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乳がん

飲酒は少量でも乳がんのリスクが高まる?

 酒は百薬の長という「ことわざ」が日本にあります。 多量の飲酒は身体に良くない事は分かりますが、適量であれば(少量とほぼ同じ意味)むしろ健康に良いという考えが根底にあるのでしょう。 ヨーロッパでも似た様な事実が知られています。 地中海沿岸の食事(地中海食といいます)は魚介類が中心で、身体に良い上に、一緒に飲むワインは、さらに健康の保持に良い効果を及ぼすとされています。 特に心臓や血管の病気の予防になると言われています。  さて最近アルコールと乳がんの関係についての論文がありました(W.Y.Chenら、JAMA 2011)。 これによると、少量のアルコールでも、将来の乳がん発生の可能性が高くなるかもしれないとの事です。 今回の研究では、10万5986人の人を対象に1980年―2008年の約30年間追跡した極めて大規模の調査です。 その結果をみてみると、 ① グラスワインで週3-6杯程度のアルコール(1日5.0-9.9gだそうです)を飲む習慣の人では、アルコールを飲まない人に比べ、約15%乳がんになる確率が高くなったそうです。 ② また1日2杯以上のアルコールを飲む習慣のある人は(1日30g以上)、乳がんになる比率は約50%増加したそうです。 つまりアルコールの量が増える分だけ、乳がんになる可能性が高くなるそうです。  なぜそうなるかの理由は、はっきりしませんが、考えられる理由は、乳がんに関係するエストロゲン(女性ホルモン)にアルコールが関係するのではないかと言う事です。  もしそれが本当だとすると、やはり女性ホルモンが関係すると考えられる、子宮体がんや卵巣がんも注意が必要になると言う事になります。 これからの研究の進歩が待たれる所です。

ホルモン補充療法と乳がん

アメリカに女性健康イニシアチブ(WHIといいます)という組織があります。 ここで更年期を対象にしたホルモン補充療法の調査を行った所、ホルモン補充療法を行う事で、将来の乳がんの発生率が高くなるというデータが出ました。 当初ホルモン補充療法を受けるグループと受けないグループに分けて、その効果を比較する予定でしたが、あまりはっきりした結果が出たため調査が急遽中止になる程でした。 このニュースは世界中をかけ廻り、日本でも大問題になりました。 しかし、その後冷静に検討した所、このホルモン補充療法には、当初考えられていた程の危険は無いだろうという結果が出たようです。 これはホルモン補充療法うけた女性の年令・体重・もともと乳がんになり易い体質などを詳しく調べて分かった事です。 しかし一方、この当時ホルモン補充療法を受けた女性の、その後の乳がん発生率がどうなったかの再研究が出ました。(JAMA 2010) この試験に参加した女性をさらに追跡したのが今回の調査でした。 その結果、 1 乳がんの発生率(浸潤性乳がんの発生率)は上昇した。 2 リンパ節転移例が多かった。 3 また乳がんと診断後の死亡率も高かったとの事です。 ホルモン補充療法のメリットはそれなりに考えられるでしょうが、効果の他、副作用についても、専門医から十分お話を聞く事が大切な事が改めて分かったようです。

必須栄養素コリンが乳がんの予防になる 卵、コーヒー、大豆…。

 食べ物からでなければ摂取できない栄養素に「コリン」があります。 身体の中では神経伝達物質である「アセチルコリン」や「レシチン」の構成成分です。 この「コリン」が女性のかかる癌で最も多い乳がんの発生を抑える作用があるのだそうです。  この「コリン」の適切な摂取量は女性で1日425㎎だとか(妊娠中は450㎎)。 卵1個にコリン125.5㎎入っているそうです。 この他コーヒー、大豆、レバー、カリフラワー、小麦の胚芽などに「コリン」が多い事が知られています。 このうちカリフラワーは「癌」全体の予防効果がある事が知られています。 またコーヒーは心臓血管の病気や癌の予防になるとか。適切な量の食事をバランスよく食べる事が大切なようです。  なお卵の事であと少し追加を。 身体中にあるリン脂質ホスファチジルコリン(レシチン)は血管の中をきれいにする作用があります。 このため心臓や脳の血管の老化を防ぎ、心臓の病気の予防や認知能力の低下を防ぐ作用があります。 またビタミンEも豊富。 このビタミンは老化を防ぐ事で知られています。 卵類の食べ過ぎはコレステロールの増加と関係するという事で嫌がる人も多いようですが、適切な量であれば健康に良いという事になります。

小さい時に大豆製品を食べると乳がんになりにくくなる

 アメリカの国立がん研究所の研究によると、幼少時期に大豆をたくさん摂った人は、大人になってから乳がんになる確率が60%低くなる可能性があるとの事です。  もともとアメリカの白人女性は、中国や日本人女性に比べると乳がんになる確率が高い(4-7倍というデータがあります)と考えられています。しかし中国人や日本人の女性が米国に移住し、何世代か経つと乳がんの発生率がアメリカ人女性と同じ程度になる事が知られています。 このカギが食事にあるのではないかと考えて次のような調査をしたそうです。  対象は乳がんに患った女性と健康女性。 日系・中国系・フィリピン系の女性の食生活や文化的な慣習についての調査をしました。  その結果、幼少期に大豆をたくさん摂取した人は、乳がん発生率が60%低かったとの事です。  また思春期や成人になってから大豆をたくさん食べる習慣のあった人では、乳がんに罹る確率が20-24%低下したそうです。  さて大豆と言えばイソフラボン。 イソフラボンと言えば女性ホルモン(エストロゲン)作用がある物質です。 女性ホルモンは乳がんになった人や、その可能性が高い人には注意する必要のあるホルモンです。なぜこのイソフラボンを小さい時にたくさん食べると乳がんに罹りにくくなるのでしょうか。 今のところ、小さい時に食物から入ったホルモン用の作用のある物質(大豆−イソフラボン)は、将来の発がん状態の予防になるとの考えがあるようです。  そう言えば、日本人の女性の乳がん発生率が少しずつ上昇しています。その原因が食生活にある事も知られてきました。 日本食から欧米型の食事が原因との事です。 これはしかし乳がんだけではありません。 大腸がんも子宮体がんも同様だという研究もあります。  もし、今回の研究が本当なら小さい頃からの食生活が大切だという事になるでしょう。  なお最後に注意点があります。 今回の調査は極めて興味がある事は確かですが、まだ本当にそうだという結論が出ている訳ではありません。 これらについてはまだまだデータを積み重ねる必要があるでしょう。  もう1つの問題は、大豆を食べすぎて何か将来別な欠点がないかという事も調査されるべきです。  さらに大豆は畑で採れるもの。農薬との関係も検討されるべきだと思います。 これらについては、今後たくさんのデータが出て来るものと考えられます。注意深く見守る必要がありそうです。

乳がんは都会の女性の方がかかりやすいかも知れない?

 乳がんの発生に関係するのは乳房の中の乳腺組織だと言われています。 この乳腺組織が多いと乳がんになり易いとの研究があるそうですが、この乳腺組織が多い女性はそうでない人に比べて約4倍の発生率になるそうです。  ロンドン乳腺研究所の調べでは、ロンドンを中心に、その郊外、農村に住んでいる人の乳腺組織を調べると、ロンドンに住んでいる人は、明らかにロンドン以外に住んでいる人に比べて乳腺組織が多いそうです。 つまり、それだけ乳がんになるリスクが高いという事になります。  この調査が大都市と言ってもロンドンに特有なものか、他の都市ではどうなのかは分かっていません。 また大都市といっても、どの程度の大きさの都市の住民がそうなのかも分かっていません。 何よりも何故大都市の人の乳腺組織が多いのかも分かっていません。 今後研究が進む事が待たれます。

卵で乳がんを減らそう

 卵を食べると乳がんになる危険率が減るという研究が最近数多く出ています。 これは卵の中に含まれるコリンという成分が乳がんの発生リスクを減らすためと考えられているからです。  コリンを十分に摂取している人は、そうでない人に比べて乳がん発症率が25%位少ないそうです。  コリンを効率的に含む食品は卵だそうですが、この他コリンが豊富な食品には、レバー、小麦の胚芽、カリフラワー等があります。 これらはいずれも、他の面でもいろいろなメリットのある食品です。 例えば、レバーはビタミンや鉄分が豊富、 小麦の胚芽はカルシウムが多い、 カリフラワーはがんの予防になる等です。 コーヒーにもコリンが含まれているとか。  これらはイメージとしては洋食でしょうか。 でも和食でも十分に対応出来そうです。 和食の卵料理、カリフラワー、食後のコーヒーというアイディアはいかがでしょう。 いずれにせよバランスの良い食事を考えながらが…、大切なようです。

若い女性のマンモグラフィー検査に疑問

 女性の一生のうちで最も患る可能性の高いがんは乳がんです。だいたい20〜25人に1人の割合でがんになる可能性があると考えられています。その意味で若い時から乳がん検診を受けた方が良いとの考えがあります。またこの考えを支持する背景には、若い女性の乳がんは進行が早く、治療が困難な場合があるという事もあります。  さて、乳がん検診には、(1)触診(2)マンモグラフィー検査(3)超音波検査がすすめられています。最近はさらに(4)MRI検査がすすめられる時もある様です。  しかし最近がんの専門誌として信頼度の高いJNCI誌に興味深い論文が掲載されました。そこでは、マンモグラフィー検査は、40才未満の女性では、要注意という結果が出ても実際にがんである可能性が低いとの事です。 その結果、若い女性を対象にしたがん検診の手段として、マンモグラフィー検査がふさわしいかどうか再検討が必要ではないかと述べられています。  このデータはアメリカでマンモグラフィー検査を受けた女性について詳細に調べたものです。 もともと40才未満の女性はマンモグラフィー検査がすすめられていないのですが、今回の調査では、18〜39才までの女性で始めてマンモグラフィー検査をうけた人は、117738人もいたそうです。 しかし、この調査では、25才未満でがんが見つかった人はいなかったとの事です。 一方このなかから35〜39才の年齢層の人73335人を対象にすると、マンモグラフィーによるがん発見率は、1000人につき1.6人だったそうです。 さて、ここで理論上のデータを出してみると、次のようになるそうです。仮に10000人を調べるとしたら、精密検査が必要な人は1266人になるものの、実際にがんの人は16人。 一方で残った1250人は、要注意とは言われたもののがんでは無いという事になりました。  この結果から、自分で感じる症状の無い若い女性に無差別にマンモグラフィー検査を行う事は意味が無い可能性があり、マンモグラフィー検査を実施する事は要検討が必要ではないかとの結論でした。  しかし別の意見もあるようです。 たとえマンモグラフィー検査でがんが見つかる確率が低くても、実際にがんが見つかる人がいるのであれば、その恩恵はやはり大きいと言うものです。 マンモグラフィー検査で早期に発見出来る人がいる限りは、そのメリットがあるという意見です。  マンモグラフィー検査については、対象の年令を含めて、さらに議論される可能性がありそうです。

片側だけの乳がんの人は反対側にも注意を!MRIが役に立つ?

乳がん検診には視診、触診、マンモグラフィー、超音波検査等が広く行われています。 最近、MRI検査が役に立つ事が分かってきています。 しかしMRI検査の欠点は費用がかかる事と、これらの検診を全て同時に行うと時間がかかり、本来の検診としての意義が薄れることが指摘されています。 しかし、従来の検査で分からなかった乳がんが、MRIで初めて診断できるというデータもいろいろ出てきているのも事実です。 最近の調査でも、片方の乳房に乳がんがあった人は、反対側の乳房に乳がんが発見される確率が高いという研究があります。 何と22%の女性で、反対側の乳房に乳がんが見つかったという説もあります。 これらの乳がんは、いずれも普通の検診では発見されず、MRI検査で初めて診断されたとの事です。 これらの結果を総合的に判断すると、 1.片側の乳がんと言われた人は、反対側に乳がんが出来ていないか確かめる事が必要なようです。 片側の乳房に乳がんがある場合、反対側に乳がんが出来る可能性が2〜6倍高くなるそうです。 2.そういう時は、MRIが役に立つとの事です。 3.中でも閉経期以降の人では、MRIの検査が有効だそうです。 乳がん検診については、専門家の正確な診断が必要とされます。 このため検診をうける医師、あるいは乳がんになった人は担当医との、詳しい話し合いが重要になってくると考えられます。

乳がんになりやすい人は?−札幌ことに乳腺クリニックのデータから−

 2861人の乳がんの手術をした札幌ことに乳腺クリニックからの最近の調査の結果が出ました。  乳がんは閉経前に発病した人と閉経後に発病した人で別けて考えるべきだそうです。 乳がんの発生し易い条件や発病後の経過に違いが出る可能性があるからです。 閉経前の女性を調べてみると、次の順に危険率が高かったそうです。 1. 家族に乳がんの人がいる。 2. 良性の乳腺の病気になった事がある。 3. 初潮が11歳以下の人 4. 独身 閉経後に発生する乳がんの危険因子は 1. 肥満(BMI 25以上) 一方乳がんを抑える可能性があるのは「出産」だそうです。 確かに赤ちゃんに授乳をする人は乳がん発生率が低いというデータもあります。 出産・授乳というのは1つのポイントかも知れません。

男性にも乳がんがあります。その割合は… 

 乳がんは、女性がかかる「がん」の第1位です。 女性の全生涯では、およそ20人から25人に1人の割でかかるとの統計があります。 しかし乳がんは決して女性だけの病気ではありません。男性にも乳がんが発生する事があります。 その理由は、男性の乳首の後には、僅かですが女性の乳房と同じもの(組織といいます)があるからです。  だいたい全乳がんのうち1%は男性の乳がんと言われています。 めずらしいと言っても全乳がんの1%であれば、そんなに少ない病気ではありません。 今のところ幾つかの注意点があるようです。 1. 65歳以上の人に多いと言われています。 2. 家族に乳がんの人がいる時。特に若い時に乳がんと診断された人がいる時。 3. 前立腺がん治療の時にホルモン剤を使った時。 4. 精巣のがんにかかった事のある時。 などです。 詳しくは専門家の意見を聞いてみる事が必要でしょう。

乳癌再発予防には低脂肪食が有効である可能性があります。

食事中脂肪の摂取量が多いと、乳癌や大腸癌、子宮体癌の発生頻度が高くなるという事はよく知られています。 それでは運悪く、これらの癌にかかってしまった人が、食事に注意すると再発率が減るかどうか調べた結果が出ました。 研究の対象になったのは早期の乳癌の方です。きちんと栄養士の指導をうけながら、1日の食事の脂肪量をコントロールした人達と、食事を好きなように食べた人達を比較すると、脂肪を制限した人達に明らかに再発率の低下が認められたそうです。 ただこの効果は、乳癌のタイプ(ホルモンに対する態度…感受性といいます)にもよるようです。 ちなみに指導をうけた脂肪量は1日38gだそうです。 この事はもしかすると脂肪の摂取と関係すると考えられる他の癌(大腸癌、子宮体癌、卵巣癌)の予防、再発防止にも役立つという可能性があります。 脂肪が少ない食事→やはり和食が良いようですね。

乳がん検診は画一的に行わない方が良いとの考えが…。

乳がん検診にマンモグラフィーが有効な事が分かっています。 触診だけでは分からない小さな異常が分かるからです。 しかし、厚生労働省の指針では比較的厳しい条件がついています。 例えば判定には一定の技量をもった2人の医師の判断が必要など。これは裏返すと、マンモグラフィーの診断はむずかしいという事になります。 これは何も癌を見落とさないという事を意味するのではありません。実際には癌ではないのに癌と診断してしまわないように、また癌ではなくても治療の必要のない病気を治療が必要なものと間違わないようにという意味もあります。 またどのX線を用いた検査にも言えますが、X線の被爆の問題もあります。僅かですがX線による将来の白血病の危険度の上昇も考えなければなりません。 検査をうけるにあたって、自分は検査をうけた方が良いか、メリットは何か、危険な事はないか等もよく担当医と相談されておいた方が良いでしょう。 さらに検査については 何歳になったら検査をうけると良いか。 年齢によって検査法を変えた方が良くはないか。 どんな症状があったら必ず検査をうけるべきか。 触診だけでよいのか。 触診で、超音波検査、マンモグラフィー等いろいろある検査法のうちどれとどれを組み合わせると良いのか。 等これからさらにきめ細かな検討が必要になる時が来るのではないかと考えられます。

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