赤ちゃんが欲しい方に

第5章 男性が受ける不妊症の検査

男性不妊とは

男性不妊とは

男性不妊とは男性側に原因がある不妊症のことで、不妊の原因の約30%と考えられています。しかし男性側に50%近く原因があるとの研究もあります。
男性側の検査はまず婦人科で検査を受けてから、必要と判断されて泌尿器科を紹介されることが多いのが現状です。しかし将来女性と同様、男性も同じ時期に泌尿器科や不妊専門医を受診するのが普通になるかもしれません。

主に婦人科で受ける検査

① 問診
婦人科の多くは男性の診察を行う体制にはなっていませんので、まず問診から始まります。

ⓐセックスの回数が極端に少ないことはないか、あるいはまったく無いということはないかなどが聞かれます。

ⓑ男性の生殖器に見て分かる異常が無いかということも大切です。精索静脈瘤といって、陰嚢の静脈がコブのようになっていることがあり、問診だけで検査が必要かどうかわかることもあります。



問診で異常がありそうだと推測される時は、泌尿器科の専門医の受診をすすめられます。




② 精液検査
精液検査は医師から検査をすすめられるのが普通です。不妊症の検査は通常で2〜3ヶ月で済みますから、その間に検査を受けるということになるでしょう。しかし、あらかじめ準備をして病院を受診された時はそのまま検査を受けることも可能です。

[精液検査の目安(WHOの分類があります)]

 精液量 2.0cc以上
 精子数 2000万/cc以上
 運動率 50%以上
 奇形率 30%以下
 白血球数 1×106未満


日本人の精子数はWHOの正常値より多いことが知られています。

[精液検査・2つの方法]
ⓐ病院で直接採取する方法
 特別の部屋があるのが普通です。

ⓑ自宅で専用容器に採り病院に持参する方法
 自宅で採取された精液に異常があった場合は、改めて病院での検査をすすめられる時があります。

[精液検査の準備について]
ⓐ2〜3日は禁欲しておきましょう(ただし7日以上は越えない方がよいでしょう)。

ⓑ採取した後、早めに検査を受けるようにしましょう(6時間以内くらいが大体の目安です)。

ⓒ精子は寒さに弱いため、持参の時は注意しましょう。病院での検査が原則のところもあります。

ⓓ前日はお酒の飲み過ぎや、体調不良にならないようにしましょう。

ⓔ精液検査の際、精子が少なくなる可能性のある病気をしたことがある場合(例えば、たびたび高熱が出る病気をしたことがある、副睾丸炎と言われたことがある、小児期に鼠径ヘルニアの手術をしたことがある場合など)は、あらかじめ伝えておきましょう。

ⓕ採精の時はあらかじめシャワーを浴びる等、精液の中に尿道付近の雑菌が入らないようにしましょう。

また、以前に検査を受けたことがある場合には、その結果なども伝えておきましょう。

[精液検査の結果]
ⓐもし精子に異常があるという結果が出ても、一回の検査だけでは結論が出ないことがあります。その時の体調によることもあるため、結果が良くない時は再検査をすすめられることがあります。

ⓑ無精子症などの結果が出た時などは、泌尿器科の専門医を紹介される時があります。

ⓒ精子の異常が明らかになった場合は、その異常の状態から次の治療方針がすすめられる時があります。(精子数が少ない時→人工授精をすすめられるなど)

[精子の異常]
精液検査の結果から次のようなことがわかります。

①正常 (WHOの分類で正常範囲に入っている時)
②乏精子症 (精子が2000万/ml以下の時)
③精子無力症 (精子の運動率が低い時)
④無精子症 (精子がいない状態)
⑤無精液症 (精液が出ない状態)


③精子の活動力をみる検査
フーナーテスト

主に泌尿器科で受ける検査

泌尿器科では、男性不妊の主な原因となる精巣・精路・性機能などについて詳しく検査を受けるのが普通です。

①問診
性機能障害の有無などが分かります。また以前かかったことのある病気などの質問があります。
例えば、
ⓐ性感染症にかかったことがないか
ⓑ成人になってからたびたび高熱を出す病気にかかったかかったことはないか
ⓒ慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、慢性気管支炎などにかかったことがないか
ⓓ小児科に鼠径ヘルニアの手術をしたことがないか
ⓔ糖尿病、肥満などの内科的病気がないか
ⓕ疲れていないか、ストレスはないか、うつ症状がないかなど
ⓖ薬について聞かれることがあります。抗うつ剤や降圧剤などには、性欲を抑制する作用がある時があります。
ⓗその他

②視診・触診
精索静脈瘤がないか、睾丸の腫瘍や、停留睾丸など位置の異常がないか等の検診です。

③精液検査
改めて精液検査があります。
この時は病院で精子を採取するようにすすめられることが多いようです。

④ホルモン検査
脳下垂体ホルモン(FSH・LH・プロラクチンホルモン)、男性ホルモンなどを調べます。
精子を作る機能が落ちるとFSHホルモン、LHホルモンが上昇します。また男性ホルモンの値が低下します。

   ◆停留睾丸◆

   ◆精索静脈瘤◆

⑤精巣の組織検査
精液検査で無精子症や極端な乏精子症の時は検査をすすめられます。
また治療を受けなかった停留精巣(睾丸)や、染色体異常が疑われる時なども検査をすすめられる時があります。
この検査では精巣内で精子を作る能力があるかどうかが分かりますが、精巣に少しでも精子がいれば、精巣内の精子を用いた顕微授精(TESE)がすすめられる時があります。
精巣内の精子に異常がないにも関わらず、精液検査に異常がある時は精路の障害が疑われます。

⑥精路通過性検査
陰嚢を少し切開し精管に造影剤を入れて、精路の通過障害がないか検査します。

⑦染色体検査
クラインフェルター症候群(Klinefelter's syndrome)
が疑われる時など、染色体の検査を受けるようすすめられることがあります。
この病気は男性1000人に1人の割合で生じる病気だと考えられており、睾丸が萎縮しているために精子数の減少が認められることがあります。精巣内にわずかでも精子がある時は、この精子を採取して、TESEにより妊娠が可能となる時があります。

⑧超音波検査
超音波検査は比較的身体の負担が少なく、いろいろな検査ができます。

⑨性機能障害に対する検査
機能の異常が最近問題になっています。
外来で話を伺うと、セックスレスのご夫婦が多いことに気がつきます。しかも若いご夫婦に多くみられる傾向があるように思えます。仕事などでご夫婦がお互いに忙しくなっているのでしょうか。

不妊外来でお話を聞くと、
ⓐまったくセックスのない方
ⓑセックスはあるが極端に少なく、排卵の時だからといってもタイミング良くセックスできるとは限らない方ⓒ普通にセックスできるため、排卵の時1回位は夫婦生活はあるものの、ほかはまったくといっていいほどない方
などいろいろなパターンがあります。これらの点は、デリケートな問題なので専門医との相談が大切です。



まったくセックスのない方は何か原因がないか調べることが必要になる場合があります。また原因がわかると治療計画がたてられるようになる時があります。
検査方法としてはいろいろあります。心理検査(さまざまな方法があります)、超音波検査(血液の流れなどを見ます)、神経系統の検査(勃起に至る神経の働きを見ます)などです。これらはそれぞれ専門医が詳しく調べてくれます。


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