発月経、36日よりも遅いものを稀発月経といい、これにあてはまる方はそれぞれ注意が必要です。
ただしこれらの方々が必ずしも治療が必要だという訳ではありません。初潮のあと間がない時は頻発月経の時もありますし、閉経近くになると頻発月経や稀発月経になる方もおられます。
しかし赤ちゃんが欲しい方は月経周期を整える方が妊娠し易いのは確かです。(不妊症の項目をごらん下さい。)
また18才以上であまり月経不順があれば、将来の事を考えて婦人科医と相談する方が良い時もあります。
なお月経不順がある時は、基礎体温をつけておくととても役立つことがあります。
月経不順の際排卵があるか否かが大事なポイントになりますが、基礎体温をつけていると一目でこれが分かります。
基礎体温はさらに治療が必要な時に大切な情報をたくさん与えてくれます。
月経不順かなと思ったら、あまり悩まずに「まず医師と相談するか」といった軽い気持ちで病院を受診するのも手です。医師からのアドバイスだけで、簡単に解決する場合もあります。

過多月経

月経量が多いのは(過多月経)日常生活に制限が出てくるばかりではなく、貧血症の原因になることもあります。
過多月経ははっきりとした基準がある訳ではありません。また他人と比較する事もむずかしいのですが、出血量が多く、血のかたまりが出る、膜様のものが出てくるという症状がある時があります。少しおかしいかなと思っている方は、貧血の検査をうけてみるという方法もあります。
過多月経に関して言えば何か原因があることが圧倒的に多いので、気になる症状がある方は婦人科を一度は受診された方が良いでしょう。

1回の月経で約60ccの出血がおこると考えられます。
1回の出血量が多ければ当然貧血の回復が遅れ、その分貧血が進行する事になります。
原因としては子宮筋腫や子宮内膜症などの子宮の病気や(可能性は少ないものの、癌が疑われる時もあります)、卵巣の働きに問題のあるホルモンバランスのくずれの時もあります。一時的な出血の時は感染のある事もあります。
それぞれの病気については各項目の所に詳しく書いてありますのでごらん下さい。 貧血については貧血の項目をごらん下さい。
治療法はそれぞれの原因によって異なります。 ただ程度が軽い場合は、食事療法や貧血のお薬を内服し(*貧血の項目をごらん下さい) 貧血を改善することで、月経量が減少することがあります。
一般的に言うと貧血のお薬を使う事が最も効率的に貧血を治す手段です。貧血のお薬は内服薬と注射薬があります。お薬の使い方には注意が必要な時があります。(貧血の項目をごらんください。)
また鎮痛剤の中には月経量を減らす作用があるものもあります。これはプロスタブランディンという物質の生成を抑えると痛みと月経量を抑える両方の作用が期待できるからです。

過少月経

あまり月経量が少ない時、ある程度の量があったのに急に少なくなった時は医師と相談した方が良いでしょう。ただ月経量が少なくとも、月経の周期が順調かどうかが問題です。月経が28〜30日型であれば大たい心配のない事が多いものです。 月経不順があり、量も少ないという時はホルモンの働きが悪いことがあり、治療をすすめられる事があります。

ナプキンとタンポンについて

生理の時にはナプキンやタンポンが用いられます。ともにいろいろな種類がありますが、月経の時期や量、生活のスタイルに合わせて使用しましょう。
 タンポン使用時の注意点
1.卵巣とか卵管に炎症があると言われている方はタンポン使用で感染が長引く可能性があります。こういう時はナプキンの方が良いでしょう。
2.タンポンのぬき忘れの方が意外とおられます。病院で残っていましたよと言われて驚かれる方が殆どです。入れた事、抜去した事どちらかを完全に忘れ た方が圧倒的。忘れないようにしましょう。おりものがあったり、臭いが気になったり、少量の出血がつづいたりしている方は病院に行きましょう。
3.子宮内膜症で月経痛の強い方はタンポンを用いることで、子宮内膜症の症状が悪化することがあるという説があります。月経痛の強い方は少し注意をなさっては。
ナプキン使用時の注意点
1.ナプキンに負ける方がおられます。自分に合ったものを用いる事が大切です。あまり長く用いすぎないようにしましょう。
2.月経量があまり長くつづく時は病院に行って月経量の調整をしてもらいましょう
3.あまり痛みが強い時は皮膚科や婦人科に行ってお薬をもらいましょう。

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