子宮内膜症

Chapter 9 子宮内膜症の疑問Q&A

子宮内膜症の疑問 Q&A

子宮内膜症の疑問―Q.1


月経痛などの自覚症状がなくても子宮内膜症になっていることがあると聞きました。
これは本当なのでしょうか?

A.1
本当です。

 月経痛や性交渉などの自覚症状がなく、婦人科の一般的な検査で「正常」と診断されても、実は子宮内膜症だったという方は少なくありません。
 例えば不妊症の方で腹腔鏡検査を行うことがありますが、この検査では、子宮内膜症の自覚症状がまたくない方でも、約半数のケースで子宮内膜症が見つかるとされています。このことから子宮内膜症の程度、できている場所、症状の進行速度などにもよりますが、「子宮内膜症があっても、症状が出ないこともあり得る」といえるわけです。
 また子宮内膜症の自覚症状は月経痛だけではなく、腰痛、背部痛などの痛み、月経量の増加や月経期間の延長などの月経異常、血尿や血便など多彩です。「ただの腰痛だろう」と思っていたら、子宮内膜症だったということもあります。

子宮内膜症の疑問―Q.2


高校生の娘のことでお聞きします。どうやら月経痛が強く、生理の量も多いようで、本人はとてもつらそうにしていますが、どうしても婦人科に行きたがりません。どうすればよいでしょうか?

A.2
話をするだけでよいので、一度病院に行くようすすめてください。

 婦人科を受診したら、必ず婦人科独特の内診をするわけではありません。話を聞くだけのときもあります。内科のようにお腹の上からの診療だけで済むときもあります。症状を聞くと子宮内膜症の可能性もありそうです。一度婦人科の医師の相談を受けることをおすすめします。なお、心配であれば、あらかじめ電話で病院の診療方針を確かめておくとよいでしょう。

子宮内膜症の疑問―Q.3


子宮内膜症の疑いがあると医師に言われました。月経時の痛みがつらいので、月経のときに病院に行こうとしたら、友人に「月経を終えてから病院に行ったほうがよい」と言われました。診察に適した時期を教えてください。

A.3
月経痛がつらいのであれば、いつでも診察に来て医師に相談してください。

 我慢できなければ、まずつらい月経痛を治すことが大切です。痛みの程度によっては適切な薬が処方されるでしょう。ただ、月経中の診療はやや正確性に欠けるときがあります。例えば子宮内膜症の診断の有力な検査「CA-125](腫瘍マーカー)の値は、月経時に採取した血液で検査すると、数値が異常に高く出ることがあります。こうした事情も「月経を終えてから病院に行ったほうがよい」という話につながっているのかもしれません。
 しかしつらいときはいつでも病院を受診し、まずつらい症状を改善させるようにしましょう。正しい診断を受けるための診療は、月経後に改めて受診するという方法もあります。

子宮内膜症の疑問―Q.4


中学生の娘がいるのですが、月経痛が強いと訴えているので心配しています。子宮内膜症はどのような年代に起きやすいのでしょうか?

A.4
10代後半から40代前半です。

 子宮内膜症の発症には、女性ホルモンのはたらきが大きく影響しています。このため、女性ホルモンが活発に分泌される年代に症状がでてきます。つまり10代後半から40代前半にかけてが、子宮内膜症の起きやすい年代といえるでしょう。中学生くらいでは、子宮内膜症の方は少ないと考えられます。
 ただ私の患者さんの中には、中学生で大きな卵巣チョコレートのう腫があった方がいました。このように、中学生だからといって、「絶対に子宮内膜症を発症することはない」とは断言できませんので、気になる場合は医師に相談することが大切です。

子宮内膜症の疑問―Q.5


42歳になりますが、最近月経のときの出血量が多くなってきました。子宮内膜症や子宮筋腫があると、出血量が増えてくるといいますが、本当でしょうか?


A.5
本当です。

 子宮筋腫や子宮内膜症の方で、月経量が増える方は数多くいます。
 子宮筋腫では、子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」や、子宮筋層の中にできる「筋層内筋腫」が大きくなった方で、月経量の増加が認められるケースがあります。
 子宮内膜症では、子宮全体が大きくなる方が多いことから、多くのケースで月経量の増加が認められます。また子宮筋腫を併発すると、さらに出血量が増えることが多いようです。
 年齢が42歳とのことですが、この年齢では子宮筋腫と子宮内膜症のどちらかの可能性があります。早めに病院で正確な診断を受ける必要があるでしょう。

子宮内膜症の疑問―Q.6


21歳です。あまり強い痛みではありませんが、月経痛があります。
子宮内膜症ではないかと心配しています。

A.6
 病院できちんと診察してもらってください。

 月経痛があるということですから、まず子宮内膜症がないかどうかを確認することが大切です。子宮内膜症は、自覚症状がなくてもできている可能性があります。しきゅ内膜症もほかの病気と同じく早期診断、早期治療で治療効果が高くなります。
 ただ、21歳という年齢を考えると、月経痛だけが症状である「月経困難症」の可能性もあります。この場合は、鎮痛剤の服用を続けるだけで痛みが改善し、時間がたつと月経痛が自然によくなるものです。
 しかし月経困難症であっても、痛みが強い場合は「低用量ピル」などを定期的に服用することで症状を改善させる方法もあります。

子宮内膜症の疑問―Q.7


38歳ですが、月経痛と月経量の増加があったので病院で診察を受けたところ、子宮内膜症と診断されました。一緒に子宮がんの検査も受けるようすすめられましたが、ほかに受けておいたほうがよい検査があったら教えてください。

A.7
 子宮がんの検査も一緒に受けておきましょう。

 子宮の出口にできる「子宮頸がん」は、30代が最も発症しやすい年代です。1年以内に検査を受けていなければ、子宮がんの検査は是非受けることをおすすめします。また、子宮が大きくなっている方は、子宮の奥にできる「子宮体がん」の検査を受けたほうがよいでしょう。「子宮体がん」ができると、子宮が大きくなることがあるからです。
 このほか、子宮が大きいと指摘された方は、子宮筋腫を併発していないか、卵巣が腫れている方は、悪性腫瘍が疑われる異常がないかを、それぞれ調べてもらうとよいでしょう。
 子宮内膜症の検査は超音波検査が主体ですが、必要と診断されたときは、MRI検査をすすめられる場合があります。これで子宮内膜症が悪性化する傾向がないかなどがわかります。

子宮内膜症の疑問―Q.8


月経量が多いため病院で診察を受けたところ、「子宮腺筋症」と診断されました。子宮内膜症に似た病気といいますが、どんな病気なのでしょうか?

A.8
子宮内膜症よりも月経痛が強く、月経量も多い病気です。

 子宮腺筋症は、子宮筋層内に子宮内膜が入り込む病気で、以前は子宮内膜症の一種と考えられていました。症状は子宮内膜症とほぼ同じですが、子宮内膜症よりも月経量が多く、月経痛も強いといわれています。ただ子宮腺筋症は、子宮内膜症よりも下腹部中の癒着が少ないことが多く、不妊症になる確率も少ないといわれています。

子宮内膜症の疑問―Q.9


医師から「卵巣チョコレートのう腫がある」といわれました。
どのような病気なのでしょうか?

A.9
卵巣にできた子宮内膜症です。

 卵巣チョコレートのう腫というのは、本来、子宮の内側にできる子宮内膜組織が、卵巣の中にできてしまう病気のことです。つまり子宮内膜症の症状のひとつということです。子宮内膜組織ができると、月経のたびに狭い卵巣の中に月経血が出るため、強い痛みが起きます。また、この月経血が卵巣の中に溜まってしまい、腫れて大きくなってしまいます。手術してこの腫れた卵巣をとると、中身が溶かしたチョコレートのように見えることから、チョコレートのう腫といいます。

子宮内膜症の疑問―Q.10


「卵巣チョコレートのう腫」と診断されました。どのように対処すればよいのでしょうか?

A.10
通院して医師のもとで治療しましょう。

 卵巣チョコレートのう腫は、月経痛、腹痛、腰痛、性交痛といった痛みのほか、下腹部の臓器との癒着や不妊の原因にもなり得る病気です。このため卵巣チョコレートのう腫と診断を受けた方は、通院して治療を受けることが大切です。
 腫瘍が小さければ、薬剤で病気の進行を止めることも可能です。
また、ある程度大きくなってもアルコール療法といって、中の血液を吸引した後、アルコール固定を行う方法でよくなるときもあります(腹腔鏡下あるいは腹式手術)。ただし、かなり大きくなっていたり、数が多いときなどは、より慎重な対応(手術+薬剤による治療など)が必要になることもあります。

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