赤ちゃんが欲しい方に

第8章 妊娠がわかったら

妊娠がわかったら

流産を予防するために 流産を予防するために

自然の流産の確率は以前は20回妊娠すると1回の割合で起こると考えられていましたが、最近その割合が意外と多いのではないかと考えられてきています。
流産には「お母さんが無理をして」という場合と、「どうしても避けられない流産」がありますが、後者の方が多いと考えられています。茶色のおりもの(帯下)や、出血、腹痛など、前ぶれとなる症状のある時と、病院で検診をうけたら赤ちゃんの心臓の拍動が止まっていた、などまったく自分で感じる症状のない時があります。しかし少なくとも何らかの異常を感じた時はすぐ病院を受診するようにしましょう。
ここでは当院で妊娠された方にお渡しするパンフレットの内容をご紹介しましょう。流産を予防するための注意事項等が含まれています。

妊娠された方へ
妊娠おめでとうございます。
元気で健康な赤ちゃんが生まれますように心からお祈り申し上げます。
妊娠にあたりいくつかの注意点についてお話しておきましょう。

[1]妊娠とわかった時に気をつけた方が良いこと

〜特に妊娠初期・流産・切迫流産にならないようにするために〜
(このまま放っておくと将来流産を起こす可能性が高くなる状態を切迫流産といいます。)

(1) 家事
完璧主義を捨てないと体に負担がかかってしまします。夫にも協力してもらい、できるだけ負担を軽くしましょう。料理・後片付けなどは疲れない程度に、また疲れたと思ったらすぐ休むようにされると良いでしょう。

(2) 仕事
周囲の人の理解と協力が必要となります。会社への報告は早めにし、ちょっとひと息ついたり気分転換や横になるなど十分な休み時間をとるようにしましょう。休憩時間中銀行に行ったり、買い物に行くなどはなるべく避け本来の休暇にあてる事が大切です。

(3) 精神的ストレス
赤ちゃんが健やかに育つためには、何よりもお母さんの心と体の状態がよくなくてはなりません。イライラしたり、ストレスや疲労が重なるとお腹がはったり、痛くなることがあります。そういう意味でもお母さんが精神的安定を保つように心がけることはとても大切です。精神的ストレスをなくすよう、嫌な事はスパッと忘れ、不安は早めに解決しましょう。
なごやかにゆったりした気持ちで過ごせるよう、好きなことに熱中してみるのもいいでしょう。何よりも愛情が大切です。家族そろって赤ちゃんの誕生を心待ちにしましょう。
 夫の心遣いや協力は気持ちをリラックスさせる効果があります。毎日規則正しいリズムのある生活を心がけ、住まいの環境を整えバランスのとれた栄養をとり、ぐっすり休みましょう。
 お腹の赤ちゃんに話しかけてあげたり絵本を読んだり、歌をうたってあげたりしてコミュニケーションを楽しみながら妊娠期間をエンジョイして下さい。

(4) 自転車
自転車に乗ること自体は問題ありません。便利なら結構です。ただお腹が大きくなった時はバランスを崩しやすくなったりすることがあります。雨の時などは控えて下さい。

(5) 重い物
 下腹部に力が入るため重い物を持ち上げる時は注意しましょう。

(6) 階段
 階段の昇り降りはお腹がはっている時、痛みがある時などは慎重にしましょう。また稀な事ですが、時に苦しくて階段を上がれなくなる人がいます。この際はお母さんの心臓などに負担がかかりすぎていることが考えられますので、医師と相談しましょう。

(7) ハイヒール
 転倒しないためと腰痛を防ぐためハイヒールを履くのは避けましょう。

(8) 車の移動
 同じ姿勢でいると疲れやすくなり、またお腹がはりやすくなる人もいるので長時間のドライブは避けた方が良いと考えられています。

(9) 旅行
 ゆったりとしたスケジュールを立て、無理はしないようにしましょう。遠い距離、長時間の旅行の際は早めに医師と相談した方が無難でしょう。

(10) 夫婦生活
 妊娠初期は子宮が収縮を起こし流産につながることがあります。妊娠中期には腹部を圧迫する体位を避けましょう。
 妊娠後期には破水が起こったり、腟の粘膜が傷つきやすく感染の危険となることもあります。精液そのものに陣痛を起こす可能性がある成分が入っています。妊娠中はコンドームを使われることをおすすめ致します。

(11) スイミング・エアロビクス
 妊娠の経過が順調な人というのが条件です。(医師に相談しましょう)
 始めてからも体調の悪い日は休んだりと無理のないようにしましょう。

[2]妊娠全経過を通じて気をつけた方が良いこと

(1) 喫煙
 喫煙者の方は流・早産の率が高くなるという研究があります。また一般的に赤ちゃんの体重がやや小さくなるという統計があります。禁煙されることができればこれにこした事はありません。
 喫煙は一挙に完全に止めると決心される方が多いのですが、中には2日で1本、次に3日に1本などだんだん少なくする方法もあります。
つわりが出てきて、それまで喫煙されていた人がタバコを吸えなくなる時があります。これはチャンスです。

(2) お酒
 アルコールは簡単に胎盤を通じて胎児に移行するので影響がないとはいえません。たまに少量(ビール・1、2杯程度)を飲むのであれば問題ないといわれていた時代もありましたが、最近はお酒は避けた方が良いと考えられています。

(3) コーヒー等・嗜好品
 コーヒーなどに含まれるカフェインは臍帯を通じて赤ちゃんに移行するといわれています。
たくさん飲むのはやはりご注意を。アメリカンにすればカフェインの濃度は下がります。

(4) ビタミン剤・薬など
 あえてビタミン剤を補給する必要はありません。むしろビタミン剤の摂り過ぎが問題になることがあるほどです。これらは日常の食事で十分補給されます。バランスのとれた食生活を心がけましょう。ただカルシウムと葉酸だけは推奨されています。内服する時はこれだけが入ったものは結構です。
 持病のある方の妊娠の場合、病状と内服薬を産婦人科医にも伝えて下さい。鎮痛剤等の内服も医師に確認して下さい。
  
(5) 入浴
 妊娠するとホルモンの影響でおりものが多くなりますが心配いりません。こまめに入浴し下着を取り替え、外陰部を清潔に保ちましょう。
ただし入浴は疲労を伴うため長湯は避け短時間にしましょう。(温泉も同様です)

(6) 夜更かし
 寝不足は疲労の原因になります。妊娠中は夜更かしせず十分睡眠をとるようにしましょう。

(7) 風邪
 規則正しい生活を心がけても風邪にかかったかなと思った時は①市販の薬の場合は薬局の薬剤師の方と相談することも必要です。②早目に病院を受診し、病状に応じて赤ちゃんに影響のない薬を処方されることも大切です。内科を受診された方は妊娠していることを医師に告げるようにしましょう。

(8) 歯の治療
 だいたいの治療は妊娠中に受けても大丈夫です。歯のレントゲン、麻酔なども赤ちゃんに心配ありません。ただ歯科の医師に妊娠していることを伝えることは忘れないようにして下さい。



※ 局所麻酔にアレルギーのある人がいます。今まで少しでもそういう症状が出たことのある方はご注意を。
※ 歯周病のある方は特に気をつけて、早い時期に治しておきましょう。
※ 鎮痛剤や抗生物質には気をつけましょう。


[3]妊娠中毒症にならないために

◆妊娠中毒症とは

妊娠が原因でお母さんや赤ちゃんに異常が出てくる病気です。重症の場合はお母さんに高血圧の症状が出たり、赤ちゃんが予定日近くなのに小さいなどの症状が出ることがあります。この病気になると①高血圧②むくみ③たんぱく尿が出てきますが、自覚できる症状はむくみと体重増加です。
 ・食事はバランスのよいものをとるように心がけましょう。
 ・体重増加に気をつけることが大切です。(一ヶ月に2㎏以上増えたら要注意です)
 ・このため間食は避けましょう。
 ・塩分の濃いものは避けることなどが大切です。

[4]アトピー予防

アトピーについてはいろいろな研究や意見があり、いちがいにこうと言うのは難しいですが、アレルギー素因の強い人が妊娠中(特に妊娠後期)に牛乳・卵・大豆(油)を控えると子供のアトピー発生をある程度防ぐことができると言われています。特にお父さんかお母さんのどちらかにアレルギーのある方は妊娠28週以降は卵を避けるようにした方が良いとの研究があります。
牛乳や大豆の製品は絶対ダメということではないようです。適度が大切と言われております。アレルギーについて不安な場合は産婦人科医やアレルギーの専門医に相談して下さい。

[5]こんな時は病院へ

妊娠中は初診から出産まで十数回定期健診のため病院へ通うことになります。その他状態によっては治療が必要なことがありますので、次のような少しでも気になることがある時は受診しましょう。
《妊娠初期》
 ・つわり症状・ムカムカ感・嘔吐がひどく体重が減ったり食事や水分が取れない時。
 ・お腹の張りが強く、回数が多い時または痛い時。
 ・茶色のおりものや赤い出血などがある時。
 ・妊娠中にお産のことや将来の育児のことについて不安やストレスを感じる時。
 ・発熱・風邪・下痢などの胃腸症状がある時。

《妊娠中期〜後期》
 ・体重の急激な増加がある時。(基準としては一週間で500g 一ヶ月で2㎏以内)
 ・手足・顔にむくみが出てきた時。
 ・水様性の帯下がある時。(水のようなおりものがある時)
 ・出血のある時。
 ・腹部の張り感・月経痛様の腹痛のある時。あるいは定期的に痛みがくる時。

[6]産後の脱毛

お産のあとに脱毛で悩まれるお母さんは比較的多いようです。これにはホルモンが関係していると考えられておりますが、お産後少しずつホルモン状態が元に戻りますので、自然に良くなるものだと考えて結構です。心配しすぎないようにしましょう。大体6ヶ月位を目安にして下さい。

[7]紫外線に気をつけて

妊娠中や産後は日光の紫外線に気をつけられることも大切です。日中日差しの強い時は、幅広の帽子などをかぶり直接紫外線に当たらない工夫も必要です。乳幼児期になるとお子さんと一緒に外出されるお母さんは、外での日光浴や運動はとても意義がありますが、毎朝洗顔後にサンスクリーンを使った方が良いと指導を受けることもあります。用いた時は夜は落とすことも忘れずに。また赤ちゃんも紫外線には注意が必要です。当院ではお昼頃の紫外線が強い時の外出時には帽子などで直接紫外線にあたらないようになさるようおすすめしております。

[8]最後に…

妊娠後は赤ちゃんとの二人三脚の日々が始まります。必要以上に神経質になることはありませんが「自分一人の体ではない」ということを頭の隅に置いて、健康的に安全でゆとりのある生活を心がけられますように。

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