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妊娠とお産

赤ちゃんはお腹の中にいる時の事を憶えている?

 今少し胎内記憶―お母さんのお腹の中にいた時の赤ちゃんの記憶―が話題になりつつあります。  多分純粋に医学的な研究のデータはないと考えられますが、母や子供を対象にしたアンケート調査で、お腹の赤ちゃんには、お母さんのお腹の中にいた時の記憶があるかも知れないという調査があります。  有名なのは三島由紀夫氏の記憶で、確かにお母さんの身体から出てくる瞬間を憶えているとの事でした。 最近の調査では、「お腹の中が暗かった」「外に出た時あかるかった」「あたたかだった」「お母さんの声が聞えていた」等との結果が出ています。  もしこの事が本当だとすると、妊娠中から赤ちゃんへの語りかけや、胎教が十分な意味をももつ事が考えられますね。

胎教-胎児は天才だ!ちょっと試してみよう。

 胎児は天才だとう考えがあります。 胎動を感じるようになったら、「夫の帰りの時間を教えて」と言うと、胎動や、お腹をける事で帰宅時間を教えてくれる、と言うものです。 一度試してみてみませんか?  さて最近胎児についての研究が、いろいろな分野で広がりつつあります。 そのうちの1つに、いままでの科学的な研究の他、生まれた子供の胎内記憶を探るという調査があります。  その中で、どうやら胎児は従来言われてきた音を聴き分けたりする能力の他、脳の働きもある程度あるのではないかと考えられるようになってきました。 もう少し研究が進むと、胎児こそ、能力の「かたまり」という説が出てくるかも知れません。 その意味で妊娠中の家庭の環境、胎教などは意識するとしないとは別にして、とても大切な役割を果たす可能性があります。  しかし一方で、最近赤ちゃんの出生時の体重が平均的に減ってきている、あるいは、頭の回りの大きさが小さくなっているというデータが発表されています。 赤ちゃんの成育環境が悪くなっているのではないかと心配される理由がここにあります。 研究は研究として、私達も赤ちゃんの発育する環境について、心くばりをする必要が出てきているようです。

胎教を意識しますか? 欧米人とアフリカ人の赤ちゃんの違い

 日本人のお母さんの場合、妊娠したら胎教を意識する人は約70%という調査があります。 またお腹の赤ちゃんに胎教と考えられる何らかの行動をとっているか調べた所、 1.話しかける 71.5% 2.音楽を聞く 58.1% 3.唄を歌う 17.7% 4.本を読む 9.7% だったという調査があります(越野立夫ら、厚生省研究班)  これらの調査は、日本や欧米を始め先進国ではだいたい同じ様な傾向があると考えられます。  一方こうした妊娠中の赤ちゃんに対する知識が多いだろうと考えられる欧米の赤ちゃんとアフリカの赤ちゃんを比べた調査があります。(Ridgway Rら) これを乳幼児行動発達と言います。 これをみると、 欧米 アフリカ 頭が座る 3カ月 4~6週 支えなしで座る 7~8カ月 4カ月 立って歩く 12~14カ月 8カ月 走る 24カ月 12~14カ月  といずれもアフリカで生まれた赤ちゃんの方が早く行動が発達するようです。  この説明に、アフリカの母親たちは、出生前から子供を身近に感じている事、古くからの方法で子育てをしている事を考えられる理由だとしております。 また赤ちゃんを出産すると、どこにでも背負って連れて行くのも良いと述べています。  もしこれが本当なら、私達に別の観点からの子育てを教えてくれているのかも知れません。

妊娠中の高血圧を運動が予防する

 妊娠中毒症という病気があります。 妊娠が進むに従ってむくみや、尿に蛋白が出る他、血圧が高くなる病気です。 重傷になると、お母さんに意識障害が出たり赤ちゃんの成長が遅くなったりする時があります。こうした重傷の症状が出る可能性がある状態を子癇前症といいます。  子癇というのは、妊娠中血圧が上昇し、意識がなくなり、ケイレン発作等が起こる状態をいいます。 従って子癇前症と言うのは、そうした異常状態が起る予備軍と言えるでしょう。  ところで、この子癇前症は、妊娠中に運動をすると予防出来るという考えがあります。 妊娠中に意識して運動を行った人は、運動を全くしていない人に比べると子癇前症の症状が出る確率が低くなるそうです。 これは体重があるお母さん(BMI値が30以上)には効果がないという説もあります。 しかし一方で効果が期待出来るというデータもあります。 切迫流産や早産の危険があって運動を制限されているお母さんは別ですが、そうではない方は、なるべく身体を動かした方が良さそうです。

妊娠中にお魚を食べると子供の脳の発達に良い

 今回は直接の胎教のお話ではありませんが、胎教と同じ位大切な妊娠中の食べ物についてのお話です。  「私はお肉類が好きで、お魚はあまり食べません」というお母さんがいます。 でも妊娠している時は、「お魚を食べた方が子供の為にいいのでは?」とか「やはり頑張って食べた方が良いでしょうか。」という質問が時々あります。  2007年世界的に評価の高い医学専門誌に出た(Lancet)データを御紹介しましょう。  イギリスやアメリカは赤ちゃんのために、妊娠中の食事についていろいろな勧告を出している国で有名です。(例えばレバーのとり過ぎ等) アメリカでは一部の海産物にはメチル水銀が含まれている可能性があるため、妊娠中の魚介類の摂取量を1週間に340g以内にするよう勧告しています。 日本の厚生労働省にも、お魚についての注意・勧告があります。  ところが最近イギリスで行われた研究では、週340g以上の魚介類を食べる妊婦さんから生まれた子供の方が、340g以下の魚介類を摂取した妊婦さんのグループより言葉をしゃべる能力が高い事が分かりました。  それだけでなく、社会生活をする上での能力や、コミュニケーション能力等も上である事が分かったそうです。  研究の対象となった妊婦さんは11,875人だそうですから、かなり確かな研究と言えます。しかし、いろいろな国からもっと多くの研究が出なければ、本当に魚介類が良いのかは断定出来ない可能性があります。  今回の研究で早々に結論が出る訳ではありませんが、お肉に片寄らず、お魚も十分にとってバランスの良い食生活をする事が大切だという事は言えそうです。

出産年令と病気・寿命

 世界中、先進国では女性の出産年令が高くなる傾向があります。 その理由は幾つかあげられますが、この出産年令と病気に関する研究がいろいろ進んできました。    最後の出産年令が高いと寿命が延びるというデータがあるそうです。 アメリカ、カナダなどの研究などとの事ですが、フィンランド、中国、イスラエルでも同じような傾向が見つかっていると言われています。  興味があるのは、出産年令が高かった女性に男の兄弟がいる場合、この男性の寿命も長かったという事で、遺伝的な素質があるのではないかという推測があるようです。 今ある特定の遺伝子に焦点があたっているとの事です。  さてこうした自然妊娠とは反対に、妊娠を希望しているのに、妊娠出来ない人については、何か病気が隠れていないか注意も必要との考えがあります。 不妊の女性の中には、隠れた肥満やⅡ型糖尿病の人、何らかの心臓の病気を持っている人もいる事から、一応のチェックを受けておいた方が安心との説があります。  もう1つの注意は、不妊の女性に多いがんがあるという事です。 お産の回数が多かった女性に認められるがんがある一方で、不妊の女性では、子宮内膜がん、乳がん、卵巣がんが増えてくるというデータがあります。  仮にこういう傾向があると、これらのデータを利用するという手段もありそうです。 予め注意さえしておけば、予防が可能だという事にもなる訳ですから(Fetility sterility 2015)。

妊娠中のコーヒー

 外来で時々聞かれる事に妊娠中のコーヒーの事があります。 コーヒーが好きな女性は、妊娠中どうしたら良いか悩む事が多いようです。  コーヒーや紅茶に入っているカフェインが、薄まった形ですが、臍帯を通じて赤ちゃんの方に行くというデータがあるようです。 赤ちゃんに取り込まれたカフェインが流・早産になる事はないか等の調査は昔からあります。 今カフェインの摂取がどんな影響があるかは依然不明という見解もあり、少量なら構わないとは言われているものの、決定的な見解はありません。  さて、アメリカの産科婦人科学会(ACOG)では、妊娠中の女性のコーヒーについてのデータを出しています(2011 OB・GY誌)。  これによると妊娠中の女性は1日1杯のコーヒーであれば、赤ちゃんに影響を与えないと言うものです。 適当なカフェイン量なら問題ないというのが見解ですが、では適当な量とはどの位を言うのでしょうか。 ACOGの見方では、1日あたり200㎎のカフェイン量ならOKとしています。 1日あたり200㎎というと、普通のコーヒーだと360ccとの事。 アメリカのコーヒーカップは大きいから、360cc(缶ビールから想像してみましょう)アメリカでは、コーヒー1杯分かも知れませんが、日本人なら2杯はいけそうです。アメリカンで薄くすると、もっといけるかも。  という事で、コーヒー好きな人も、適度に楽しめそうです。 但し先程述べたように、大量にカフェイン摂取したら、どういう影響が出るかの結論はまだ出ていません。 このため、あくまで程々といった所で楽しむのが良さそうです。

妊娠中に魚を食べると早産の予防になる?!

 国によって、食べ物としての魚はいろいろな評価をうけているようです。 日本のように魚文化の国もある一方で、海を環境汚染物質が流れ込んでいる所と捉え、その中に住んでいる生物(魚)には注意を払わなければいけないと考えている人達もいます。  そう思う人がいる国にとっては、妊娠している人がお魚を食べるにはそれなりの理由が必要なのでしょう。  ヨーロッパの研究グループから出た調査の結果です。 妊娠中お魚を食べる習慣が週1回以下の人に比べて週1回〜週3回食べる人の方が早産になる率が少なかったというデータです。 一方データから見ると、週3回以上でも週1−3回の人と変わりはありませんでした。  なおこの調査では、お魚を食べる習慣のある人の方が、赤ちゃんの体重が多かったそうです(早産の事を割引いても)。  ただ残念な事に、お魚を日常食べる日本人との比較はありませんでした。 日本人とヨーロッパ人の早産の比率などは、検討の余地はあるでしょう。  なお彼らもお魚は、胎児の発育に必要な栄養の源であると評価しているのは確かです。

妊娠中の貧血を甘く見ない方が良い

 女性はよく貧血になります。 生理の出血では、平均200ccの血液が出るという事ですから、これだけでも貧血の原因になり得ます。 さらに最近の若い女性の食生活は、貧血を増長する傾向がありそうです。少々貧血があっても「しょうがないわ」と思っている女性もいるようです。  しかし赤ちゃんが出来た時は話が違ってきます。 貧血を左右する鉄分は赤ちゃんの成長に必要と考えられています。 妊娠中は、お母さんは意識して鉄分の多い食事をとる事が大切と考えられています。  2013年のイギリスの有名な医学誌BMJに興味ある記事が出ていました。 それによると、元々貧血があると、早産する率が高くなるというデータがありました。 また貧血と赤ちゃんの体重が関連するというデータは以前からありました。  今回の調査は、貧血の治療薬の鉄剤を内服して、赤ちゃんの出生時の体重が増えるかどうかを見たものです。  その結果は、1日あたりの鉄剤が増える毎に妊娠中の貧血のリスクが減り、低体重で生まれる赤ちゃんのリスクもだんだん減ったそうです。 しかも、赤ちゃんの体重は、鉄剤の量が増える毎に良くなったそうです。(これを用量依存的に回復したと言います)。  妊娠中のお母さんの貧血はつい軽く見られがちです。妊娠中は注意が必要なようです。  ただし何でも摂り過ぎには注意が必要です。 産科の医師と相談しながら必要なものを摂るという姿勢が大切かと考えます。

妊娠中に鉄と葉酸をとる事で子供の能力が上る

 妊娠中鉄や葉酸を摂る事がすすめられています。 鉄は赤ちゃんの成長に伴い消費されますから、妊娠中お母さんが意識して摂らなければなりません。  葉酸は赤ちゃんの一部の先天異常の病気の予防になると言われています。  2010年世界で最も読まれている医師を対象とした専門誌の1つに、妊娠中のお母さんに幾つかのサプリメントを飲んでもらい、どの成分が有効だったかのデータが出ていました。  鉄欠乏症の多いネパールで行われた調査ですが、鉄と葉酸を飲んでもらったお母さんから生まれた赤ちゃんは、  ①知能(記憶やもの事を推測する能力)  ②物事を実行する能力  ③運動能力 などが鉄と葉酸を飲まなかった赤ちゃんに比べて優っていたそうです。  さて日本ではネパールに比べて栄養状態は良いと言われております。 全ての女性が鉄と葉酸を摂らなければならないという状態ではなさそうですが、それでも胎児の中枢神経系統が発達する大切な時期には、「鉄」や「葉酸」は十分に摂った方が良いと考えられています。  一方サプリ(鉄を除く)と葉酸の組み合わせは、おすすめ出来ないというデータが多いので御注意を。

妊娠中にうつ症状が出る人は10人に1人−その時使う抗うつ剤は−

 女性が妊娠した時は、妊娠中や将来の事(育児等)などについていろいろ不安な事が起こります。このため、程度の差こそあれ、うつに近い症状が表われる事があると考えられています。 一説によると、妊娠中に何らかの「うつ」症状が出る人は10人に1人と言われております。 意外と多いものですね。  さて、実際に明らかなうつ症状でなくても、うつに近い症状が出る時もあります。 こうした時に抗うつ剤を使う事は、日本ではあまりありません。しかし国によっては、SSRIという薬剤が症状改善のために、比較的手軽に利用されているようです。 日本では「うつ病や、うつ症状のある人で、この薬剤が用いられている時に、たまたま妊娠した」という事が多いようですが…。  さてこの薬剤は、上に述べた理由で妊娠中に用いられる事がある薬ですが、赤ちゃんにどの様な影響があるかは、まだよく分かっておりません。  最近の研究では、SSRI剤を使用したお母さんから生まれた赤ちゃんは、 ①早産する率が高くなる ②出産時アプガール・スコア(出産直後の赤ちゃんの元気度を測る数値)が低くなる可能性がある。 ③出生した赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に収容される可能性が高くなる。 などという傾向があるそうです。  またお母さんが服用したSSRIは胎盤を通って赤ちゃんの方にも行くそうです。その結果、生まれたばかりの赤ちゃんに、呼吸困難、何らかの感染症、黄疸、神経過敏症状などが出る可能性もあるらしいとも言われています。  しかし、これらはまだ検討中の事です。 はっきりそうだと分かった事ではありません。また何らかの症状が出たとしても、新生児科できちんと管理する事が出来る事ばかりです。ただし、これからもっともっとデータの集積が必要と言える事は確かのようです。

分娩誘発をした方が赤ちゃんには良いという調査があります。

 今お産は自然分娩が静かなブームです。医者の手をなるべく介さず「自然の分娩のスタイルでお産を」という趣旨での分娩です。 自然のスタイルで、しかし何かあったらすぐ医者が手を借すといった方法は理想的と言えるでしょう。  さて日本の例ではありませんが、アメリカの産婦人科学会の雑誌に興味深い調査の結果が出ています。(American Journal of Obstenities and Gynecology −アメリカ産婦人科学会誌)  適切な時間帯に分娩を終了するために予防的に分娩誘発を試みたグループと、一般的な産科の対応をしたグループを分けて調べたものです。 それによると予防的に分娩誘発を試みたグループとそうでないグループでは、  1.帝王切開の率が 10.3%と14.9%(統計学的差なし)  2.赤ちゃんがNICUに収容された率が 1.5%と6.7%(統計学的差あり)  3.正常分娩(経膣分娩)で合併症がなかった率が 73.5%と62.8%(統計学的差あり) と、いずれも適切な時間帯に分娩誘発をしたグループの方が成績が良かったそうです。  日本とアメリカの分娩事情に差がある事から、これをそのまま日本に当てはめる事は出来ませんが、専門医の十分な管理のもとの分娩は、それなりの意味がある事も示唆するデータかも知れません。

今胎教の効果として考えられていること 脳の活動が良くなるらしい!

 胎教にはいろいろな効果が考えられています。 現在ほぼ確かと思われている事の1つに脳と手足を含めた身体の働きの関係が早く働くという点があります。  これは脳と身体の協調運動と言って良いでしょう。 赤ちゃんが何か興味があると、そちらの方に目が向いたり、手を伸ばそうとする動きの事をいいます。 こうした動きは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時に、音楽を聞いていると早くに始まるという事です。  これは脳の働きと、脳から出た神経的な指令に身体の各部分が反応すると言う事と考えて良さそうです。 赤ちゃんの将来の発育も早く、健全になる可能性とも考えられ、胎教の大切な効果と考えられます。

赤ちゃんに異変?出生時の体重が減っている!

最近極めて注目すべき話題がとりあげられていました(松尾宣武氏 MMJ−毎日新聞社)赤ちゃんの出生時の体重が減っているというのです。 1975年の出生時の平均体重が男児3,240g、女児3,150gだったのが、2005年では男児3,050g 女児2,960gだったそうです。 また体重だけでなく、平均身長や平均頭囲(頭の周囲の長さ)も小さくなっているそうです。 平均体重が少なくなったと言うと、体外受精児の増加などで未熟児が増えてきたためではないかと考えがちです。 しかし未熟児が生まれる比率は変わっていないそうです。 という事は、実際に生まれてくる赤ちゃんがだんだん小さくなっているという事になります。 お腹の中の赤ちゃんの成育環境に問題がある可能性があり、真剣に考えなければならない時期に来ているのかも知れません。

妊娠早期の血液検査で胎児の性別が分る。

 女性は、妊娠すると最も気にする事は赤ちゃんの健康です。 次に気になるのは多分性別だと思います。 産科の医師は、赤ちゃんがある程度大きくなると決まって、うちの子は「男の子ですか」あるいは「女の子ですか」と尋ねられます。  これまで性別は、例外的な場合を除いて、ある程度胎児(赤ちゃん)が大きくなってからでなければ分かりませんでした。 またよく間違う事もあって、産科医の中には、半分冗談で「もし間違えても私を怒らないでね」という人もいる程です。  しかし性別の判定は、時に重要な問題を含む事があります。 特別な病気ですが、性と関連する病気、例えば男の子にだけ症状が出てくる病気などがあります。これを伴性遺伝性の病気といいます。こうした素因をもっている女性にとって、性別の判定はとても大切な問題になります。  さて、この性別の判定を、妊娠の早い時期から正確に行おうという研究があります。 この研究はもう既に実を結び、イギリス、オランダ、フランスなどのヨーロッパ諸国の中では妊娠中の普通の検査の中に組み込まれています。 さらに男女の判定器具は、インターネットでも販売されています。これらの器具は妊娠の5週から7週の早い時期から判定が可能とのふれ込みだそうですが、それについての研究のデータが出ている程です(JAMA 2011)。  これはお母さんの血液の中を流れている、赤ちゃん由来の遺伝子を調べるものですが、検査の精度は高いと考えられています(的中率95-99%程度)。但し精度は妊娠の早期よりも妊娠が進む程高くなるそうです。また尿から検査する方法もありますが、尿による検査より血液による検査の方が精度が高いとの事です。

赤ちゃんにコレステロールが大切!

お腹の中の赤ちゃん(胎児といいます)には、ある程度のコレステロールが必要な事が知られています。 コレステロールは血管の壁の働きに関係したり、大切なホルモンの原料になったりします。さらに胎児の発育に関係している事も分かっており、コレステロールの異常によっては胎児の奇形の原因になるという調査もあるそうです。 もともと胎児はコレステロールを自分で作る能力が低いと考えられています。 このため妊娠の初期では特にお母さんからの供給が大切になります。 最近、お母さんのお腹にいる胎児のコレステロール産生能力を測定した研究の結果が出ていました(M.B.Baardman ら、AJOG 2012) これはお母さんの羊水を調べたデータですが、それによると、 1.胎児は妊娠19週までは、コレステロールを自分で作る能力は低いのではないかという事だそうです。 2.一方で、お母さんから胎児へはコレステロールが移送されていると推定されました。 3.また全てのコレステロール(胎児が作る分も、お母さんから来る分も)が、妊娠15週から22週にかけては僅かに上昇している事も推測されました。 コレステロールの大切な作用は沢山あります。 例えばコレステロールが少な過ぎると、コレステロールを原料とするステロイドホルモンが十分に作られない可能性があります。もしそうであれば赤ちゃんが生まれる時、ストレスに十分に対応出来ない事も考えられます。 そして何よりコレステロールの量が適切でなくて、赤ちゃんの奇形の原因になっても困ります。 今の所、何をどのようにと言った細かな基準はありませんが、お母さんのしっかりした栄養管理が大切だという事は言えそうです。

早産でも早期授乳を心がけた方が良い。授乳をあきらめると…。

早産で直接赤ちゃんに授乳出来ないと母乳の出が悪くなる事があります。 これは脳にある脳下垂体という所から出るホルモンであるプロラクチン(催乳ホルモンといいます−母乳をあげているとたくさん出てきます)が、授乳をしていないと減ってしまう可能性があるからです。 このプロラクチンホルモンは、普通のお産では、分娩直後に沢山出ます。 そのまま授乳をつづけていれば、このホルモンが出て母乳が出るのですが、もし赤ちゃんがお乳を吸わず(早産の時は吸う機会がない時があります)、乳頭への刺激がないと、だいたい2週間位で妊娠していない、普通のレベルに戻ってしまう事が多いのです。 このため早産等で直接授乳が出来ない時は、早目に乳頭を刺激して母乳が出る状態にしておいた方が良さそうです。 母乳には、赤ちゃんの病気に対する抵抗成分が入っています。 早産のため、はじめは直接授乳出来なくても、いつかは母乳を飲める時が来ます。 その準備も必要です。 なお分娩初期は手によって直接授乳する方が母乳の出が良いのですが、時間が経つにつれて手でとるのは大変になります。その時は電動式の搾乳器を使って、継続的に母乳をとるようにした方が良いようです。

妊娠中のGBS感染症

妊娠中のGBS感染症が話題になっています。 赤ちゃんに影響が出る可能性があるからのようです。 妊婦さんがGBSを保有している確率は15〜30%位との事です。 さてGBS感染症とは、B群溶血性連鎖球菌という細菌の略称です。 妊娠している女性の膣や直腸にこの細菌がいる事があり、分娩時に赤ちゃんに感染する事があると言われております。 感染する確率はあまり高いという訳ではなさそうですし、感染しても全ての赤ちゃんに影響が出るという事ではありません。 しかしもし感染し、GBS感染症を発症すると、肺炎や髄膜炎になる場合もあると考えられています。 生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)の発病率は今のところ0.005〜0.002%と推測されています。(保科 清 産婦人科の実際55:491.2006) 症状 生後0〜6日位までに発症する 早発型 生後7日目以降に発症する   遅発型に分類されます。 早発型の方が遅発型より多いようです。 赤ちゃんの呷吟(苦しそうな声、うなり声) 哺乳力が低下など、 何かおかしいと思われる症状があった時は、専門医の診断をうける事にしましょう。 もう1つ注意しなければなれないのは、GBS感染症と流・早産の関係です。 妊娠中にこれらの感染があると、流・早産の可能性が出てくるとの事です。 最近、妊娠中にこれらの感染がないか、調べるのが普通になってきています。 検査については、産科の医師からお話があるはずです。

授乳するとお母さんがリュウマチになりにくい?

 授乳の効果はいろいろ言われています。しかしそれは主に授乳をうける赤ちゃん側のメリットが強調される事が多いように思われます。  授乳する側(お母さん側)のメリットとしては、例えば子宮体がんになりにくくなるとか、卵巣がんになりにくくなる等という事があります。 最近の研究では、関節リュウマチになりにくくなるという調査があるそうです。    関節リュウマチは、患った人か身近にそれを見ていた人でなければ、そのつらさは分からないかも知れません。授乳したからと言って絶対関節リュウマチにならないという訳ではなさそうですが、授乳した女性の方がこの病気に患る確率が低い事は確かな様です。 加えて授乳期間が長い程、この病気になる率が低くなるというデータも出ています。  これが本当だとすると、授乳ですから何らかのホルモンが関係している可能性があります。授乳と関節リュウマチの関係がもっと分かってくれば、新しい薬が創られるかも知れません。

陣痛促進剤を使うとお産が安全?!

 妊娠している方にとって、元気で健康な赤ちゃんが生まれる事は何より大切です。 そのためには、赤ちゃんが自然に生まれてくれるのが理想的と考えている人が多く、ある程度陣痛をコントロールする陣痛誘発剤は望まないという方が多いようです。 では陣痛誘発剤は本当に危険なのでしょうか?  これについて、陣痛誘発剤はメリットがあるというデータが最新のイギリスの医学誌に出ていました(BMJ−イギリス医学誌.2012)。  それによると、妊娠37週を過ぎて人工的に分娩誘発を受けた方が、そうでない人に比べ、赤ちゃんの周産期死亡率(妊娠28週から分娩後1週間までの胎児・赤ちゃんの死亡率)が下がったとの事です。  また分娩誘発をしたからと言って、帝王切開の確率が高くなる事はなかったとの事。これは分娩誘発をしたため、赤ちゃんの心音に異常が出て、慌てて帝王切開になる事は無いという事を意味します。  具体的には、分娩誘発をしたグループの中で周産期死亡率は0.08%、誘発しないで自然の分娩を待ったグループの死亡率は0.18%だったそうです。 つまり分娩誘発をした方が、良かったという事になります。  但し分娩後、赤ちゃんが新生児集中治療室(NICU)に入った割合は8%で、自然分娩の7.3%より高かったとの事です。  このデータからは、赤ちゃんをしっかり管理しながら分娩誘発が行われるのであれば陣痛を待つよりメリットがあり、お産自体も安全という事になります。  なお予定日を大幅に過ぎた場合、お母さんに妊娠時の高血圧が出た場合など、明らかに分娩誘発をした方が良い時があります。 これらについては、担当医と十分お話をし、適切な分娩方法を選ばなくてはならない事は言うまでもありません。

妊娠中のうつ症状は赤ちゃんの体重に関係?  うつ症状と葉酸の関係も

 妊娠中にうつ症状が出る人がいます。その原因は様々ですが、その対策もいろいろ試みられています。  さて今回は妊娠中のうつ症状が赤ちゃんの体重に関係するか、早産する可能性はないか、そして葉酸との関係はどうかという研究が行われたことを紹介します。  調査の対象になったのは、4,044人の妊婦さんでした。  その結果 1. うつ症状のある妊婦さんは、赤ちゃんが早く生まれる傾向があった(うつ症状のない妊婦さんに比べて)。 但し早く生まれると言っても0.2週間早いと言う事で、差はそれ程ある様には見えませんが。 2. 生まれた赤ちゃんの平均体重は3,270gという事ですが、何もなかったお母さんから生まれた赤ちゃんに比べて、約6%体重が少なかったとの事です。   3. なお、血液中の葉酸の量を測ったところ、葉酸の値が少かった妊婦さん−葉酸を十分に摂取しなかった女性−は、早く生まれる確率が高くなり、また体重が少い割合も高かったそうです。  これらの事実から、もしうつ症状が出たら、葉酸だけでも十分にとる事が大切だと、この論文では述べています。   *なおこの調査はオランダ人のものであるため、日本人に比べて、体重が多目に出ていると考えられます。

妊娠中のビタミンDの量 子供の成長と関係

 妊娠中のビタミンDの量は、赤ちゃんにいろいろな影響を与える事が分かっています。  今回はビタミンDと、お子さんの言葉の機能についての話題です。  最近の小児科の専門医学誌(Pediatrics 2012)に、妊娠中お母さんがビタミンDを十分にとらないと、出生後の子供の言語障害の原因になる可能性があるとの研究が出ていました。  この研究では、妊娠中のお母さんの血液中のビタミンDの濃度を測定し、出産後のお子さんの成長を、いろいろな面から見たそうです。 その結果 ① お母さんのビタミンDと、子供の日常の行動、情緒面の関係はなかったそうです。 ② しかし、血液中のビタミンDの濃度が低いお母さんから生まれた子供は、5歳、10歳時の言語障害が起る可能性があったそうです。  妊娠中のお母さんの栄養については、いろいろなデータがあります。 それはアルコールやタバコの嗜好品にも及びます。  食べ物について、いろいろ好みはあるでしょうが、妊娠中は食事内容に注意が必要となるでしょう。

赤ちゃんの喘息予防には妊娠中にりんごを!

 今お子さんの喘息が増えています。 喘息を含めてお子さんのアレルギー予防のためにいろいろ努力がされています。 この事については効果があるという説と、あまりないのではないかという説があります。  最近注目されているのは、「りんご」です。 妊娠中や出産後の食べ物と喘息の関係を研究したオランダの大学の研究では、妊娠中の「りんご」の摂取が喘息の予防になるそうです。 但しその論文にはありませんが、なるべく農薬の少ないものの方が良さそうな気がします。 農薬とアレルギーの関係も問題になっていますので。  また、論文では妊娠中の魚の摂取とアトピーの減少の関係が認められました。 魚を食べる習慣があると、アトピーが減る傾向があるそうです。

母と子のきずなは、お産直後から。

 出産直後大ていのお母さんは赤ちゃんに出会う事が出来ます。 出産直後に赤ちゃんを抱きしめると、赤ちゃんは自然な形でお母さんのおっぱいの方に向います。その上でお乳を飲もうとする動作に移ります。  しかしこうした行動は、単に赤ちゃんからお母さんにサインを送っているだけではなく、お母さんも赤ちゃんに対する特別な感情を与えている様です。  直接赤ちゃんに合い、触れる事で赤ちゃんに対する本当の愛情が湧いてくるのだそうです。 しかもこの気持は、実は出産直後数時間以内が大切だという説があります。 これが本当かどうかは別にして、出来るだけ早くお母さんと赤ちゃんの接触が出来る方が良いのは言うまでもありません。 未熟児で生まれ、お母さんと離れて未熟児室に入った赤ちゃんでも、感染の危険等が無くなった時など、出来るだけ早くお母さんに抱いてもらうのも、こうした点が考慮されているとの事です。 改めて母と子の「きずな」が考えさせられます。

肥満気味の女性のお産には、体重のコントロールが赤ちゃんに良い

 妊娠中の体重の増加は、母体や赤ちゃんの健康に大切だという事は知られています。 また最近は一律に体重のコントロールを考えるだけでなく、妊娠前の体重を考えて、妊娠中の体重のコントロールを考えてみてはという調査もあります。  また妊娠中の体重増加の予防についての効果もいろいろ議論されていますが、最近の産科専門誌(2007年OBGY.)には1万人以上(120,251人)の肥満妊婦さんを調べた結果が出ています。 その中では、現在すすめられている11.3㎏以下で抑えたお母さんでは 1 妊娠中毒症になる人の割合が減った    妊娠中毒に伴う副作用も減った可能性もあります。 2 帝王切開をうける人が減った。 3 巨大児の比率が減った。 という事です。  最近妊娠した時に、すでに肥満気味のお母さんが多くなっているという調査があります。 担当医とよく相談の上、体重のコントロールに気をつける事が大切なようです。

妊娠中のうつ症状に鍼治療が効く?!

妊娠中にうつ症状に悩む人は意外と多いものです。 (1)もともとうつ症状のあった人が妊娠する時があります。 (2)妊娠によりうつ症状が出る時があります。 ・これは妊娠中に出るホルモンが影響するという考えがあります。 ・妊娠したための生活環境の変化、夫の協調性の問題もあるそうです。 ・将来の分娩や育児に対する漠然とした不安。 等々が原因になるという説もあります。 (3)マタニティブルーなどで知られている様に産後のうつ症状の出現は有名です。 産後は別としても、妊娠中の女性の約14%にうつ症状が出ているという調査があります。 その意味で、妊娠中のうつ症状は、そんなにめずらしい事ではないと言えます。 さて、最近妊娠中の妊婦さんには針治療が効くという調査が発表されました。 (R,Manber ら、OB-GY 2010) R,Manker教授らは、妊娠12週一30週のうつ症状のある女性に鍼治療を試みたそうです。 その結果、50%以上のうつ症状が改善した人を治療有効と判断すると、うつの「ツボ」に鍼治療をした人は何と63%の人に効果が出たそうです。 この事は妊娠中のうつ症状の治療に、薬以外の選択がある事、あるいは薬の量を減らす事が出来る可能性がある事を示しています。 針治療は中国から入ってきた後、わが国でも広がっています。 もしこれが事実なら、うつ症状のある妊婦さんにとって朗報と言えるでしょう。 ただ妊娠中だけに、十分な経験のある専門家による治療と産科医の連けいが大切になります。 またこの治療が本当に有効かどうか、しっかりした専門施設で大規模に検証する事も大切になると思います。

妊娠中の膀胱炎に注意しましょう

 膀胱炎は時々経験する病気です。 でも妊娠中には少し気をつけておいた方が良いでしょう。  妊娠中にいろいろな婦人科感染症が起る事があります。中にはこの婦人科感染症のために流産や早産になる事があると考えられています。 さらに運悪く、極めて早い時期に早産になると、一部の赤ちゃんに脳の発育を含め何らかの影響が出る事がある可能性が出てきます。  このため最近は何らかの感染症が疑われる時は、産科医が積極的に検査をすすめるようになってきています。  さて妊娠中に、何らかの重大な異常の原因になると考えられる感染症にかかった人の何%かは、妊娠中に膀胱炎を含む尿路の感染症になったというエピソードがあるそうです。  妊娠中のこれらの感染症に注意しましょう。 感染症があった時は、軽いと思っても一応産科の担当医にお話をしておいた方が良さそうです。

陣痛に耐えた方が、赤ちゃんがたくましくなるという説

 最近は、男性が女性にとてもやさしくなっています。奥さんが陣痛で苦しんでいると、医者や助産師に「何とかできないの」と言う人が増えてきました。 これは夫立ち合い分娩が増え、陣痛を目の当りにするとビックリする為もあるかも知れません。  大部分のお母さん方は、十分陣痛に耐えていますし、分娩後はその痛みを逆に赤ちゃんへの愛情に変える本能をもっています。 お産の体験をつづった先輩達の本には、 1 赤ちゃんが生まれた瞬間、痛みなんてふきとんだ。 2 すぐ次の赤ちゃんの事を考えた など前向きの意見が並んでいます。  さて陣痛が強くても耐えた方が良い理由があるそうです。 10年位前の研究データに、強い陣痛に耐えたお母さんから生まれた赤ちゃんは、成人になってからストレスに強いというのがありました。 もしそれが本当なら、結果的に帝王切開になっても、ある程度陣痛を経験するという事は意義があるという事になります。 陣痛が強くてつらいお母さん、陣痛がつらいのではと心配なお母さん、そして奥さんの陣痛を前にして、悩んでいるお父さん、その陣痛は、実は赤ちゃんの為に役に立っている可能性もあるかも知れないのです。  但し陣痛は、ただ耐えて下さいというものではありません。産科医や助産師さんからこの陣痛のお蔭で赤ちゃんがどの位下がってきたか、お産がどの位進行してきたかを聞く事も大切です。 これらの事は、何よりお母さん達の励みになるでしょう。

世界中で早産で生まれる子が増えている

 最近の統計では、世界中で早産で生まれる赤ちゃんの数が増えてきているそうです。 早産というのは妊娠の37週より前に生まれる赤ちゃんの事です。 日本では医学の進歩で34週をすぎると、早産でも赤ちゃんに将来ハンディになる異常が起る確率は低いと考えられています。  しかし、どこの国でも日本と同じ医学レベルとは言えません。 一般的には、早産の赤ちゃんでは脳性麻痺、神経精神作用の遅れ、失明や難聴などの異常が発生する比率が高くなると考えられています。  現在世界中では年間50万人以上の新生児が早産児で、早産で生まれる赤ちゃんの比率(早産率といいますが)も、この30年間で30%以上も増えているそうです。 アメリカでは全出産の約12%が早産という事です。  なぜ早産が増えているか、早産率が増えているかは、いろいろ原因がありそうです。 1. 社会的な環境が影響している。 2. 仕事上のストレスなどが関係する。 3. 早産と感染症の関係が問題になっています。 4. 最近はお母さんの遺伝子上の異常が関連しているという調査もあります。  原因がはっきりしない事もありますが、もし早産する傾向があると言われたら、医師のアドバイスをよく聞く事にしましょう。

胎教に関係する本を調べてみました


赤ちゃんの未来がひらける「新しい胎教」  胎児から子育てははじまっている    七田 真    PHP文庫 胎教CD付き はじめての妊娠と出産  ママと赤ちゃんのしあわせ&安心10ヶ月    海老原 肇   西東社 胎児と母親はホントに会話する?  欧州式「胎教」のすすめ    ヴィッリー・ブレインホルスト/島村力/  グラフ社 Balloon 胎教百科(主婦の友生活シリーズ)    主婦の友社 胎教・赤ちゃんは天才です    関本 昭一   潮文社 子どもの脳を育てる栄養学    中川 八郎  葛西奈津子   京都大学学術出版会 赤ちゃんと話そう!生まれる前からの子育て    池川 明    学陽書房 クラシックを聴くと良い子が育つ    岡崎 ゆみ   アートデイズ社 音楽力    湯川 れい子 ・ 日野原 重明   海竜社 ※ 本は書店にない場合、絶版になっている場合があります。御注意下さい。

妊娠中毒症になった人は、癌になりにくい?

今回は質問形式です。 質問:  今妊娠28週です。血圧は高くないのですが、体重が増え(妊娠前より12㎏)、むくみも出ています。先生には妊娠中毒症になる可能性があるから、間食をしないように、また塩分の取り過ぎに注意するように言われ、落ち込んでしまいました。  気の毒に思ったのか、「妊娠中毒症になる女性はがんになるリスクが低いからね」と言ってくれました。 本当でしょうか。 答:  これは、どうやら本当のようです。 アメリカの産婦人科学会誌(AJOG 2006)に出ています。  但し2つの注意点があります。 1つは、当然の事ながら妊娠中毒症になったからと言って、癌になる確率が0になるという訳ではない事です。 女性の場合は、乳がんを第1として、検診をうけておいた方が良い癌があります。 やはり検診は必要です。  もう1つは妊娠中毒症の管理が大切だという事です。間食をしない事、塩分制限は良い事です。もう1つ1日2回体重を測る習慣をつけましょう。体重を毎日測る事で、自覚も出来ますし、その日のカロリーが多かったかどうか分かります。次の日の反省になります。

妊娠中に禁煙できると、優秀な赤ちゃんに?

 妊娠すると大ていのお母さんは禁煙します。約90%以上のお母さんが完全な禁煙をするというデータがあります。 ただ残念な事に赤ちゃんが生まれると、また喫煙を始めてしまったという女性が多いのもよく知られていますが…。  タバコのニコチンは赤ちゃんの脳の日常の行動を起こす部分に影響があるという事が知られています。 最近も日頃喫煙しない人、妊娠したら完全禁煙した人、1日10本以内と制限出来た人、1日10本以上喫煙をした人と分けて調べたデータが出ています(Journal of Epidemiology and Commnity Health 2008)。 この条件で生まれた赤ちゃんの出生後の行動パターンを調べてみた所、出生後9か月目の時点では、 ◆妊娠に伴って禁煙したお母さんから生まれた赤ちゃんが、最ものんびりしている上に、何か赤ちゃんにとって予想できない事が起った時に、上手に反応する能力が高かったそうです。 ◆一方、喫煙量が多かったお母さんから生まれた赤ちゃんは、気難しくなる事があったそうです。  さて別な研究では、妊娠中タバコを1日20本以上喫いつづけたお母さんから生まれた赤ちゃんは、何らかの社会的問題を起す確率が高くなる(アメリカの例ですが)という調査もあります(ハーバード大学 Paradis博士ら)。 お母さんの喫煙が悪い意味で、赤ちゃんに影響を与えると困りますね。    今までタバコを止められなかった事は仕方がないとしても、妊娠を境に禁煙する事は大切なようです。

赤ちゃんのためにお母さんは配慮を  喫煙、飲酒、朝食抜きだと…

 山梨県の保健環境課と山梨大学医学部社会医学講座との協同調査で極めて注目すべき結果が出てきているようです。  これは妊婦さんの喫煙、飲酒、朝食抜きと赤ちゃんの関係を調べたものです。   喫煙………妊娠初期の喫煙と児の肥満が関係ある?   飲酒………妊娠初期の飲酒は児のうつ症状が増える?   朝食抜き…児の肥満と関係する? 等のデータが出る傾向があるそうです。 これら喫煙、飲酒、朝食抜きの生活などは、妊娠した女性にとって、ついそのまま習慣になってという時がありそうです。 全員がそうなるという事でもなさそうですし、早い時期にお母さんが気づけば、違う結論がでるかも知れませんし、出産後気を使うと問題ないかも知れません。  しかし万が一、何人かのお母さんの中で、この様な事があれば、お腹の赤ちゃんはお母さん任せです。 お母さんが気をつかってあげる事は大切なようです。

お魚に含まれる水銀に注意! 厚労省から情報が出ました。

 お魚は身体の成長や脳の働きに良いとされる成分が沢山含まれています。 妊娠中の食べ物としても、栄養のバランスをとるために欠かせない食品と言えるでしょう。  しかしお魚の中に含まれる水銀の量については前々から注意が必要と考えられていました。  今回「厚生労働省」から、改めて食事にとる魚と水銀について、新しい情報が出ました。 「これからママになるあなたへ」   お魚について知ってほしい事   お魚はからだに良いもの   でも妊娠中はちょっと注意が必要 という題です。 厚生労働省の情報についてはWEBでご覧下さい。  

早産は遺伝する?!

 最近早産には遺伝も関係するのではないかと言う、大変興味深い調査結果が出ました(OB-GY誌)。  早産はいろいろな原因で起こる事は確かです。 しかし早産で生まれた女性が妊娠すると、お産の時に早産になる可能性が高くなるという事です。  最近早産は、早産そのものが1つの病気のグループであるかも知れないという考えが出てきています。 今回60年以上、3代にわたった調査の結果が出ました。 1代目11,576人のお母さんから生まれた、 2代目13,845人の娘さんを対象にし、 3代目22,343人の妊娠の分析です。  その結果、自然の早産で生まれた女性が妊娠すると、その女性が早産をする可能性は、そうでない女性(早産で生まれなかった女性)に比べると、約50%上昇するとの事です。 しかもその可能性は初産の方が高くなるそうです。 なお早産で生まれた女性が、自然に早産を起こす危険性は9%、これに対し早産でない状態−これを満期産といいます−で生まれた女性が自然に早産を起こす危険性は、6.2%だったそうです。  さて自然早産で生まれた女性が、早産になる可能性がさらに高くなる条件があるようです。 それは、 1. 19歳以下でお産をする女性。 2. 喫煙:1日10本以上喫煙する女性(47%上昇)。 3. やせすぎの女性。     BMI 19以下      ※BMI=体重×体重(Kg)÷身長(M) 4. 早産をした事のある女性。 などだそうです。 早産で生まれた女性は①最初のお産、②上のような条件のある方は気をつけた方が良さそうです。

除草剤と妊娠時期−子供の行動異常−

先日野菜や果物を作る時に用いられる農薬(主にリンが入ったものと言われていますが)に汚染されている作物を多く食べたお母さんから生まれた子供は、落ち着きが無く、授業時間に歩き廻ったり、多行動を示す事が多いという新聞報道があり、話題になりました。 農薬の妊娠中の赤ちゃんに対する影響を考えさせる重大なニュースでしたが、最近アメリカの産婦人科専門誌にも大変重要な調査が出ていました。  現在米国で使用されている除草剤の一つ(米国でアトラジンと言われているそうですが・・・)で汚染されている地域で生まれた赤ちゃんでは、先天的に胃の壁が破れている(胃壁破裂)という病気になる確率が高かったそうです(S.A.Wallerら、ATOG 2010)。 この除草剤の濃度が高かった地域から25Km未満で生まれた赤ちゃんの異常が出る危険率は、そうでない地域から生まれた赤ちゃんの1.6倍だったそうです。 特に除草剤が散布される春に妊娠したお母さんから生まれた赤ちゃんに異常が多かったそうです。 これが本当であれば恐るべき調査結果です。農薬や除草剤を散布する習慣のある場所に住んでいる人は、春に妊娠してはいけないという事になるのですから。

男の子の方が帝王切開になる確率が高い?

皆さん御承知の様に生まれた赤ちゃんは、女の子の方が育てやすい、病気になりにくい、病気になっても治りが早いという言い伝えがあります。これは医学的にみても本当の様です。 仮に未熟児で生まれても「女の子だから健康に育つ可能性が高いですね」と言われた時代がありました。今から30〜40年前の位の事です。  その後小児科学の発達やNICU(未熟児の保育施設)などの充実などにより、男女の差はだんだんと縮まってきています。  ところがまだ明らかに男女差がある事が分かっている事があります。 それは帝王切開を受ける赤ちゃんに男女比がある事です。 男児の方が帝王切開になる確率が高いそうです。考えられる理由は、お母さんのお腹の中にいる時、何らかのストレスがあった場合、男児の方にその影響が強く出る事の様です。 出生後は男女差が少なくなる程、医学は進んでも、その力の及ばないお腹の中では、差はそのまま残っているのでしょう。 この考えで言えば、お母さんのお腹の中にいるうちから、女の子の方がストレスに強いという事になるでしょう。その差の原因が明らかになれば、男の子もストレスに強くなれるはずですが。

妊娠中は増えすぎるのは問題!でも増えないのも問題(体重)

妊娠中は赤ちゃんの成長のためにも、お母さんの妊娠中の体力の維持のためにも、妊娠していない時に比べある程度多目のカロリーの摂取が必要になります。大たいの目安として   妊娠初期で1日約50カロリー   妊娠中期で1日約250カロリー   妊娠後期で1日約500カロリー と言われています。 約500カロリーとすると軽く一食分追加という考えになります。 カロリーが多過ぎるかどうかは体重の増加で大たい分かりますが、最近は従来言われてきた体重増加の問題の他に、逆に体重が増えないお母さんも問題になっています。 体重が増えず、出生の時低体重の赤ちゃんが最近少し目立つ傾向があるからです。 ダイエットに慣れたお母さん方が増えてきたせいもあるかも知れません。 適度な体重増加が大切です。

妊娠中に乳製品をとると赤ちゃんに葉酸が…。

妊娠中にカルシウムを補うには牛乳が良いと聞きました。でも毎日飲みすぎると赤ちゃんのアレルギーの原因になる可能性があるとも聞きました。牛乳は飲んだ方が良いのでしょうか、飲まない方が良いのでしょうか。 答 結論から先に言うと適切な量なら良いという事になります。 牛乳を含め乳製品の良い点は沢山あります。 最近の研究でも妊娠中乳製品を十分にとった赤ちゃんは出生時の体重が満足すべきレベルであったというデーターが出ています。 またカルシウムの他、ビタミンDや葉酸も十分に補給されるそうです。 カルシウムやビタミンDは赤ちゃんの骨を十分に発育させます。葉酸は奇形の予防になります。 そういう意味では乳製品をとる事は大切です。 ただ一方で牛乳の飲み過ぎに注意をした方が良いという見方がある事も事実です。 もしお母さんに牛乳アレルギーがあれば要注意です。また水の代わりに牛乳を飲むのも避けましょう。 乳製品といってもいろいろあります。バランスよくとる事が大切です。 乳製品が苦手な方は無理をする事はありません。カルシウム、葉酸はサプリメントの形でとる事も可能です。

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