子宮内膜症

Chapter 7 子宮内膜症とがんの関係

子宮内膜症はがんに移行することもあります

子宮内膜症のがん化

 以前は、子宮内膜症ががんに移行することは、ほとんどないと考えられていました。しかし、最近ではさまざまな研究結果から、がんに移行することがあると考えられています。
 一度子宮内膜症の手術を受け、切除した部分を顕微鏡で詳しく見て(病理組織学的検査といいます)良性と判断された方であっても、手術時に切除しなかった卵巣や子宮からがんが発生したというケースがあります。このため子宮と卵巣をすべて摘出した方を除いては、手術後の経過観察や定期健診など、きちんと通院しましょう。

【子宮内膜症とがん化】
以下の4つのケースに当てはまる場合は、特に気をつけましょう。

(1)超音波検査で大きな卵巣チョコレートのう腫があるといわれた方
 卵巣チョコレートのう腫の直径が、40mm以下の方の卵巣がんは少ないと考えられています。逆に40㎜以上の方は定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。また若い方で100mm以上の方も注意が必要と考えられるようになってきました。

 直径が40mm以上はすべて卵巣がんが疑われるというわけではありません。80mm〜90mmでも良性の方はいます。40mm以上の方は定期的な検診を受けることが大事だということです。

(2)急速に子宮や卵巣が大きくなったとき

(3)卵巣の超音波上の映像が変わってきたとき

(4)腫瘍マーカーの値が極端に高くなってきたとき
 こうした症状が出てきたときは、精密検査を受けるようにすすめられます。

【子宮内膜症とほかのがん】
 子宮内膜症が長期間続く方は、乳がんが発生する頻度が少し高くなるという研究結果があります。また卵巣がんになる方も多くなるという研究結果もあります。ただ乳がん、卵巣がんとも、現在では早期発見が可能ながんとなっていますので、きちんと検診を受けていれば早期発見、早期治療が可能です。

卵巣チョコレートのう腫とがんの関係

 卵巣チョコレートのう腫があると、将来卵巣がんや他の臓器のがんになる確率が少し高くなるというデータがあります。
1)がん化率
 卵巣チョコレートのう腫が将来がんになる確率
   0.5-1.0%

2)年齢と卵巣がんの関係
   20歳未満     0%
   20-29歳    0.6%
   30-39歳    1.3%
   40-49歳    4.1%
   50-59歳    21.9%

3)CA125との関係
 CA125が65以上だと将来卵巣がんになる確率が高くなるそうです。但し子宮内膜症がある場合は除きます。

4)子宮内膜症のある女性のがんの相対罹患率
 これは子宮内膜症のある女性は、ない女性に比べて、どの位がんになる確率が高くなるかというものです。

 子宮内膜症があると、他の臓器に出来るがんの確率が少し高くなる可能性があると考えられています。但しその理由は、今の所はっきりしていません。

   卵巣がん        1.43
   内分泌臓器のがん    1.36
  (ホルモンを出す臓器のがん)
   非ホジキンリンパ種   1.24
   脳腫瘍         1.22

5)子宮内膜症罹患年数と卵巣がん
 子宮内膜症と診断された年齢や、年数が将来の卵巣がんの発生率と関係すると言われております。

   10-15年以上経過観察をしている人         相対罹患率 2.23
   20代で子宮内膜症と言われた人            〃   2.01 
   30代で子宮内膜症と言われた人            〃   1.76
   不妊症があり子宮内膜症が原因と考えられている人   〃   2.48

6)卵巣チョコレートのう腫と卵巣がんの合併比率
 卵巣チョコレートのう腫の腫瘍径(腫瘍の大きさ)が10㎝以上の人は、卵巣がんの合併率が 4-18% との事です。

 これらのデータをみると卵巣チョコレートのう腫のある人は専門医の定期的な検診が大切な事が分かります。
しかし見方を変えると、しっかり検診を受けていれば、異常の発生を未然に防ぐ事が可能だという事にもなります。

ログイン ID・パスワードを忘れた方