子宮頸がん

Chapter 12 子宮頸がんについての最近の情報

子宮頸がんについての最近の情報

1. HPV感染後何年で異常が出てくるか。

1)HPV感染は20歳前後が多い(2010年のデータ)。
2)HPV感染後10年位すると、がん検診に異常が出るらしい(個人差があります)。
3)CIN-3という、いわば前がん状態(がんの初期の人もいます)の人は30歳前後に最も見つかる。
4)子宮頸がんが見つかるのは35歳位からが多い。

※レディースケアネットからの御注意
10代の子宮がんの発生もあります。30代まではがんが見つからないという事ではありません。

CIN-3については当ネット 子宮がん-子宮頸がん を参考にすると良いでしょう。

2. HPVは感染しても女性の身体から追い出される事が多い。


1)HPVは感染後1年で約70%から身体から追い出される。
2)HPVは感染後3年で約90%から身体から追い出される。
3)前がん状態(時に最初期のがんの時もある)であるCIN-3という異常が出た時は、5年以内に20-30%の割合で子宮頸がんに進行するという調査があります。
4)但しHPVの型によっては(例えば16型や18型など)、もっと早くに子宮頸がんに進行する可能性もあるらしとの事です。

3. HPV感染は16型が最も危険 型による危険度の差


 子宮頸がんの原因はHPV感染という事が分かってきました。しかしこのHPVにも、いろいろな型があり、その型によって将来子宮頸がんになる確率が違う事も明らかになってきています。

 今回は、この型によって子宮頸がんになる可能性がどの位あるかという情報です。

(1)子宮頸がんになりやすい型は、

① HPV感染のうち、将来最も子宮頸がんになりやすい型は16型です。
② 次に子宮頸がんになりやすい型は18型と考えられています。
③ 2つ以上の型に感染している人は、危険度が高くなると考えられています。

(2)16型や18型、その他の型は感染後、何年位で何%位の人ががんになるのでしょうか。

① 4年以内では!
 ・HPV16 感染の人では約2.5%の人が
 ・HPV18 感染の人は約1%強の人が がんになる危険性があるそうです。

② 8-12年経過すると!
 ・HPV16 感染の人は4%強の人が、
 ・HPV18 感染の人で1%強の人が
 ・HPV16、18以外の感染の人で約0.5%の人ががんになる危険性があるそうです。

4. HPV16型感染がつづくと危険?

 子宮がんの原因になると考えられているHPVウイルスには、将来がんになる可能性の高いハイ・リスクグループが20種類位あると考えられています。
その中でも16型と18型が特に危険だという事はよく知られてきました。
今回16型が平均「1年以上感染していると」、将来要注意になる確率が高いという研究結果が出ました。(Castleら.BMJ2009)

 これは最初にHPV16型陽性と判定された人が平均1年後に再度陽性と判定されると、将来、前がん状態の1つと考えられる中等度異形成上皮やそれ以上の病的な状態になる確率が高くなるというものです。

 1年後の再検査で16型が
  陽性→陽性の人は 17%の人が要注意以上に
  陰性→陽性の人は 3.4%   〃
  陽性→陰性の人は 1.2%   〃
  陰性→陰性の人は 0.5%   〃
になったそうです。少なくとも1年以上陽性の人(これは決して長い間陽性が続いたとは言えない位の時期です)は、要注意という事になります。

 この研究が事実なら私達は幾つかの教訓を得る事になります。
1. HPV16型(18型も同様かも知れません)陰性の人が、もし手術をうけないとすると、1年位後にはもう1度検査を受けた方が良い可能性がある。

2. HPV16型(18型も同様?)陽性が1年以上つづいた時は、コルポスコープ検査や組織検査をうけた方が良いという事。
(少なくとも専門医の検診をうけた方が良い)

3. HPV16型、18型陰性の人でも、将来がんになる人は当然いる事から、これらが陰性でも安心してはいけない事。やはり細胞診等、基本的な検診は必要であるという事です。

詳しくは専門医との相談も大切と考えます。

5. HPV感染は16型、18型、45型に特に注意!

 スペインの研究チームから興味のあるデータが出されました。(Lancet)
 1949-2009年の60年の間に世界中から浸潤性子宮頸がん(進行したタイプの子宮頸がんを言います)と診断された1万575人分の、切除したがん組織を改めて集めて調べ直したそうです。
調べた内容は、それぞれのがんが、HPVのどの型で起ったかというものです。

 その結果、世界中では、16型・18型・45型・33型・31型・52型・58型・35型の順にがんになる確率が高かったそうです。
この8つの型で何と子宮頸がんの91%だったとの事です。
現在の子宮頸がん予防ワクチンは、16型と18型に効果のあるものですが、最近さらに7-8種類の型に効果のあるワクチンが開発中です。
これらのタイプの殆どがカバーされると良いですね。

 さてこの論文では、さらに重要な点が指摘されています。
HPV16型・18型・45型が子宮頸がんの大部分を占める扁平上皮がんの75%に見つかったそうです。
また、最近増えてきており、早期の診断が比較的難しく、このため治療が遅れる事のある腺がんの94%に認められたそうです。
 しかも、この3つの型のどれかに感染した女性は、浸潤がんという進行がんの診断を受ける時期が、他のHPVの型のがんより4年も早かったという事です。
これは、この3つの型のどれかに感染すると進行が早い事を推測させるものです。

 子宮頸がんの検診には、細胞診などいろいろの検診方法が採用されていますが、HPVの型の検査がますます重要視される事になりそうです。

6. HPVハイ・リスク感染は20代と50代にピークがある。


 最近の世界的な婦人科雑誌に重要な調査の結果が出ていました(M.A Kimら OB-GY 2010)
韓国の女性を対象にハイ・リスクのHPVの感染状態を調べた結果です。

 内容は幾つかの項目に分かれていますが、その中で20-59歳の902名の女性のハイ・リスクHPV感染(将来子宮頸がんになる可能性の高いHPVをハイ・リスクHPVといいます)の有無を調べたものがあります。その結果、HPVハイ・リスク感染は全体では12.6%の割合だったそうですが、年代別に見ると大きな特徴があったようです。

 年代別の調査
  1. 20-29歳    23.2%
  2. 30-39歳     8.9%
  3. 40-49歳     7.7%
  4. 50-59歳    12.4%

 これを見ると、20-29歳代の感染(病気に対する抵抗力の有無から調べたもの)率が最も高く、その後この値は低下しました。
しかし50代で再度この値が上昇しています。
つまり20代と50代にピークがあったという事になります。
 この事が何を意味するのかは今の所推測の域を出ていないようです。

 この年代のHPVの感染の率が高いのか、20代でピークを迎えた感染が、そのまま長い間潜伏して、50代でまた現れるのか、いろいろな可能性がありそうです。
今後さらなる研究の結果が俟たれるところです。

7. HPV検査が細胞診検査より役に立つ?


 子宮がん検診に HPV(ヒトパピローマウイルス)の検査を受ける事は、重要だという研究が沢山でています。

1. HPV検査をうけて、このウイルスが長い間感染していないと(これを持続感染といいます)、子宮頸がんになる危険性がないという調査があります。
※但し、子宮頸がんの前がん状態と考えられる高度異形成上皮や、0期のがんになった人でも、その時点ではHPVがいなかった(持続感染ではなかった?)という人が、見つかっている例があります。

2. HPV検査は細胞診検査で、いわゆる前がん状態である中等度異形成上皮(CIN-2といいます)や、高度異形成上皮(CIN-3といいます)を発見するより、感度が高いという研究があります。
例えば、HPV検査が陰性だったら、CIN-2やCIN-3あるいは浸潤した癌を見逃す確率は、すごく少ない(だいたい 1/1000)との事です。
これは細胞診検査より優秀だという事を示唆しています。

3. もしこれが本当であれば、最初のがん検診としては(スクリーニングといいます)細胞診検査より、HPV検査の方がより正確で優秀だという事になります。

しかし、これには反論があります。
① 諸外国に比べ日本の細胞診の診断率が優秀であるというデータがあり、細胞診検査で十分であるという考えがあること。

② 実際の所、細胞診で要注意が出てもHPVが陰性の事はたびたびあり、がん検診の最初のステップとしては、細胞診の方が有効であろうという考えがあること。

③ HPV検査は極めて高価であること。

これらを総合して、今のところ細胞診検査をまず行い、必要に応じてHPV検査を行う方が、より望ましいのではないかとの考えが優勢のようです。
(2011年現在)。

8. 頚部腺がんの最近の情報

子宮頚部腺がんが増えています。
 
最近子宮頸部(子宮の出口の部分)に出来るがんのうち腺がんの割合が少しずつ増えてきています。
 もちろん扁平上皮がんの方が75%位で腺がん(25%位)に比べて多いのですが、その比率が少しずつ変わってきています。

子宮頚部腺がんの人の子宮頸がん全体の比率は

① 1975年位まで        5%位
② 1985年位まで       7.5%位
③ 1985年-1995年頃で    10-15%
④ 1995年-2000年頃で    15-20%
⑤ 2006年 では       23.1%
となっています。

 これは子宮頸がんの中で、扁平上皮がんの人が減って、腺がんの女性の割合が高まっているという事を意味しています。
しかし、実際子宮頚部腺がんの人が増えているという調査もあります。
 その理由は、まだ今のところはっきりしていません。

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