婦人科の病気.

【6】赤ちゃんが欲しい方のために

不妊症について

不妊ついて


現在日本では統計上、結婚して1年目で約80%のカップルが、2年目で約90%のカップルが妊娠すると言われております。したがってこの2年が過ぎると、自然の形で妊娠するカップルはかなり減るという事になります。
このことから、日本では2年目をめどに赤ちゃんに恵まれないカップルは、医学的に不妊と考えられ、そろそろ医師と相談される方が良いとされております。
しかしこの状態は多少国により事情が異なるようで、欧米では1年をめどに検査や治療を始めている所が多いようです。

妊娠のしくみについて

1.まず卵巣からの排卵がおこることが大切です。排卵の有無は基礎体温をつけていると分かる事が多いのですが、理想的には月経開始日より(月経周期といいます)14日目頃に排卵があるのが望ましいと考えられております。(但し月経周期が28〜30日型の周期的な方)これが遅れれば遅れる程、妊娠する可能性が少しづつ低くなる事があると言われております。 2.排卵された卵子は(直径0.1㎜程度)卵管の端の部から(卵管采と言います)卵管の中に入り込みます。 卵子は卵管膨大部で精子が来るのを待ちます。 3.膣内で射精された精子は、子宮頚管→子宮腔内→卵管と進み卵管膨大部に達し、卵子と出合います。 精子は1回の射精で数千万〜数億の数が出ますが、実際に卵管膨大部で卵子に出合うのは少なくて数十、多くて数百匹と言われております。

これは膣内から膣外に流れてしまう精子や、膣内で動けなくなってしまったもの(膣内は弱酸性の為)、頚管を通りぬけられなかったり、また子宮内腔にある細胞に食べられる精子等があり、最終的に卵子の所まで到達するには多くの難関があるからだと考えられております。

4.卵管膨大部で卵子と精子が出合った後、選ばれた精子が卵子の中に入ってきます。これが受精です。 5.受精した受精卵は、卵管の中で2細胞、4細胞と倍々に分割してゆきます。この間この受精した卵は、約5日目位の間で子宮の方に移動し、子宮腔に入っていきます。 6.子宮腔に入った受精卵は、およそ2〜3日で子宮腔の良い場所をみつけて子宮内膜に付着し、その子宮内膜に潜り込んで行きます。これを着床といいます。

これが赤ちゃんが出来るまでのおおまかな過程です。

不妊症の原因について

前の章では妊娠する仕組みについてお話しました。ではどこに異常があった場合赤ちゃんが出来にくいのでしょうか?言いかえれば不妊症の原因となるのは、どこに異常があることが多いのでしょうか?
もちろん赤ちゃんが出来にくい方に、一言でこれが原因と言い切ることは大変難しい事です。その原因は実に沢山ある可能性があります。ここでは代表的な幾つかをあげておきます。
1.    卵管に異常がある時 2.    精子に異常がある時 3.    排卵に異常がある時 4.    子宮内膜症(重症)がある時 5.    精子が子宮の中に入っていけない方 6.    その他 このうち、その他とは?

  • 子宮腔内に慢性の炎症がある方
  • 子宮腔内に子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫のある方
  • 子宮、卵管や卵巣の周辺に炎症のあった方
  • 甲状腺機能亢進や低下等、代謝性疾患等を持っておられる方
などが考えられております。
しかしいろいろな検査をして全く異常がなくとも妊娠されない方もおられます。また一方で、治療をする前の検査をしている段階で妊娠される方もおられます。不妊症についてはまだ十分分かっていない所も多く、通院されてなかなか妊娠されない方も、医師とじっくりお話をしながら、検査や治療をすすめられる事をおすすめ致します。

不妊症の検査について〜女性の場合〜

今まではどうしたら妊娠するか、妊娠するまでの過程でどこに異常があると赤ちゃんが出来にくいか説明してきましたが、その異常がどこにあるのか、どのような方法で調べるかをお話いたします。
〔基礎体温〕

1.月経期 ⅰ)月経血培養(しない時もあります) 2.低温期 ⅰ)血液検査   a)脳下垂体ホルモン検査   b)甲状腺ホルモン検査   c)副腎皮質ホルモン検査 などのホルモン検査 ⅱ)卵管の通過性をみる検査   卵管通気検査→子宮腔に炭酸ガスを入れて卵管  の通過性をみる。

聴診器で両側の卵管を通ってくるガスの音を聞く (卵管が詰まっていれば音が聞こえない。) 入れた炭酸ガスの圧力をグラフにして描きます。 a)子宮卵管造影→造影剤を入れて卵管の通過性をみる。

造影剤が子宮腔、卵管の像を描出する。 b)特殊な造影剤を入れて超音波検査でみる方法もあります。 3.排卵期 ⅰ)頚管粘液検査 ⅱ)フーナーテスト→排卵期に精子が子宮の中まで入っているかをみる検査です。(下図参照) 4.高温期 ⅰ)子宮内膜検査→卵巣の機能や、卵巣のホルモンの働きに応じた子宮内膜の状態をみるものです。 ⅱ)血液検査→エストラディオール(E2)、プロゲステロン(P)、プロラクチンなど着床時期に必要なホルモンをはかります。

  • 貧血検査、血沈検査(月経時でない事が望ましい)
  • 腫瘍マーカー検査(月経時でない事が条件)
  • クラミジア検査(抗原検査と抗体検査)
  • 抗精子抗体検査 ⅰ)女性の血液中に夫の精子を受け入れない成分(抗体といいます)がある場合があります。これを調べるものです。 ⅱ)抗精子抗体には幾つもの種類があります。必要な検査のみ医師からすすめられるでしょう。
  • 不妊症の検査について〜男性の場合〜

    1.フーナーテスト:排卵時夫婦生活をしていただき、精子が子宮のどの位置にどの位いて、そのうち何%が動いているのかをみる検査で、精子の数と実際の活動をみるものです。

    2.精液検査(WHOの分類があります。)   ⅰ)精液量 2.0ml以上   ⅱ)精子数 20×106/ml以上   ⅲ)運動率 50%以上   ⅳ)奇形率 30%以下   ⅴ)白血球数 1×106未満 これらが正常と考えられております。 ※これはだいたいの目安です。細かい所は医師と相談することが大切です。

    精子の検査はフーナーテストを含めて1回の検査で全て結論が出るという訳ではありません。 検査の時の体調、精神状態により検査結果に影響が出る時があるからです。このため結果によっては何回か再検査をすすめられる時があります。

    女性側に原因がある時の治療法 (1)排卵に異常がある場合

    不妊症に関する検査をいろいろ試みて、実際に異常があると、それに対する治療を行う事になります。例えば女性側に甲状腺の病気があれば、その治療が 優先される事があります。
    また排卵がないとか大幅に遅れる方などは、その治療がなされる事になります。ここではどういう異常があった時、普通どういう治療 が行われるかについて、お話致したいと思います。
    (1)排卵に異常がある場合


    排卵に異常がおこる病気がいろいろあります。
    異常が分かると医師から詳しくお話があり、治療法などの説明があります。
    生理が無い
    生理が不規則
    少量の出血が長くつづく等の症状がある時があります。


    排卵異常にはどんな病気や状態の時におこる可能性があるでしょうか。
     ■ 多のう胞性卵巣(ホルモン異常のページをごらん下さい。)
     ■ 高プロラクチン血症(ホルモン異常のページをごらん下さい。)
     ■ 甲状腺の病気がある時(ホルモン異常のページをごらん下さい。)
     ■ 膠原病などの他の病気がかくれている時
     ■ 卵巣そのものに異常がある時
     ■ 極端な体重減少
     ■ 極端なダイエットの後におこる時があります。
     ■ 肥満
     ■ 早発卵巣不全といって早い時期に閉経と似た状態になる時
     ■ その他にもいろいろな原因が考えられる時があります。また原因が不明の時もあります。
    1.排卵誘発剤がすすめられる時が多いようです。
    理想的には月経14日目頃に排卵があるのが望ましいとされておりますので(月経周期が28〜30日型の方で)、排卵誘発剤が有効であると考えられる方は、排卵誘発剤の使用をすすめられる事があります。
    排卵誘発剤は大きく分けて2種類のタイプに分けられます。1つは内服で用いられるもの、1つは注射で用いられるものです。一般的には内服薬の方が作用が弱く、注射薬の方が作用が強いと考えられています。
    2.排卵誘発剤の副作用はあるのでしょうか。
    一方お薬の副作用は内服薬の方が弱く、注射薬の方が強いとされております。 副作用としては次のような事が考えられています。 ⅰ)まず多胎妊娠(双胎以上)の確率が上がります。 排卵誘発剤を用いないで普通の状態で妊娠した場合、双胎以上が出来る確立は約25%と言われております。これが排卵誘発剤の内服薬では約5〜7%に、注射薬では約20%になると言われております。
    ⅱ)次に卵巣過剰刺激が問題になることがあります。 卵巣過剰刺激は、卵巣の中にある卵胞(この中に卵が入っています)が異常に数を増やしたり、大きく なったり、あるいは腹水が貯まってきたりする病気です。内服薬で起きる事は稀ですが、注射薬では時に起きる事があります。自覚的な症状では排卵日に近づくにつれて、お腹がはったり、痛くなったりします。
    診察をうけると、先程述べました様に超音波で卵胞が異常に大きくなったり、腹水が貯まってきますが、ほとんどの方は自然に良くなります。 体外受精などを目的に沢山の卵をとろうとした時等はこれらの症状が強くなる時がありますが、最近は予防策が種々講じられるようになっております。但し一回この卵巣過剰刺激症候群が出た方は、次の排卵誘発は慎重に行う必要があります。

    不妊症に関する検査をいろいろ試みて、実際に異常があると、それに対する治療を行う事になります。例えば女性側に甲状腺の病気があれば、その治療が優先される事があります。

    女性側に原因がある時の治療法 (2)卵管に異常がある場合

    卵管が完全に閉塞しているか、内腔が狭窄している場合があります。治療方法としては、次の3つが考えられます。
    1.卵管通水法
    卵管の中に水を通す事で(卵管の)閉塞や狭窄を改善させる方法です。
    2.手術法
    手術で卵管の閉塞部を再開通させる方法です。この手術の成績は少しずつ向上しています。
    3.FTカテーテル法
    子宮の方から細い管を卵管の中に入れ、卵管の内側から細くなった所を拡げる方法です。

    女性側に原因がある時の治療法  (3)子宮内膜症

    子宮内膜症とはどんな病気でしょうか。


    子宮内膜症とは、本来子宮内膜の中にあるべき組織(子宮内膜組織)が何らかの原因で子宮の筋層内や、卵巣内、あるいは子宮の外側、骨盤の中などに出来る病気です。子宮や卵巣がはれたり、月経痛がおこったり、月経量が増えたりする症状が出てきます。しかし、全く症状の無い人でも不妊症の治療で来られた時に検査をすると、20〜40%の割合でこの子宮内膜症が認められたとの研究もあります。 子宮内膜症について(症状・治療法など)詳しくは、子宮内膜症のページをごらん下さい。


    子宮内膜症と不妊


    子宮内膜症には症状の程度があります。軽度の方は不妊症とは全く関係ないという専門医もいますが、重症になると妊娠に影響が出てくるという考えが多くなっています。
    • そこで、初期のうち軽症のうちから早めに治療を受けた方が良いという説があります。例えば原因不明の不妊症の方が、何も治療をしなかった場合21.2%の 人が妊娠します。また排卵障害のある方では、何も治療しなかった場合9.2%の妊娠率です。しかし子宮内膜症の重症の方の場合は、何も治療をしなかった場 合1.1%しか妊娠しないという研究があります。(コリンズ1995年)
      この原因には、子宮内膜症の場合、精子の運動を抑制する因子があるという考え方がある他、卵子にも悪影響を与える可能性があり、また仮に受精した際には初期の受精卵の発育に悪影響を与える可能性があるとの考えがあります。
      さらに子宮内膜症の人のお腹の中(腹水中)に、卵管が卵を捕獲する力を弱める物質があるとの研究もあります(Suginami ら, Fetil Steril, 50:648、1988)
      また子宮内膜症の進んだ状態では、せっかく排卵しても卵管に入り込めなかったり、受精しても着床しづらいといった事もあるかも知れません。
    • では実際の治療にはどんな方法があるでしょうか。
      1. 明らかに子宮内膜症が原因と考えられる時
        • 積極的に子宮内膜症の治療をうける事をすすめられる時があります。
          子宮内膜症の治療のページをごらん下さい。
        • 体外受精を含めた不妊治療を優先されてすすめられる時があります。
      2. 子宮内膜症の存在が明らかでなくても不妊治療でなかなか妊娠されない時、腹腔鏡検査をうけると約50%の方に何らかの形の子宮内膜症が見つかると言われております。この際、子宮内膜症の治療をうけると妊娠率が高まると考えられています。
      3. 子宮内膜症と不妊の関係については、医師とよくお話の上、どのような治療が望ましいか検討される事が大切です。

      子宮内膜症の治療


      子宮内膜症は月経痛などの自覚的症状や診療の時の状態、あるいは検査の結果などから、軽症から重症まで幾つかの段階に分けられます。治療の方法はそ れぞれの症状の程度に応じても異なりますし、またどこに病変があるかによっても異なります。実際の治療に関しては薬を用いる方法と手術による方法の2つに 分けられます。
      1. 薬による方法(薬物療法)
        子宮内膜症の薬物療法は子宮内膜症のもとになる子宮内膜の細胞の活動力を低下させることが主眼になります。ここで女性の一生をみてみますと、この子宮内膜組織の周期的な活動が低下する時期が2回あります。
        一つが妊娠している時ともう一つは閉経になった時です。
        従って、子宮内膜症の治療にはこのどちらかの状態を人工的に作ってあげれば良いという考えがあります。
        • 偽妊娠療法
          黄体ホルモン剤を用いて、あたかも妊娠している様なホルモン環境をつくってあげる方法です。
          通常の月経周期に合わせて2〜3週間お薬を使いつづけます。またピルが使用される時がありますが、この時は21日か28日型のタイプが多く用いられます。 黄体ホルモンは正常の月経周期にも出ているものですから、副作用は比較的少ないのですが、人により少し体重が増える事があります。また、吐き気が強く出る 時もあります。さらにこれは他の薬剤も同様ですが、稀に肝臓の機能が悪くなる事や血液が血管内でかたまりやすくなる事がありまので時々肝臓などの検査をす る必要があります。
        • 偽閉経療法
          脳下垂体から卵巣に働くホルモンの作用を抑える事で、月経をこさせない様にする治療法です。偽妊娠療法に比べると薬剤の効果はより強いので、最近の子宮内膜症の治療の主体はこちらになっております。
          なお薬剤を用いている場合、殆どの方で生理がきません。副作用は人工的に閉経期と同じホルモン環境をつくる事から、少し更年期障害に似た症状がおこる事があります。
          時に不正出血がおこる事もあります。さらにお薬の種類や、量、服用期間によっては肝臓の機能に影響がある事もありますので、時々の肝臓機能のチェックが必要となります。
      2. 手術による方法
        お腹の中を調べて子宮内膜症の程度をみた後、その程度に応じて手術的に治療を行うものです。例えば、卵巣が腫れていれば、腫れている卵巣のうち内膜症の部 分を切除したり、内容を吸引しその後子宮内膜症の部分をアルコールでやっつけたりします。子宮周囲の癒着があった時はその癒着を剥離したり、電気メス、 レーザー等で焼灼する事もあります。
        これにはお腹に何ケ所か穴をあけ、腹腔内の病変を処理する腹腔鏡下の手術と、下腹部に切開を入れてみる開腹手術という方法があります。
      3. 特殊な場合 卵巣腫瘍穿刺・アルコール固定
        卵巣だけが腫れている場合は、経膣的に穿刺する器具を入れて腫れている卵巣の内容を吸引し、その後にアルコールを入れて子宮内膜症の細胞を破壊する方法もあります。入院しないで外来だけで済む方法もありますが、1日位の入院をすすめられる時もあります。

        アルコール固定術の利点と欠点 * お腹に傷がつかないという利点があります。 * 反対にお腹の中を観察できないという欠点もあります。 * 腹腔鏡でお腹の中を観察した後、お腹を洗浄すると妊娠し易くなる可能性があるとの考えがあります。 手術を選ぼうとなさる方は予め医師とよくお話をしましょう。 治療に関しては子宮内膜症のページをごらん下さい。

    女性側に原因がある時の治療法 (4)子宮筋腫 (詳しくは子宮筋腫のページをごらん下さい。)

    ■子宮筋腫とはどんな病気でしょうか。 


    子宮は筋肉のかたまりです。そのため妊娠した時は、筋肉が薄くなりながら子宮を大きくする事で赤ちゃんを子宮の中に入れておく事が可能になります。
    この筋肉が「こぶ」になって大小さまざまの(1個だけの時もありますが)かたまりになるのが筋腫です。今の所なぜ出来るのか分かっていません。ただ女性ホルモンは子宮筋腫を大きくする可能性がある事は確かです。
    ■子宮筋腫にはいろいろなタイプがあります。
    ・子宮の外側に出来る漿膜下筋腫
    ・子宮の筋肉の中に出来る筋層内筋腫
    ・赤ちゃんの入る部屋の中に(子宮内腔といいます)に出来る粘膜下筋腫

    ■不妊症になりやすい子宮筋腫 


    ・筋層内筋腫が大きくなって、子宮粘膜にかかるようになったタイプ。 ・子宮粘膜下筋腫のタイプは不妊と関係がある可能性が大きいと考えられています。 ・どちらのタイプと言われた方は医師と相談されると良いでしょう。 ・どちらのタイプではなくとも不妊の原因になる可能性もあります。 ■赤ちゃんが欲しい時はどうしたら良いでしょう。 
    ■粘膜下筋腫のように明らかに不妊の原因となっていると判断される時は、早目に手術をうけた方が良いでしょう。
    手術方法は
    1・子宮鏡といって膣の方から内視鏡を入れ、内視鏡下に手術が行われる時があります。なお内視鏡下手術で可能な時と不可能な時があります。 2.腹腔鏡でお腹に小さな穴をあけて手術をする方法があります。 3.開腹手術があります。 手術方法は、◎子宮筋腫の数 ◎大きさ ◎どこに出来ているか ◎癒着があるかどうかなど、いろいろな条件によって決まります。医師とよく相談しましょう。 明らかに不妊の原因となっていると考えられない時でも、子宮筋腫の手術をしたら妊娠率が上がったという研究もあります。
    この時も医師との詳しいお話が大切です。
    子宮筋腫があってもその位置や大きさから、手術の選択ではなく、タイミング指導・人工授精・体外受精をすすめられる時があります。
    お薬によって子宮筋腫を小さくする方法もあります。 またこれと人工授精を組み合わせる等の治療もあります。
    子宮筋腫をもっている方の不妊治療は個人個人によって全く異なりますから、医師と相談の上治療をすすめるようにするのが大切でしょう。

    子宮筋腫の治療については子宮筋腫のページをごらん下さい。

    女性側に原因がある時の治療法  (5)子宮の形の異常

    1.もとから子宮の形に異常のある方。  ⅰ) 双角子宮

    子宮が2つに分かれているようなタイプ

     ⅱ)中隔子宮

    子宮の中に壁があるようなタイプ

     ⅲ)副角子宮

    子宮の横に小さな子宮がくっついているようなタイプ

    いろいろな形の異常がある時があります。異常がある時は医師からお話があります。治療方法も一緒にお話がある時があります。 例えば子宮の中に内視鏡(子宮鏡)を入れて内視鏡下で手術を行う方法、腹腔鏡下で行う方法、開腹して行う方法(ストラスマン手術、テリンデ手術など)があります。 1. 流産や感染症の後で子宮が狭くなってしまう時があります。 主に手術で広げる試みをする事が多いようですが、他にもいろいろな工夫がなされる時があります。

    女性側に原因がある時の治療法 (6)感染症

    ■クラミジア感染症とは


    クラミジア感染症は現在家庭の主婦の約5〜10%に認められると言われており、一種の性感染症(性病)と考えられております。しかし女性に感染が認められてもパートナーに感染の証拠が認められないこともあります。
    クラミジアに感染した場合治療しないでおくと子宮の中、卵管、骨盤内の炎症をおこす事があります。
    またクラミジアに感染した後適切な治療をうけなかった時は、不妊症の原因になる事があります。
    さらに妊娠した場合でも子宮外妊娠になる可能性もあると言われております。

    ■クラミジアはどのような感染の仕方をするのでしょうか。またどのような症状が出るのでしょうか。
    クラミジア感染があっても症状があまりはっきり出ず、気が付かない事もよくあります。 女性では膣分泌物の増加(帯下・おりもの)が認められる事が多いため、この時点で医師の診察を受ける事が多いようです。
    クラミジア感染がおこると比較的早くに膣,子宮頚管;子宮内→卵管を通りお腹の中に入り肝臓の下まで広がると考えられております。このためこのまま症状が 進んでも治療をしておかないと、お腹が痛くなったりさらに進んで腹膜炎様の症状が出てくる事もあります。また時には盲腸(虫垂炎)の症状と区別がつきにくくなる時もあります。
    クラミジア自体は弱い菌と考えられておりますので、早い時点で治療するとすぐに良くなると考えられております。しかしそのままにしておくと卵管に波及した炎症のために卵管が狭くなったり、閉塞したりしてしまう事があります。そうなった時は将来不妊症になったり子宮外妊娠の原因になったりする事も考えられます。

    ■クラミジアの検査と治療


    1.検査
    ⅰ)クラミジア抗原検査
    診断は子宮頚管部の細胞を綿棒で採取しクラミジアの抗原を調べる事で判断します。クラミジアの抗原が陽性であれば現在クラミジアに感染していますし、人にうつす可能性があるとも言えます。
    ⅱ)クラミジア抗体検査
    クラミジアに感染すると血液中にクラミジアを攻撃する抗体というものができます。クラミジア抗体は言ってみれば侵入した敵を攻撃する警備部隊みたいなものです。侵入したクラミジアが強く、長い間感染がつづいていると高い値になる可能性があります。 2.治療
    ⅰ)抗生物質がよく効きます。
    ⅱ)症状によっては内服薬だけではなくお注射がすすめられる時があります。こうした時は医師から説明があるでしょう。
    ⅲ)妊娠中、あるいはその可能性がある時は赤ちゃんに影響のないお薬がすすめられます。
    ⅳ)治療後は完全にクラミジアが消えた事の確認が大切です。 パートナーの治療
    パートナーの治療は当然必要となります。泌尿器科での受診が必要ですが、まず感染しているか否かのチェックを受け、次に感染していれば抗生物質の投与をうける事が大切です。 セックスでの感染を防ぐため2人とも同時に治療をうける事、2人とも服薬の終了するまでセックスを控える事も大切です。 また仮にパートナーが検査で陰性であっても、念の為抗生物質の服用をしておいた方が良いとの考え方もあります。 なおクラミジア感染症のページもごらん下さい。

    ■2.淋病 


    淋病は一時減った時もありますが最近少しずつ増えてきています。女性の感染の場合は男性と比べ症状が目立ちにくいのが特徴です
    男性は排尿時の強い痛みがあります。
    女性は黄色いおりもの(帯下)が出るのが普通です。
    クラミジアと同様、放置しておくと感染がお腹の中に広がる時があります。
    また不妊症の原因になる時もありますからきちんと治しておきましょう。
    最近お薬が効きにくいタイプがある事が問題になっています。淋菌が消えた事を最終的に確認する事が大切です。女性は黄色いおりもの(帯下)が出るのが普通です。

    女性側に原因がある時の治療法 (7)ホルモンに異常がある時

    女性ホルモンなどに異常があると、排卵障害がおこり妊娠しにくくなる時があります。また排卵があっても、卵巣からのホルモンの働きが悪いと高温期(黄体期)のホルモン状態が悪く、不妊の原因になる時があります。 ここではホルモンの異常がおこる代表的な病気を考えてみました。 ■多のう胞性卵巣症候群(PCOSともいいます)


    ■多のう胞性卵巣とは

    昔から無月経ないし稀発月経(月経と月経の周期が長いこと)、肥満、多毛、不妊そして卵巣の腫れなどを伴った病気があると考えられておりました。最 近はくわしく病気の状態が研究されるようになり、ホルモン検査で特徴的な異常がおこっているという事が分かってきました。例えば脳下垂体から出るホルモン のうちFSHというホルモンに比べLHホルモンが高くなります。またLH−RHテストという検査を行うと独特の結果が出てきます。卵巣を調べてみると卵巣 が大きくなっていますが、特に卵巣の表面が厚くなっています(白膜肥厚といいます)。
    さらに、超音波の検査を行うと少し腫れた卵胞(といっても排卵する程大きくはなっていないのですが……)が沢山卵巣の中にひしめき合っているのが分かります。この状態ではなかなか自然の排卵がおこりにくく、そのため赤ちゃんが出来にくくなる可能性があります。

    ■治療法はいろいろ考えられています。 1.排卵誘発剤が用いられます。 ⅰ)排卵誘発剤の治療効果はかなり高いと考えられています。(排卵誘発剤については排卵に異常がおこる病気のページもごらん下さい。) ⅱ)排卵誘発剤を幾つか組み合わせる治療が試みられる時があります。 ⅲ)排卵誘発剤と他のお薬が組み合わされて使用される時があります。

    これらのお薬にはいろいろな種類があります。

    また併用をすすめられるお薬の中には、他の目的のために使われるお薬が効果を表す時があります。(糖尿病、乳癌治療用のお薬など)
    お薬を使用した方が良い理由、その効果、副作用などについて医師からお話があるのが普通です。
    医師とよくお話しましょう。

    2.手術がすすめられる時があります。 ⅰ)腹腔鏡下で卵巣に小さな穴をあける手術(ドリリングといいます) ⅱ)卵巣を一部切開する手術(楔状切除といって昔から効果のある治療法として知られています。) ⅲ)膣の方からアプローチする手術など 手術についてもいろいろな方法があります。
          手術をすすめられる時は医師から詳しいお話があるでしょう。

    ■高プロラクチン血症


    脳の脳下垂体から出るホルモンのうちプロラクチン(PRL)というホルモンが多く出てくる病気です。若い方では原因不明で高くなる人が多いのですが胃潰瘍のお薬や、ある種の精神安定剤を用いると高くなることがあります。 またあまり高値の時はホルモンを出す部分の脳下垂体の腫瘍の時もあります。 高プロラクチン血症は月経不順、無月経や不妊症の原因になることがありますので、その原因をしっかり探ることが大切です。 先程述べましたお薬が原因と考えられる時は、お薬を止めたり代える事が必要な時もあります。(勿論必要な時は服用をつづけることもあります。胃潰瘍などの元の病気が治ってお薬を止めるとプロラクチンの値は元に戻ります。) 原因不明の時(この時が多いのですが)は、プロラクチンを下げるお薬を服用していただきます。 高プロラクチン血症だけが原因の時は、このお薬をのむだけで良い排卵がおこり妊娠に結びつく時があります。 ■甲状腺の病気
    甲状腺というのは喉の前にある臓器で大切なホルモンを出しております。人間の身体に必要な物質の代謝や成長、あるいはビタミンの吸収などに関係する とされておりますが、その働き次第では卵巣にも影響が出ることがあります。つまり甲状腺の働きが良すぎても、悪くても女性ホルモンに異常がおこり得る訳で これが不妊症の原因になることもあるのです。
     甲状腺の病気にかかり、甲状腺の機能に異常がおこると月経の周期が短くなったり(頻発月経)逆に周期が長くなったり(稀発月経)あるいは月経がなくなったりすること(無月経)があります。 もともと甲状腺の病気は若い方におこることが多く、しかも女性に起こる比率が高い病気です。(女性対男性比は5:1)。
     したがって、女性でしかも若い方にかかる比率が高いという意味で、不妊症の原因になり得る病気の1つとして考えておく必要があります。 しかし幸いな事にこの病気にかかっても良く効くお薬があり、多くはホルモンの働きを正常にされることが出来るようになりました。 妊娠に関してでありますが、この甲状腺の働きを甲状腺機能亢進と低下に分けて考えてみますと甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺の機能が良くなってから妊娠した方が望ましいのですが、ある程度良くなり医師の許可が出たら、抗甲状腺剤をのみながらの妊娠も可能です。
     また妊娠中に甲状腺機能亢進症がある事が分かった際はこの時点で治療を開始することもあります。 これらの治療に用いられるお薬は授乳を含めて妊娠中もほぼ安全性が確かめられているものもあります。医師とよくお話をすることが大切です。 一方甲状腺機能低下症もよく治療をうけていれば、妊娠が可能になる事が多く妊娠した際も差し障りがありません。 しかしこの病気も妊娠中専門医との相談が、必要となることがあります。
    体重の極端な減少がおこった方、また食事を十分に食べられなくなる病気(神経性食思不振症)になった方で、甲状腺の働きに異常が出る方があります。この時は甲状腺機能低下の形をとる事が多いのですが、原因に対する十分な対策と治療が必要になります。
    ■黄体機能不全

    黄体機能不全とは
     排卵がおこると卵巣の中に黄体が出来ます。
     この黄体から出るホルモンが黄体ホルモンです。 なんらかの原因でこの黄体ホルモンの出るのが不十分な時を黄体機能不全といいます。

    黄体機能不全はなぜ不妊と結びつく事があるのでしょうか。
    黄体ホルモンは子宮内のホルモン環境を良くし、胎児が着床しやすい条件をつくりあげます。
    逆にこのホルモンの働きが悪いと胎児が子宮に着床しにくくなります。黄体機能が一時的に悪いだけなら別ですが、いつもこのホルモンの働きが悪ければ胎児が着床しにくく、不妊の原因になる事があります。

    黄体機能不全があるとどんな症状が出るでしょうか。
    基礎体温をつけていると黄体期(高温期)が短い事で分かります。 高温期は通常は12日±2日と言われています。
    黄体期が短い他、黄体期のはずなのに低温の日が数日つづくことがある時も要注意です。
    月経周期が短くなる時があります。
    ⇒基礎体温をつけて医師にみてもらう事が大切です。

    黄体機能不全はどんな方法で診断をうけるのでしょうか。

    基礎体温をつける
    黄体期(高温期)にホルモン検査をする。
    黄体ホルモン、卵胞ホルモンの値を測ります。
    黄体期に子宮内膜の組織をとり、顕微鏡で観察する時もあります。

    黄体機能不全の治療
    幸い黄体機能を改善させる治療は効果的な方法が幾つかあります。
    お薬があります。
    黄体ホルモンそのものを用いる方法(注射、内服薬などいろいろあります)
    HCGというお注射を使用する時があります。
    黄体機能の足をひっぱるような状態があったらそれを改善する方法があります。
    例えば排卵異常→黄体機能不全がある時は排卵状態を改善させるなど。

    男性側に原因がある時の治療法 (1)精子をつくる場所に問題がある時。(造精機能といいます)

    ■(1)精子をつくる場所に問題がある時。(造精機能といいます)


    精子はどこでつくられるのでしょうか
    精子は精巣(睾丸)でつくられ、精巣の上の精巣上体(副睾丸)という所に集められます。このため精巣や精巣上体に異常があると精子が出来なかったり、精子の数が極端に少なかったりする事があります。
    どんな検査があるでしょうか。 
    1.    たいていは問診といってお話を聞くことから始まります。
    以前かかった病気(既往症といいます)あるいは手術などがないか。
    前他の病院で診察をうけた事がないか。
    仕事及びその内容。疲れていないか。
    家族に遺伝的な病気がないか。
    この他セックスの回数なども聞かれるのが普通です。
    他に必要とされるお話がいろいろあると考えられます。
    ⇒出来れば少しまとめておいた方が要領よくお話がすすむ事があります。
    2.    精液検査
    不妊症の検査のページをごらん下さい。
    3.    組織検査
    精巣(睾丸)の組織を一部切りとって顕微鏡で検査をします。
    4.    ホルモン検査
    女性程頻繁に検査を行う訳ではありませんがなかなか妊娠しない時は男性側のホルモン検査を行うこともあります。
    特に精子濃度が500万/cc以下の様に低い時は、男性の脳下垂体から出るFSHを測ったり血中のテストステロンを測ったりすることがあります。例 えばFSHが高い時は精巣がホルモン療法等のいろいろな治療をうけても反応しにくい状態になっていることがあります。この様な場合は精子をつくる部分(造 精機能)に異常がある場合も考えられますのでそれを克服する方法を考えなければいけない時もあります。(薬物療法、人工授精、体外受精、あるいは顕微授精 など)。
    一方でこのFSHが正常で無精子症である時は、精子を運ぶ精管の通過障害を考えなければいけない時もあります。
    またFSHが非常に低い時は脳下垂体腫瘍を考えなければいけない時もあり、この時は頭部のX−P等の検査や血中のプロラクチンの値を測ったりする必要があります。
    また血中テストステロンの値の測定でこの値が低い時は男性ホルモンの補充が必要となる時もあります。
    今のところ男性ホルモンを補充しても精子数を改善することは出来ないと考えられています。ただテストステロンの値が低いと性欲が落ちてくる時もあり、お薬を服用する事でこれが改善される事がよくあります。
    5.    精子機能検査
    必要と判断されれば精子の機能をみるいろいろな検査がすすめられる時があります。 その時は医師から説明があるでしょう。
    6.    染色体検査
    例えばクラインフェルター症候群の方など必要と判断された時は検査をすすめられます。 クラインフェルター症候群については後の方のページにもう少し詳しい説明があります。
    7.    その他の幾つかの検査がすすめられる時があります。
    どんな治療法があるでしょうか。 
    1.    精子が全く無い場合(無精子症)
    高熱が出る病気にかかったり、放射線治療をうけた後、ある種の先天性の病気でおこる事があります。原因不明のときもあります。この場合泌尿器科の専門医の 検診をうけていただく事が多いのですが、造精機能が全く無いのではなく、精子が作られる前段階に問題が認められる場合があり、この際顕微授精の対象となる 事があります。
    2.    精子の数が少ない場合(精子減少症)
    精子の数によりますが、薬や注射を用いる方法、数の少ない精子を集めて人工受精する方法、体外受精を行う方法、顕微授精を行う方法等があります。それぞれの精子の数や運動率、それまでの治療歴、治療をうける時の年齢等により治療法が異なります。
    なおこの際用いられる薬には、ホルモン剤やビタミン剤あるいは漢方薬があります。
    治療法については医師とよく相談しましょう。

    男性側に原因がある時の治療法 (2)精子を運ぶ経路に異常がある時

    精子は精巣で作られ、成熟をしながら精管を通り最終的に射精されます。ここまでの経路に異常があると、きちんとした精子が出てきません。
    精管の異常にはどんな原因が考えられるでしょうか。 
    1.    精管やその周囲の炎症後に閉塞をおこす事があります。
    2.    先天的な精管の異常
    精巣上体(副睾丸)の異常の時もあります。
    3.    幼児の時の手術が原因の時があります(鼠径ヘルニアなど)
    4.    精管を結紮する手術をうけた後(手術をうけた後に赤ちゃんが欲しくなる方がおられます)
    5.    原因が分からない時もあります。 
    どんな検査があるでしょうか。 
    精管の異常が疑われていた時でも精管そのものの検査以外の検査がすすめられる時があります。精液検査やホルモン検査あるいは組織検査など。
    1.    問診で医師といろいろお話をする事が大切です。
    2.    精管造影検査
    精管に造影剤を入れてX−P上でつまっている所がないか検査する方法です。
    3.    ホルモン検査
    精子を作る場所に問題がある時のページをごらん下さい。
    4.    その他の検査をうけるようすすめられる時があります。
    どんな治療法がすすめられるのでしょうか。 
    1.手術をすすめられる時があります。
    精管同士をつなぐ手術
    精管と精巣上体をつなぐ手術などいろいろあります。
    専門医からお話がありますので精管の通過性の確率、その後の妊娠の可能性、もし妊娠出来なかったら次はどんな方法があるか等お話をする事が大切でしょう。
    2.体外受精がすすめられる時があります。
    精子が通る所の障害の時は精巣や精巣上体には精子がいる可能性があります(状態によっては減少している時もあります)。
    この精巣や精巣上体から直接精子をとり出し、体外受精をする時があります。
    精巣から直接精子をとる方法を ⇒ TESEといいます。
    精巣上体から精子をとる方法を ⇒ MESAといいます。
    これらの治療をうける前には医師や専門家から詳しくお話があるでしょう。
    精索静脈瘤や停留睾丸など男性の生殖器に異常がある時。
    陰のうの静脈が努張して見える時などは精索静脈瘤の時があります。
    また睾丸が陰のうの本来あるべき位置にない時があります。(停留睾丸といいます)
    治療には手術がすすめられる時があります。また活動している精子の数や状態によっては人工受精や体外受精がすすめられる時があります。
    染色体異常がある時 
    意外と男性不妊の原因に染色体の異常がある時があります。
    幾つかの染色体異常がありますが、代表的なものにクラインフェルター症候群というのがあります。(男性500人〜1000人に1人の割合といわれております)
    無精子症の方の約15%はこの病気だと言われております。
    この病気は先天性に精巣の発育が悪くなる病気ですが、最近精巣内の少ない精子を採取し体外受精で妊娠できたという方がでてきています。(全ての方が妊娠出来るという訳ではありませんが)専門医と御相談すると良いでしょう。 
    逆行性射精 
    射精された精液が外に出ないで、膀胱の中に逆流する方がおられます。これを逆行性射精といいます。精液の全部が膀胱内に逆流する時と一部だけが逆流する時があります。
    いろいろな方法で膀胱内に出た精子を回収し、人工受精で妊娠出来る方がおられます。
    性機能に問題がある時 
    いろいろな原因でセックスそのものが出来ない方がおられます。
    最近社会生活を送る上でストレスが多い事から、精神的な問題がある事があります。御夫婦で悩まれている事が多いようですが、早目に医師と相談される事も大切でしょう。
    いろいろな原因がある時があります。 
    こういう時はどうしたら良いでしょう。
    1.病院で医師とお話をする事が大切でしょう。
    2.ED障害(勃起障害)用のお薬を処方される時があります。
    3.クエン酸シルデナフィル錠(商品名 バイアグラ)
    ⅰ)塩酸バルデナフィル(商品名 レビトラ)
    ⅱ)男性ホルモン剤が処方される時があります。
    4.うつ症状がある時は抗うつ薬や抗不安薬の処方をうけて改善する時があります。
    5.内科的な病気がかくれている時は内科的な治療をすすめられる場合があります。
    例えば 糖尿病など
    6.勃起を補助する器具があり、医療用で使用が認められているものがあります。医師と相談しましょう。
    7.手術をすすめられる時があります。 効果がどの程度期待出来るか、副作用がないか医師とお話をしましょう。
    8.赤ちゃんをつくる事を目的に用手的(マスターベーション)に精子をとり、人工受精をする事があります。
    ED障害があっても用手的に精子をとる事が出来る方がいます。
    9.その他医師とよく相談の上いろいろな方法が考えられています。

    原因が分からない時 = 大まかな治療のスケジュール =

    不妊の原因がはっきり分かれば、その治療がすすめられます。しかし男性側にも女性側にも異常が見つからないのに、赤ちゃんが出来ない方も多勢おられます。 また原因が分かってその治療をうけても、なかなか赤ちゃんに恵まれない方もおられます。そうした時は大たい次のような順に治療をすすめられる時が多いようです。
    大まかな治療のスケジュール
    1. タイミング指導 2. 排卵誘発剤の使用 3. 人工受精(AIHあるいはIUIと言われます) ⅰ) 排卵の日を予測して行う方法 ⅱ) 排卵日のしかも時間を決めて行う方法 4. 体外受精 5. 顕微受精 6. 他人の精子を用いての人工受精(AID) 7. 赤ちゃんについてもう1度考え直す。   ※このスケジュールに従って治療をうけた時の問題点 妊娠しない時は①→⑤と進むにつれて妊娠する率が高くなる可能性があります。 治療をうける側の年令も重要なポイントになる時があります。 例えば最近40才以上の方でも妊娠される率は上昇してきております。しかし残念乍ら今の所、流産される率も年令とともに上昇する傾向があります。
    この為ある年令以上の方は、医師と相談の上少し早目にレベルを上げる事も大切になる時があります。

    不妊治療の方法  =1.タイミング指導=

    1.タイミング指導  普通排卵日は基礎体温をつけているとよく分かります。
     月経開始日より低温の日がつづき(低温期)、それがさらに一段下がる日があり、その日を排卵日と考えて夫婦生活のタイミングをはかる場合が一般的です。
     しかし実際に超音波検査などを行い厳密に排卵日をチェックしていきますと、必ずしも体温が下がった日に排卵がおこるとは限らないことが分かってきました。基礎体温が下がる前、下がった時、あるいは上昇した数日間は排卵の可能性があると考えられるようになってきております。
     このため外来で卵胞の成長をみながら(基礎体温や尿中のホルモンも参考にしますが)排卵日と考えられる日を推測し、その日に夫婦生活をしていただくように指導をうける事があります。これをタイミング指導といいます。
     しかしそれでも排卵日がずれる事があります。このため御夫婦が忙しい時、疲れている時は別として、もし可能ならば排卵日を境に1日おきにあと1、2回夫婦生活をされるようにすすめられる事が多いようです。
     統計的にはこの方が、排卵日と考えられる日に1回だけ夫婦生活をされるより2〜3倍妊娠率が上がることが分かっております。
    【排卵の日を判定する方法】
    基礎体温をはかる 病院で超音波の検査をうけ卵胞の大きさを測る
    尿中のホルモンを測定する(自分でも判定できます)
    排卵日近くになると膣内のサラサラとした透明な分泌物が増えます(病院で検査をうける時があります。慣れると自分でも分かるようになります)
    排卵の時お腹が痛くなる時=排卵痛がある時があります(自分で分かる時があります)
    乳腺がはる時があります(自分で分かる時があります)

    不妊治療の方法 =2.排卵誘発剤がすすめられる時があります。=

    特に排卵に異常がない場合でも、排卵誘発剤がすすめられる場合があります。 これは排卵があっても必ずしも卵管の中に、卵(卵子)が入らない場合もあるからです。また卵の中には、卵管内に入って精子とうまく出会えても受精能力をもたないものもあると言われております。 このためなかなか妊娠しない時は、1個より複数の卵が出てくれた方が妊娠率が高くなるのではないかと考え、排卵誘発剤をおすすめする場合が出てくることとなります。

    この排卵誘発剤は単独で使われることもありますが、誘発剤の効果を高めるために他のお薬と併用されることもあります。 また排卵誘発剤は弱いものから強いものへと進むのが普通です。

    不妊治療の方法 =3.人工受精(AIH…Artificial Insemination with Husband Semen)=

    1.    人工受精とは
    精子の数が足りなかったり、数はある程度あっても運動率が悪かったりする方に人工受精がすすめられる時があります。 また特に精子に問題がある訳ではありませんが、タイミング指導を始めいろいろな治療を行っても妊娠しにくいという方にもおすすめする事があります。さらに御夫婦のうちお互いが忙しくなかなかタイミングが合わない時に予め精子を冷凍しておき、丁度排卵の良い時にこの精子を解凍し子宮腔内に送りこむ時もあります。
    2.    人工受精の妊娠し易い理由
    通常膣内は弱酸性で精子にとってあまり良い環境ではありません。このため膣内に出された精子は運動があまり良くなくここでのロスが相当あります。
    また運良く子宮の内に入り込んでも子宮内(子宮内膜)で活動力が抑えられます。さらに小さな精子にとっては卵管の中にいる卵(卵子)にたどり着くまではとても長い距離を移動しなければならず途中で力尽きてしまうものも多数出てきます。
    膣内に数千万〜1億程度の精子が出ても卵管内の卵子の周りにたどり着けるのは数十〜数百匹と言われております。こうした精子のロスを防ぐために排卵の丁度良い時を選んで、子宮内に精子を送り込んであげるのを人工受精といいます。
    自然の夫婦生活に比べると格段に多くの精子が卵の周りに送り込まれるために、妊娠率がそれだけ高くなると考えられております。

    1.    人工受精の方法 人工受精では、夫に精子を自宅で採取していただきます。
    また場合によっては病院内でとっていただく事もあります。
    朝精子を採取し午前中に病院にもってきていただき、人工受精を行うことが普通です。採取された精子は出来るだけ条件が良くなるように幾つかの準備を行った後、実際に子宮内に送り込まれます。(洗浄法、スイムアップ法、DGC法などと言います。)これらの方法は精子の運動率を上げたり、精液中に含まれる細菌数を減らすという目的もあります。 人工受精時は多少の痛みはありますが程度は軽く、麻酔が必要な程のものではありません。
    2.    人工受精のタイミング
      ⅰ)排卵の日を予測して行う方法
    人工受精ではまずこれを行う日を決定する事が大切です。
    前にもお話致しましたが実際の排卵日を推定するには幾つかの方法があります。
    a)基礎体温をみます
    大まかに排卵の日が推定出来ます。
    b)超音波検査
    超音波検査を行うと排卵日近くに卵巣の中の卵胞が大きくなってくるのが分かります。卵胞の大きさが最大径18〜20㎜になりますと排卵が間近になると判断されます。排卵が間近いと判断されるとHCGというお注射をして排卵をおこし易くする時があります。このHCGは排卵誘発剤ではありません。

    C)尿中ホルモン検査
    尿中のLHというホルモンを測定することで排卵を推定することが出来ます。このホルモンは病院でも測りますが、自宅で測定していただくこともあります。
    この尿中LHは反応が陽性に出ると、その当日あるいは翌日頃に排卵がおこる可能性が高いと判断されます。
    ⅱ)排卵日のしかも時間を決めて行う方法
    排卵する時間をお薬の力で何月何日の何時頃と、時間の単位でコントロールしその時間に合わせてAIHを行うものです。排卵したての新鮮な卵子と精子が出合う分、妊娠率が高まるという考えです。
    体外受精の時と同じですが、まずGn-RHアナログというお薬を用い、脳下垂体から出るホルモンを止めます。次にHMGというお薬を用い卵胞を成長させます。卵胞が一定の大きさになったら(直径18〜20㎜)排卵の準備が出来たと判断されます。そこでHCGというお注射を用いますと(Gn-RHアナログは中止します)その時から34〜36時間後に排卵が起ります。その時期を選んでAIHを行う方法です。
    この方法は有効な方法ですが、複数の卵が排卵される可能性があり多胎妊娠の可能性があります。
    また注射薬による卵巣過剰刺激(OHSS)がおこる可能性があります。
    このためこれらの副作用を予防する方法も考えられています。医師とよくお話をしましょう。

    不妊治療の方法 =4.体外受精=

    卵管で受精し妊娠に至るのが普通ですが、排卵誘発剤を多量に用いて排卵の準備をさせた上で卵巣から卵(卵子)を取り出します。夫には病院で精子をとっていただき、その精子を調整の上、一定の数を卵子にかけます。
    受精が確認されたら、その受精卵を子宮内に戻します。一度身体の外に卵を取り出し、受精させるので体外受精といいます。
    卵をとる時(採卵の時)、膣の方から針を刺しますので少し痛みがある時があります。必要な時は麻酔を用いますので痛みはかなり緩和されます。

    体外受精で、最初に赤ちゃんが生まれて20年以上が経ちました。その後色々な研究がなされておりますが、生まれた赤ちゃんに統計上、ハンディは無いと言われております。
    1.体外受精の方法
    ⅰ)お薬を用いて排卵直前の状態まで卵胞(卵の入った袋)を成長させます。これを卵胞刺激といいます。
    a)一般的にはGn-RHアナログというお薬を用います。これは脳下垂体から出る自然のホルモンを止める作用があります。このお薬を用いながら月経周期の3〜5日目からHMGというお薬を用います。
    b)Gn-RHアナログを用いずに経口的な排卵誘発剤を用いる時もあります。
    ・Gn-RHをいつ頃から使うか。
    ・HMGには幾つかの種類がありますがどれを使うか。量はどうするか等いろいろな卵胞刺激の方法があります。医師からお話があるのが普通です。
    ⅱ)膣の方から針をさして卵胞の中の液ごと卵を吸い取ります。
    ⅲ)卵が成長するのに良い培養液を入れた容器に、卵1コあたり5万あるいはそれ以上の精子をいれます。(精子の数は精子の状態などにより異なります)
    ⅳ)顕微鏡で受精を確認します。
    ⅴ)受精卵は普通3日以内の範囲で子宮の中に戻されます。【胚移植】(戻す数は、その時々の条件により異なります。医師とお話し合いをした上で戻すことが多いようです。但し日本産科婦人科学会の指導では3個以内とされています。)
    ⅵ)胚盤胞移植といって5日目頃に戻す方法もあります。
    ⅶ)また胚の成長をみながら2日目と5日目というように2段階に分けて移植する時もあります。
    ⅷ)黄体維持(Luteal supportといいます)のために胚移植のあとにお注射、内服薬、膣座薬をすすめられることがよくあります。

    2. 体外受精の時の副作用
    体外受精をうけられる時僅かですが注意をされた方が良い点があります。主に主治医の方で管理すべき点ですが、もし気になる事があれば、早目に主治医に話をしておきましょう。
    ⅰ)卵胞刺激の時にお腹がはる時があります。
    稀ですが卵巣過剰刺激になる事があります。(OHSSといいます)
    (排卵誘発のページをごらん下さい。)
    もし卵巣過剰刺激がおこると、その程度により採卵し受精させても、その受精卵を胚移植せずに冷凍しておき、別の月経周期に戻すようすすめられる時があります。OHSSは受精卵を戻さず、月経をおこすと改善されます。
    ⅱ)
    採卵の時、卵巣の周囲の血管に針がささり、お腹の中に出血する時が稀にあります。安静や抗生物質の治療で殆ど良くなりますが、場合により手術が必要になる事もあります(腹腔鏡下手術、開腹術)。
    ⅲ)受精卵を戻す際、複数の受精卵を戻すのが普通です。子宮内に戻した卵が全て妊娠に結びつくとは限りませんが、多胎妊娠の確率が高くなる事は確かです。
    —— 日本産科婦人科学会では3個以内の移植にするよう指導しています。
    ⅳ)受精卵を子宮内に戻すのですが、その受精卵が卵管に進み子宮外妊娠になる時があります。 ⅴ)妊娠する確率、考えられる副作用などは予め医師や専門家からお話があります。また何かあれば詳しくお話があるでしょう。

    不妊治療の方法 =5.顕微受精=

    精液の状態が悪いときや体外受精で受精しなかった時などに顕微受精がすすめられることがあります。 顕微受精には次の3つのアプローチがあります。 1. 卵子は透明帯という膜に囲まれておりますが、精子がここを通りやすくする方法(透明帯開放法)
    2. あるいは人工的に通してあげる方法(囲卵腔内精子注入法)
    3. さらには、卵子の細胞の中に直接精子を入れてあげる方法(卵細胞質内精子注入法)があります。

    *現在は3番目のICSIが最も広く用いられております。

    体外受精以上の治療をすすめられる時はそのメリット、考えられる副作用など医師や専門家から詳しくお話があるのが普通です。

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